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消えていく街灯り



 彩桜とソラがサミルの地に戻ると、救助は終わっていてアミュラが城を復元したところだった。

【救護所を作るから手伝いな。

 弟子達、王族を頼んだよ】【【はい!】】


【カーリ待って~、俺も運ぶ~♪】

【彩桜はコッチだよ!】【ほえ?】

【アタシの向かい! 決まってるだろ!

 大勢が待ってるんだからねっ!】


【ほえ~い】

地面に現れた巨大魔法円の対面に飛び、アミュラと向かい合った。


青生と瑠璃には来てくれとは言えないし、島に居る師匠達も同じだし、王都もマヌルの里も遠い。人世なんて とんでもない距離だ。


 あ、そっか♪

 紅火兄に千里眼いっぱい作ってもらお~♪

 竜宝核て神力に置き換えできるて

 言ってたもんね~♪

 あとは~、輸送用に集縮でしょ♪

 それから~♪ あ……真面目にしますからっ!


真正面のアミュラに睨まれていた。



―・―*―・―



 長く異国の言葉が聞こえていたスマホが静かになったので、見てみると充電切れしていた。


途方に暮れた新総理が廊下に出ると、制服警官が向かって来ていた。

「君、官邸に行きたいのだが」


「官邸、ですか? 駅は近くですので、そこから東京に向かってください」

とだけ言うと敬礼して通り過ぎた。



「まさか、東京ではないと……?」


もう制服警官の背中も見えないので答えてくれる者は居ない。


「と、取り敢えず出口だな」

呟いてキョロキョロ。記者達も走った方向だと思ったので、制服警官が来た方に向かった。



 階段を見付けた。

ここで初めて窓の外すらも確かめていなかったと気付き、より明るくなっている階下に向かった。


3階に居たらしく、下り続けていると玄関の受付横に出た。

ホッとしてカウンターに近寄る。

「官邸に――」送ってもらえまいか?


「駅でしたら出て右に。

 突き当たりに見えておりますので」

どうぞと手で示されてしまった。


「明日は? 来なければならないのか?」


「もう十分です。お疲れ様でした」


「そうか……」

泊めてもらうのも無理らしいと外に出た。



「は? 家は? 店は?」

駅への大通りらしいが街灯と信号機しか明るいものは無かった。

照らし出されているのは更地ばかりとしか思えなかった。

「車も走っていないのか?

 まだ深夜ではない筈だが……」

恐る恐る駅の方を向く。大きくて立派な駅だ。

「竜ヶ見台駅、か……いや待て、けっこうな街の筈だ。これは一体……」

なんだか全てが消えてしまいそうな恐怖が背後から迫って来ている気がして、急ぎ足で駅に向かった。



―・―*―・―



【次はカリューに救護所を作るよ。

 マヌルの里に運んだ人神達を移したらA班は終わりだ。

 気張りなよ】


【カリューのお城は?】


【ややこしくなってるからねぇ、オーロの痕跡を全て消さないとねぇ】


【そっかぁ~】【僕がやってみます!】

【カーリだいじょぶ?】【もちろん♪】

【光で反転?】【うん、試してみるよ】

【後押しお手伝い~♪】【ありがと♪】


 彩桜はソラを、カーリはカイを引っ張って行き、城の跡を囲んだ。

【禍々しさを纏いし闇の神力を清々しき光の神力に!】

【昇華光明煌輝!【【【反転光化!】】】】

地の気から漂っていた禍々しさが消えていく――

「あっ!」

――かと思いきや、禍が噴出して集まり、人らしい形を成した。

『カーリ……我が神力(ちから)……』


「もうオーロには負けない! 浄滅する!」

【昇華維持、闇障闇化、闇呼吸着、光明光化!

【【【滅禍強浄破邪の極み!!】】】】


『カーリ……我が弟よ……』

轟き響き渡る低い叫び声の中から言葉が拾えた。


「兄弟だなんて思ってない! 禍よ消えろ!!」

各々が更に浄破邪を強めた。

吸着もしているので禍の塊は小さく小さく萎んでいった。


禍塊にオーロザウラの意思が憑いているだけだとは理解しているが、それはまるでオーロザウラの魂そのものを浄めているかのようだった。


『……カーリ……兄弟……仲良く……した、かっ、た……』


「え……」



 清々しく晴れた空に戻った。


「最後の最後に……ズルいよ……」


「カーリ、泣きたい時は思いっきり泣いていいんだよ」


「イマチェリー……」

両手を広げた彩桜の胸に飛び込み、声を上げて泣いた。

これまでの悔しさも怒りも、さっきの言葉から沸き上がった思いも、ごちゃごちゃぐちゃぐちゃな思い達を全て吐き出すように。


【アミュラ様、離れるね。

 お城、お願いします】瞬移。



 アミュラの隣に居た響が

【アミュラ様……さっきのが本心なんですか?】

信じられないと首を傾げた。


【アレはオーロの意思塊だけどねぇ。

 さっきの強い浄化で、ようやく母親の呪縛が解けたのかもしれないねぇ】


【そうですか。でも、同情なんて無理。

 私は神様じゃないから許さない】


【それでいいんだよ。

 それだけの事をしちまったんだからねぇ】


【あれ?】


【また何だい?】


【ブルー様は禍を全滅してくれたんですよね?

