第4話 篠田家姉妹と女子トーク
翔子ちゃんのご飯を堪能した後、お風呂へ
「はー、涼くんの家のお風呂に入ってるなんて、変な感じだな。ちょっと落ち着かない」
初めての彼氏の家のお風呂だから変に緊張する。
よくある乱入イベントなんて起きるわけないよね…
「失礼しまーす」
翔子ちゃんが入ってきた
「す…すごい」
そんな舐めるように見つめないでよーお姉ちゃん恥ずかしいじゃないか。
「ホントに私と2つ違い?実はもっと年上だったりして」
「そんなわけないじゃない、もう翔子ちゃんたらー」
「えー、ホントに?」
翔子ちゃんが疑惑の目を向けてきた。
「ホントに2つ違いだよ?」
もしかして、高校生くらいに見えた?
「だって…その…大人っぽく見えたから…」
「そうだったのね。因みにいくつに見えたの?」
「んーとね、17か8くらいかなって」
「ホントに!?」
そんなに大人っぽく見えるのかな?
「うん。なんか…その羨ましくって…ね?」
そうだったんだー、なんか嬉しいな。
「翔子ちゃん、背中流そうか?」
「お願いします!」
「よーし、お姉ちゃん張り切っちゃうぞー」
翔子ちゃんの体を洗う。
「翔子ちゃんも小5にしては成長早くない?」
「そうなのかな?…まあ?この間の身体検査で羨ましがられたけど」
「じゃあ、そうなんだよ。あたしも小5の時からこういう感じだよ?」
「そうだったんだ、安心したー。ところで六華ちゃんはお兄ちゃんのどこを好きになったの?」
痛いところを突かれた。
「どこって聞かれても…なんだろうなー。初めて会ったのが入学式の日なんだけど、涼くんとぶつかっちゃったの。その時に何かすごくかっこいい人だなって思ったの」
「…それだけ?」
「それだけだよ。ちょっと好きになる理由としては薄すぎるかなって思うけどねー」
あたしは苦笑する。
「いや、いいと思うよ?そういうのまだわかんないけど、フィーリングって大事だと思うの」
「そうかな…フィーリングねぇ、確かに重要かもね」
「いいなー。私も彼氏作ろうかなー」
「翔子ちゃんには早いと思うよ?」
「えー?私、小5だよ?もうそろそろ考えなきゃいけないのかなって思ったんだけどなー」
あたしが小5の時はそんなこと考えてる余裕が無かったな。
もしかして普通なのかな?
「ちなみに六華ちゃんの初恋っていつなの?」
は、初恋!?
「初恋かー。…多分、異性じゃないね、女の子…だったな」
「六華ちゃん、まさかそっちの趣味が…」
「ないよ?少なくとも今は」
「そっかー。じゃあ今はお兄ちゃん一筋かな?」
「そうだよ?」
「だったら、もうお姉ちゃんで良いよね?」
翔子ちゃん、どうしてそうなるのかな?
「もうしょうがないなぁ」
「やったー。お姉ちゃん大好き!」
もうこの子ったら…かわいいじゃんかー
「…長湯しちゃったね。そろそろ出ようか」
「お風呂出たら私の髪乾かしてほしいなー」
「いいよーやったげる」
お風呂から出てリビングへ。
「お兄ちゃん、お風呂出たよー」
「おう、どうだった…って聞くまでもなさそうだな」
「え、どうして?」
「翔子の顔見たらなんか納得した」
「涼くん、お風呂でたよー」
あたしはタオルで髪を拭きながらリビングに入った。
「お前らが仲良くなったみたいで俺は嬉しいよ」
「唐突にどうしたの?」
「いや、何でもないよ」
何でもない風には見えないんだよなー。
まあいいか。
「さあ、お兄ちゃんはさっさとお風呂行ってください」
「…はい」
涼くんが翔子ちゃんに追い払われた。
涼くんがお風呂に入ってる間に翔子ちゃんの髪を乾かす。
「翔子ちゃん、髪キレイだね」
「そうかなー?」
すごく指どおりが良さそうで、櫛でとかすのがもったいないくらい。
「よし終わり」
翔子ちゃんは髪が短いからすぐ終わった。
「じゃあ次はお姉ちゃんの番だね」
「お願いします」
「お姉ちゃんも髪キレイだよ?」
「でも長いから大変でしょ?」
「ううん、大丈夫だよ」
「さっき、あたしに初恋の事聞いたけど、翔子ちゃんはあるの?初恋」
さっきお風呂で聞きそびれたから今聞いてみる。
「うーんとね…お兄ちゃんかなー」
意外な答えが返ってきた。
「そっか…涼くんなのか」
「やっぱ、変だよね…」
「変じゃないと思うよ?…兄妹いないからそういうのわかんないけど、多分あたしもお兄ちゃんがいたら、そうだったかもしれないしね?」
「そっか、良かったー」
安堵の表情を見せる翔子ちゃん。
「あ!でも今は違うよ?普通に彼氏作りたいし」
翔子ちゃんは慌てて訂正した。
「そっかぁ、頑張ってね!」
「うん、頑張るよー」
髪を乾かし終わる。
「はい、終わったよー」
「ありがとう、翔子ちゃん。そうだ!今晩一緒に寝ようよ」
「いいの?」
目を輝かせて顔を近づけてきた。
「うん、もちろん」
「やったー!」
翔子ちゃんは飛び上がらんばかりの勢いで喜んだ。
「ただいまー」
誰か帰ってきた。
「お姉ちゃんお帰りー」
「2人とも、ただいま。おや、その子は誰かな?」
「お兄ちゃんの彼女で天人 六華だよ」
