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騒ぎは続くよギリギリまで



「高速国道を使ってもよろしいですか?」


「構わん。兎に角、最速で頼む」


「はい」

倉庫等が並ぶ海沿いを走っていたタクシーは、東京湾を横断する海上1号線へと曲がった。

それは、暫くは消えた街を見ない道でもあった。



―◦―



「おい白玉、金マーズが来てたんだろ?」

小倉が駆け寄った。


「来てたんだけどなぁ」手招き。

資料保管室に入った。


「何だよ?」追って入る。「へ?」空っぽ?


「この建物は忍法。一部人員を残して連れてったよ」


「一部って……俺達は?」


「マーズスタッフとして頼む、だと。

 で、南北蝦夷府と琉球県は護送車を東京に向かわせてるんだと。

 9割がマーズファンだから反マーズ派を追い出したんだ」


「じゃあ外国には行かずに?」


「だよ。邦和から独立してでも戦うと意気込んでるらしい。

 で、米露が後ろに付いたらしい」

スマホをチラリ。

「うわ……それ知ったアチコチが真似し始めたぞ」


「竜ヶ見台に戻らないか?」


「何しに? 街ごとドイツだろ?」


「刑務所も行ってる。だから収容不可能だろ。

 署も人員不足なら……」


「集団脱走するってか?」「だよ」

「可能性大か……けど東京だって同じだろ。

 邦和中どこも同じだ。

 どこもかしこも広大な土地にポツポツと公共施設の脱け殻。

 自衛隊も基地ごと消えてるし、残ってて元気なのは記者達とマーズ学園の卒業生達だけだろ」

他には、ファンでも反マーズでもないが邦和から動きたくないと残った人々が居る。

殆どが老人なので、マーズスタッフな元ワル達が護衛の為にと集結して邦和に戻ったのだった。


「そうだけどな。どうせなら地元か、マーズ本拠地の中渡音を守りたいだろ?」


「確かに、だよなぁ」


向かい合って『う~ん』と唸る二人の横に、ふわりと藤マーズ。

「脱走するのなら、させてくださいね。

 その為に皆様を避難させたのですから。

 残っている方々を護る為にスタッフを配置しているのですから」


「はあ……」「ですが……あ!」


「はい?」


「昨日の銀マーズ! 藤マーズさんでしょっ」


「はい♪

 見抜きましたので、正式なマーズスタッフとして登録させて頂きますね♪

 此方をどうぞ♪」


「「マーズスタッフの証!?」」


「ライブのフリーパスでもあります♪

 忍者移動にてお連れしますので、いつでもどうぞ♪」

白玉が握っているスマホを指した。


「本人のみか?」「いや、同伴2人までだとよ」

「って小倉は見抜いてないだろ」「貰ったし♪」


「相棒は大切な存在ですので♪」


「相棒、なぁ」「居候が何を言う」

「だよな。ま、相棒だな」手を差し出す。


「だろ♪」握手♪


「落ち着きましたか? では、本題に戻ります。

 マーズは反マーズ派の行為を許してはおりません。

 マーズファンになれと強要するのでもありません。

 ただ現実を見、反省して頂きたいのです。


 マーズファンの皆様はライブや楽曲の発売を楽しみに、喜んで移動してくださいました。

 ですがファンでない方々は怖いからと邦和から逃げたのです。

 ですから縁を切ったのです。

 逃走し、その現実を知って頂きたいのです。

 そして自らの足で戻って頂きたいのです」


「そういう意図が……「分かりました!」」敬礼!


「逃走した方々はスタッフや神マーズが追尾しますのでご心配なく♪

 では邦和をお願い致します」

振付かという程に美しく、且つピシッと敬礼を返して藤マーズは忍者移動した。



―◦―



「これは……」

海を渡った先の広い更地に驚いた新総理が声を漏らしたが言葉は続かなかった。


「邦和中、こんな景色ですよ。

 蝦夷と琉球は反マーズ派を追い出したそうですけどね」


「追い出した、とは?」


「護送車に詰め込んで、琉球から博多まで、蝦夷から陸奥までは忍者移動で運んでもらって、景色を見せながら陸路を東京に向かっているそうですよ」


「押し付けようと!?」


「府県の警察に置いておけば税金で食わせないといけない上に危険ですからね。

 逃げられでもしたら大変ですし。

 その連絡も長官と貴方にしたそうですよ?

 ネットニュースで確かめてみては?」


「それが、、使い方が……」


「止めてもよろしいですか?」

昨日は状況を確かめるからとスマホを出していたのに、と思いつつ。


「頼む」


他に車が走っているでもないので適当に止め、

「本来は行先を示して頂くものですが、此方の画面の方が大きくて見易いでしょうから」

と、背凭れ裏のナビ画面をオンにした。

前席のナビから操作して情報メニューへ、ニューストピックスへと移り、

「後は選択して開いてくださいね」

と、再び車を走らせた。



―・―*―・―



【お腹ペコペコ~】【真面目に戦え!】複数!


【ほえぇ~い】【【彩桜♪ 保存食だよ♪】】

目の前に集縮壺が現れた。

【サクラあっりがと~♪】

壺に掌握を突っ込み、ポリポリ♪

【と~っても美味し~♪】【【だよねっ♪】】


【サクラ! 今回の本体が現れたよ!】

【月から離すから皆は欠片をお願い!】

アオ達の声が聞こえ、強大な禍々しい気配と共に遠ざかったと感じた。



【本体? 欠片?