 でもサミルでも出たし、さっきも】


【ブルー様が浄滅したのは闇禍だよ。

 異界の禍さね。

 オーロは闇禍を受け入れて利用しようとしたんだ。だから一緒くたさ。

 サミルシシスのは別もの。

 さっきのは城に仕掛けてたんだろうねぇ。

 誰かが城の地に踏み込んだなら発動するようにねぇ。

 城を奪われたくなかったんだろうよ】


【どうしても王様したかったんですね】


【そうなるように縛られてたのさ】


【魔女の呪縛、ね……あ!!】


【またまた何だい?】吹き出す寸前。


【カリューの王様!

 さっきのカーリ様ですよね!?】


【その事かい。

 彩桜が何やら考えてるようだから任せておきな♪

 ザブが気がつかなきゃあ始まらないけどねぇ】

とうとう笑い出した。


【そう、ですか……】???


【さ、城を復元するよ!】【はい!】一斉。


【あっ、はいっ! あれ? お兄は?】


【アッチで寝てる~♪】【サミルで!?】



―◦―



 彩桜はカリーナ火山のサミル側の中腹に居た。

サミルの都は離れているし、今はカリューの地を見たくないだろうと考えたからだ。


 あれれ? カケルさん? 何してたんだろ?

 今は寝てるけど~。


何かを掘り出そうとしていたのは見ていたので、地下に神眼を向けた。


 ん~~~とぉ、すっごい深くに誰か居る?

 うん。居るねぇ。

 下空かにゃ? もっと下?

 あれれ? 位置が掴めにゃい? どして?

 後で掌握で探さなきゃ!



―・―*―・―



 新総理は竜ヶ見台駅から新幹線に乗ったが、他には誰も乗っていないので不安になっていた。


「反マーズ派を除いて普通に暮らしている筈なのだが……」


どうにも声を出さなければいられないくらい恐怖心が膨らんでいた。


「これは……横浜の街並みか?」

明かりが見えて安堵し、駅のホームにも人が見えたので また安堵し、と怪談の世界に連れて行かれているのではなかったと笑みを浮かべた矢先、唐突に街明かりが消えた。


しかし真っ暗ではなく、信号や街灯などの光は残っていた。

「停電……ではなさそうだな。

 まさか竜ヶ見台と同じ――」

言葉を続ければ東京も消えてしまいそうな気がして、口をぱくぱくするだけになった自分の顔が窓に明瞭に見えるくらい、外は暗かった。



―◦―



「はいは~い♪ 横浜ねっ♪ 丸ごと此処~♪

 目安は海岸線ねっ♪」

弾んでいる神マーズの指示で、空に現れた街が ゆっくりと着地した。


「市長さ~ん♪

 近隣は並べてくから心配しないでねっ♪

 数日で解決するから観光とか楽しんでてねっ♪」


「此処は……? かなり暑いですなぁ」


「メヒコの西海岸♪ ま、夏だから~♪

 海を楽しんで~ねっ♪」

パステルブルーとピンクの二本帯をふわりとさせて、明るい神マーズは消えた。


「マーズを役所に常駐させる。

 他の地区に行きたくば申し出よ」

白のみ二本帯の神マーズも消えた。



「数日なら、皆で観光もよかろうなぁ」

にこにこと、大勢が浜に向かっているのに合流して歩いた。



―◦―



 東京は消えておらず、タクシーにも乗れたので、どうにか無事に総理官邸に着いた。


着いたのだが――

「これは……何事だ?」

――消えた明かりが全て此処に集まっていたのかと思える程にライトアップされている総理官邸の窓には灯りが見えず、囲む報道陣で賑わっていた。


「おや? 何も知らずに?

 その為に戻られたのだと思ってましたよ」


「その為とは何の為だ?」


「何を言って諸外国を怒らせたんです?

 それの取材でしょうよ」


「は?」まさか……ならば!

「私の家に向かってくれ!」


「ご自宅も党本部も同じだと思いますよ」


「ならば、、取り敢えず、充電できる静かな場所に頼む」


「充電でしたらどうぞ。

 どちらの背凭れにもありますので」


「あ、ああ、これか。

 静かな場所に走らせてもらえるか?」


「では郊外に向かいましょうか?」


「頼む」



―◦―



 白玉と小倉がマーズ事務所の新しい番号に掛けると銀マーズが来た。

「どうしましたか?」


「まだプリントアウトしていないんですけどね」

「大量に届いて困っているんですよ」


二人が指すモニターを確かめると

「渡して、隠さずに全てを伝えるしかないでしょう」

画面をツンツン。


「「全国一斉に?」」


「しかないでしょう?」


「「ですよねぇ」」

「あっ、残っている信号機とかは?」

「電力も消費せずに動いているようですが」


「見えてはいますが、実物ではなく忍法ですので何も消費しません。

 邦和に残る人達の為に複製物を置いているだけですので、街やらが戻る際には、重なって消えますよ。

 それまでは維持しますのでご心配なく」

いつもとは違い何か企んでいるのかと思える程に穏やかな銀マーズは忍者移動した。



「確かに渡すしかなさそうだけど、なぁ?」

「だな。また怒り爆発、大騒ぎだろうなぁ」

やれやれと顔を見合わせる白玉と小倉だった。







銀マーズと言うよりは青マーズ? な銀マーズの言う通りにプリントアウトしつつ、他の署にも必要分のデータを配布する白玉さんと小倉さんは、今は東京に居ます。


どんどん更地ばかりになっている邦和で、味方が見つからない新総理は、これからどうするんでしょうね。



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