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大脱走



【静かなった?

 もぉ来にゃい?】神眼キョロキョロ。


【少し前に かなり遠くで浄化光が広がったから親玉を浄滅したんじゃないかな?】


【俺達じゃにゃいのに地星 守れたになるの?】


【どうだろうね……】


【【ソレは大丈夫♪】】サクラ達が現れた。

【青生とドラグーナ様も青身神♪】

【アオ兄も青身神だから~♪】

【超越者様、生物個々なんて見えないの~♪】

【超越者様には小さ過ぎるの~♪】

【塊で捉えるから【だいじょぶなの~♪】】


【そぉなの!?】


【すっっっっごく頑張ったら】

【見えるみたいだけど~】

【今そんな余裕なんて【ナイナ~イ♪】】

【だから闇禍は欠片を派遣するんだ】

【さっきの本体も欠片なんだけどね】

【うん、大元は遠くに居て姿を見せないんだ】

【大きな欠片を目的地の近くまで飛ばすんだ】

【そこから小さな欠片を群にして飛ばすんだ】

【さっきの闇禍も弱く赤を帯びていたから】

【超越者様には赤と青が戦っている、くらいにしか見えていないんだよ】


【【これで暫くは静かになるとは思うが……】】


【そうだね】【また来るだろうね】

【だから俺達は『道』を確かにしながら】

【急いで三界に戻るよ。また来る為にね】

【あ、抹犂鏡(まつりきょう)に補充しないと】

【そうだったね♪ 地星抹犂鏡にね♪】

スススッと鏡を集めて【【光神輝煌!】】


眩しい程の浄化光が吸い込まれるように消えた。

【【本当に紅火って凄いよね♪】】


【はい♪】【うんうん♪】


【それじゃあ急ぐから【またね】】

【【また遊ぼ~ねっ♪】】【うんっ♪】


アオ達は名残惜しそうに円陣を組んで消えた。



【青生……】


【うん。また会えるんだから、話の続きは今度だよね】


【何を話していた?】


【ちょっとね。瑠璃は?】


【兄を分離して頂いた】保護珠を見せた。

【人を経て神として再誕するのが最善だと仰った】


【人として? なら、俺達の子供に、どう?】


【よいのか?】


【うん。俺はワケアリ子沢山になるらしいから♪】


【そんな楽し気に……】


【アオ王子もワケアリ子沢山なんだって。

 でも何にせよ子供は可愛いって♪

 そんな話をしていたんだ♪】


【そうか】それなら安心と微笑んだ。


【だから、これから……ね?】


【は? 人世に行かねばならぬのだろう?】


【なら、その後で♪ 約束だよ♪】


【まだ暫くは私の魂内で保護! それからだっ】


【そうなの?】


【ったく~】真っ赤っか。


【イシュリ様と合わせるの?】


【支え合えるようにと――】【行こう♪】

背を向けて座っている彩桜の所へ飛んだ。

【彩桜、人世に行くよ】【ん♪】ポリポリもぐもぐ♪

彩桜は集縮壺を抱き抱えて食べていた。

【それは保存食?】【うん♪ 貰ったの~♪】


【青生、闇禍は終わったの?】

まだ瑠璃鱗のままのドラグーナ。


【はい。次は数年後みたいです。

 アオ王子が帰りましたから】


【そう。でも視線を感じるんだよね】


【あ……そうですね。

 ブルー様は いらっしゃるようですね】


【だから俺達は もう暫く月で待機するよ】


【はい。では人世の消火活動に向かいます】


【うん。頑張ってね】



―・―*―・―



 その頃、邦和の各所では反マーズ派が集団で脱走していた。


「マーズが尾行しているとは言え……」

「破壊されても被害0だとは言え……」

どうしたら人力だけで ここまで壊せるのだろうと、ただ外されたのではないドアが、足元から廊下の端まで幾つも倒れているのを見て溜め息を落とした。


するとドア毎に破片が集まり、光を纏って元通りに。ふわりと一斉に立つと、きちんと枠に収まった。


「「忍法なんだよなぁ」」

全てのドアが元通りになっているのを確かめて、顔を見合わせる白玉と小倉だった。



―◦―



 止められもせずに外に出た反マーズ派は、陽の眩しさに目が慣れると同時に動きを止め、立ち尽くしていた。


「何も……無い……」「車も走ってないなんて……」


邦和国内、何処(どこ)彼処(かしこ)も似たり寄ったりだった。


「とにかく離れないと!」「また捕まるぞ!」

「家に帰らないと!」「家族を探さないと!」

「社長と話してクビ撤回してもらわないと!」


『そうだそうだ!』と散り散りに走り始めた。



―◦―



 その(しら)せは煌麗山湖畔の別荘にも届いた。

大勢が諸外国のトップと話している中、新総理のスマホに直接連絡が入ったのだった。

「護送中も全てなのか!?」


皆が一斉にチラリと見たが、総理どころではないと各々の通話に戻る。


「捕まえろ!」『無理です』

「何故だ!?」『警察官も殆どが海外ですので』

「はあっ!?」『自衛隊も役所等も同じくです』

照明が遮られた。

見上げると御大様。


「どの電話も大事を抱えている。騒がしいぞ」


「申し訳ございませんっ」


たっぷり睨んでから御大様は背を向けた。

ホッとして通話に戻ると、既に切られていた。


「どうすれば……どうしろと……」頭を抱えた。



「――ロシア皇帝が、友人である(みちびき)氏を監禁し、マーズ諸共にと命を狙った者を差し出せと――」


聞こえた声の方を向くと、トコロテンで国土副大臣から大臣になった男と目が合った。

派閥は同じでも敵対者(ライバル)

すぐにでもバラしそうだとテーブルに突っ伏した。


「アメリカ大統領が、反マーズ派のみの国となったならば即座に攻撃をすると!」


「ふむ。居残っている国民を出すな。

 盾とするより他にあるまい?」


 マーズは自由に出入りしているよ。

 もう邦和は終わりだ。


そんな事を考えていると、肩を叩かれた。

「は?」

顔を上げると御大様。


(あらた)君。覚悟を決めてロシアに行け」


「それは……」嫌です!