 じゃあ、この黒点には親玉が居るの?】

闇呼吸着と万華掌発射を継続中。


【きっと、そうなんだろうね】

領域浄治癒と光矢連射を継続中。


【うわわ、また大群キタ~】


【気を抜かないでね】【うんっ!】



―・―*―・―



 何やら気配を感じて目覚めたソラは起き上がった。

悪い感じはしないがと神眼を巡らせていると、カケルの部屋にブルー達が居た。


 まだ何かあるのかな?

 だからユーレイも たまには眠るべきだとか

 言われたのかな?

 それなら邪魔になるだけかもだけど……。


とカケルの部屋前へ。


【ブルー様、お兄は まだ呪われているんですか?】


【そうじゃないよ】【入っていいよ】


【失礼します】


少し躊躇したものの、入ると、ブルー達は満足気に微笑んでいた。


【彩桜が困っていたし】

【展開を早めるべきだから】

【【能力を開いておいたよ】】


【能力? お兄の? 強くなるんですか?】


【それは能力だからね】【強くなるよね】

【【でも闇禍と戦う為の能力じゃないよ】】


【って……?】


【彼はトリノクス様の神力を持っている】

【その中から音神の神力を開いたんだ】

【でも開いただけでは使えないから】

【指導をお願いね】


【解りました。今日からユーレイ探偵団のドラムはお兄なんですね。

 頑張って演奏できるようにします】


【【ありがとう】】

【それと、彼が見つけたものを】

【後で彩桜と一緒に掘り出してね】

【【それも重要な鍵だからね】】


【もしかして、お兄がサミルで掘っていたものですか?】


【そうだよ】【トリノクス様は蛇神様だからね】


【ええっと、それって……あ! トリノクス様に確かめます!】


【賢くて】【勘がいいね♪】

【【だから君の能力も開いてあげよう】】


飛んで来た光に包まれた。


【なんかスッキリ……ありがとうございます!】


【じゃあまた】【うん、また会えそうだね】

笑いながらブルー達は消えた。



「お兄、起きてよ。急ぐんだから」

ゆさゆさしながら繰り返す。

同室の力丸達が先に起きて寄って来た。

【お兄!!】【馬鹿者 起きろ!!】

ショウとモグは笑う。


「んんっ? わあっ!?」

大型犬×3が飛び乗った。


「急ぎだから起きて」


「ナンだよぉ~」


「寝てばかりのお兄が悪いんだからね。具現化」

ドラムセット完成。

「浄化」ぶわっ!「叩いて」


「おい、初めてなんだぞ、俺は」


「知ってる。でもトリノクス様も音神様だから」

分身してギターとベースとキーボード。

「ボーカルは奏お義姉さんとメーアだから。

 嫌なら神世に置いてくからね」


「奏が歌うんならヤル!

 けど見本くらいしてくれよな」


「じゃあ通しで1回だけね」ドラムにも分身。


演奏を始めた。


 いつになったら覚醒するんだろ?

 復興が終わるのに間に合わないとか?


そんな事を思いつつ。



―・―*―・―



「着きましたよ」


その声で新総理は目を覚ました。

眠ってしまったのかと周りを確かめる。


「君、私の運転手にならないかね」

カードを差し出す。


「申し訳ございません。

 私も邦和を出ますので」精算。


「残ってくれないかね」

カードを受け取る。


「もう家族も友人も出ていますから。

 (はじめ)氏がお待ちですよ、(あらた)総理」


「あ、ああ……」

降りようとして止まる。

「その顔……見覚えがあるような……」

降りてから、確かめようと覗き込んだ。


「昨日今日と続けて運転したからでしょう。

 気のせいですよ。

 ではお気をつけて」


「せめて帰りだけでも頼めないかね」


「申し訳ございません」にっこり。

ドアを閉めて発車。



「秘書にとも考えていたのだが――あっ!」


すぐに小さくなったが、まだ見えていたタクシーが消えた。


「ああして街も消えたのか……」「総理! 早く!」


溜め息を溢して別荘に向かった。



―◦―



「おい白久兄、好き嫌いくらい確かめとけよな」


「んなモン知るかよ。残してるのかぁ?」


「お子ちゃま的に野菜嫌いらしい」

バスケットの中を見せた。


「困ったオッサンだな」


「勿体ねぇなっ」「浄化して肥料にしますね♪」

「頼む藤慈♪」「はい♪ 薬草達が喜びます♪」


「藤慈もスッゲーな♪」「だよなっ♪」


照れた藤慈はバスケットを抱えて瞬移した。


「「可愛いヤツだよなっ♪」」







月も邦和も大騒ぎでブルー達も地星に居ますし、新総理の動きも前話のガッツリ続きですが章を分けました。



白玉と小倉は全国区なマーズ担当ですので、邦和の一大事だからと東京の本部に呼び出された挙げ句、居残りを命じられてしまったんです。

そんな事情なので可哀想だと思った藤慈が、せめてマーズスタッフになれるようにと、前日は副長の銀マーズとして現れたようです。

無事に見抜いてもらえて証を渡すことができたので、嬉しくて弾む藤慈なのでした。



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