「あの怒りを鎮めるには直接外交しかあるまい?」


「は?」そちらか!? 犯人としてではなく!?

「ですが私は、ロシア語は――」


「和語の他に何語が話せるのかね?

 通訳は用意した。すぐに行きなさい」


もう何も言い返せなかった。

どうにかこうにか立ち上がり、ふらふらと部屋を出た。

総理の椅子とは、こんなにも座り心地の悪い針の(むしろ)なのかと思いつつ。



 廊下には礼をしたままの男が1人。

「はじめまして。ロシア語通訳の馬頭(ばとう)です。

 臨時ですが宜しくお願いします。

 では参りましょう」


「馬頭君!?」


「はい? 何か?」


「秘書になってくれ!」


「申し訳ございません。

 今回限り。ロシアでお別れとなりますので」

にっこりと先導した。


「ま、待ってくれ!」



―◦―



【ソラ兄~♪】「俺も来た~♪」【あれれ?】

いつもの東邦テレビのスタジオにメーアと奏を連れて来た彩桜は、ソラが偽装を掛けていてもカケル本人だと気付いた。


【うん、今日からお兄がドラムだよ】


【ん♪】「じゃあ準備する~」【んるん♪】


盗聴器に乗せる為に声に出した言葉と心話との、彩桜の器用な使い分けに響が笑う。


「今日も手紙があるの?」「ある~」

「だから見田井さんも?」「そぉなの~」


その見田井がスタジオに入り、メンバーを手招きして紙を見せた。

『邦和に残っている人達の殆どが昨日の演奏を聴いたようです。

 忍者の良さが分かったと、出演を望む声が多く届きました』

捲って、もう1枚。

『反マーズ派が脱走したようです』


視線を上げた見田井に頷いて、立ち位置に動いたユーレイ探偵団メンバーは楽器を構えた。


メーアには彩桜が伝え、準備を終えた奏がメーアに並ぶと放送が始まった。



―◦―



「ま~た、この子供達か。

 頑張ってるのは認めるけどなぁ……」

いつもの音楽の時間だとテレビを点けたが、消そうとリモコンを手にした。


「待ってくださいよ、おじいさん。

 この子達も頑張ってるでしょ?

 それに忍者からの手紙も読むでしょうから」

お茶を淹れて来た妻がリモコンを取り上げる。


「この子らは忍者の弟子か?」


「昨日、そう言ってたじゃありませんか」


「そうか?

 他に視るものも無いし、点けとくかぁ。

 このネエチャンが演歌を歌ってくれたらいいんだけどなぁ」


その時、玄関の戸を激しく叩く音が聞こえた。

続いて居間の窓も叩かれ始めた。


驚いて窓を見ると複数の男達がガラスを割る勢いで殴っていた。


逃げたかったが、そうそう早く立ち上がれるものでもない。

立つも座るも『ドッコイショ』なお年頃だ。


困っていると黒い影が(よぎ)り、男達は居なくなって静かになっていた。


 そして窓の外に忍者。

「失礼します。

 反マーズ派が警察から脱走しました。

 先程のように食料等を求めての襲撃が続く恐れがあります。

 ご近所の方々がいらっしゃる場所に移っては頂けませんか?」


「アタシは行きますよ。

 お隣さんと一緒に行きたかったんですからね。

 おじいさんは どうしますか?

 残りたければアタシは身ひとつで行きますからね」

「お家は複製しますので ご心配なく」

「あら♪ でしたら お願いしますね」


「お、おいっ、行かないと誰が言った!?」


「おじいさんが勝手に残るだなんて決めたから、こうしてアタシ達だけポツ~ンと残ってるんでしょ」


「うっ」


「また来たら怖いでしょ。早くお願いしますね」


「はい。では――」「待て! 演歌も頼む!」

「――リクエスト、承りました」


「だったら行くぞ!」


「そうですか。では――」


窓の外、忍者の背後に隣家が見えた。


「――移動完了です。演歌は夜に」

忍者は消えた。



「あら、テレビは邦和のまま?

 それも良いわね♪」


「おい、隣の婆さんが手を振っとるぞ」


「あらあら♪」振り返す。

窓に寄って開け、話し始めた。



「これも、まあまあ。うん。

 頑張ってるからなぁ。

 けども、忍者の演歌が楽しみだな」



―◦―



【金錦兄、演歌なんて誰が歌うんだよ?】


【・・・メーアに頼むとしよう】


【おいお~い】


【黒瑯、次は向こうだ】


【金錦兄が歌ってくれよなっ♪】







月の騒ぎは収束したようですので、ここからは本格的に人世のお話になります。


脱走した反マーズ派は、闇禍の影響で膨らみきった弱禍に動かされています。

人数も多いので邦和に残っている民家は危険極まりない状況下にあります。

だからって引っ越してもらうのに演歌を承って大丈夫なの?

ま、歌えるでしょうけど。



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