翔子ちゃんが紹介してくれた。
「天人 六華です。よろしくお願いします」
「篠田 由乃です。よろしくね、六華ちゃん。私に敬語は使わなくていいからね」
そう言われてもいきなりは難しいんだけどな…
えっと…
「…わかった、えーっと姉さん」
「姉さんか…良いわねー」
姉さんが微笑む。
「翔子、涼は?」
「お風呂だよ」
「そっか。六華ちゃん、涼って長風呂する人だからこの間ヒマになっちゃうね」
「そうなの?」
そういう風には見えなかったから少し驚いた。
「じゃあ、私部屋に居るから、涼出たら呼んで」
「わかったー」
翔子ちゃんが返事をする。
しばらく翔子ちゃんと2人でテレビを見ることに。
あたしは隣にいる可愛い義妹に抱き着きたい衝動を抑えられなかった。
「翔子ちゃん、ここ座って」
あたしは自分の膝を叩く。
「いいの?」
「もちろん」
「じゃあ…」
翔子ちゃんが膝に座る。
あたしは翔子ちゃんの腰に手をまわしてホールドする。
あぁ、なんかいいなぁまるでホントの姉妹みたい。
「風呂出たぞ」
「お姉ちゃん部屋に居るから声かけてきてー」
「おう」
涼くんが2階に上がっていく。
「呼んできたぞー」
「ありがとう。そういえばあの約束どうしたの?」
「あ!そういえば…」
涼くんが大慌てでキッチンに行って、何か作ってるご様子。
デザート?正直、甘いものあんまり食べられないんだよね…
「お待たせ。これ作ってみたんだけど、食うか?」
涼くんが作ってきたのは見たことない料理だった。
何かのパイにも見えるけど、どこか違う感じがした。
「お兄ちゃん、料理苦手なくせにお菓子作りはするんだよねー」
翔子ちゃんが耳打ちしてきた。
「涼くん、これ何?」
「アプフェルシュトゥルーデルって言って、オーストリアの料理…だったかな?まあざっくり言うと
アップルパイだな」
これ涼くんが作ったんだ、すごいなー
オーストリアの料理なんだ、聞いたことないけど美味しそう。
「いただきます」
まずは一口。
美味しい!
「どう?」
「これ、美味しいね!」
「そう?良かったー。いやー初めて作ったから不安だったんだよね」
「初めてだったの?すごいね」
「そうかなー?そう言ってもらえると嬉しいな」
嬉しそうな涼くん。
「ごちそうさま、美味しかったよ。また作ってくれる?」
「いいぜ、いつでも作ってやるよ」
「ありがとう」
涼くんの意外な特技を知った。
「涼、私にも頂戴」
姉さんがお風呂から出てきた。
「姉貴、飯は?」
「いつも通り食べてきたから大丈夫よ」
この姉弟仲いいんだなー。
ホントに羨ましいな。
「わかった、ちょっと待ってて…はいどうぞ」
「ありがとう。これってシュトゥルーデル?」
「そう、リンゴのやつ」
「そっかー、いただきます」
「どう?」
「すっごく、美味しいよ!やっぱり菓子作り上手だよねー」
「ありがとう」
「ふぅー、ごちそうさま」
「おそまつさま」
そこにインターホンが鳴った。
「六華、お父さん来てくれたぞ」
「今行くー」
あたしは玄関に駆けていく。
そういえば電話しといたんだった。
「六華、着替え持ってきたぞ」
「うん、心配かけてごめんね」
「いや良いんだ、それより…」
「それより?」
なんだろう?
「…大丈夫か」
パパは小声でそう言った。
「じゃあ涼くん、娘をよろしく頼む」
「はい、わかりました」
ん?何か今…まぁいいか。
「じゃあな六華」
「うん、明日は帰るから」
「わかった、ママにはそう言っておくから」
「うん、お願い」
パパは帰った。
「よし、翔子、六華ちゃん!リビングに布団敷いてパジャマパーティーしよ!」
「いや!六華は俺のもんだ!」
ちょっと、恥ずかしいからやめてくれー!
「六華ちゃん!」
「六華!」
「「どっち?」」
2人ともあたしのせいで争わないでー。
「じゃ…じゃあ、じゃんけんで勝った方に行くってことで…どう?」
「よし、その勝負乗った!涼、弟だからって容赦しないからね!」
「望むところだ!姉貴にだけは負けねえぞ!」
そう言っておよそ30分経過。
さすが姉弟、これで何回あいこになったか分からない。
「姉貴、やるな」
「そっちこそ」
「じゃあこれで決着つけるか」
「望むところよ!」
2人の間に緊張が走る。
「じゃん!」
「けん!」
「「ぽん!」」
ようやく勝負がついた。
勝ったのは姉さんだった。
「うわー!」
「やったー!」
悔しさに膝をつく涼くん。
それに対して嬉しさのあまり飛び上がってしまう姉さん。
「そういうわけで涼、布団を敷きなさい」
「くそー!だが負けたのは俺だ…仕方ない」
涼くんが布団を敷く。
「涼くん、ごめんね」
涼くんに謝った。
「なんでおまえが謝ってんだよ、俺らがお前に選択を迫ったんだ悪いのは俺らだ」
「でも…それ使う必要無くなったね?」
あたしはポケットを指さす。
「な…なんで、知ってる!?まさかあの時…」
「ごめん、見えてた」
「ぬわー!…忘れてくれる?」
「うーん、どうしよっかなー」
「頼む!マジで頼む」
「まぁ、意外な特技知れたし?いいよ」
「助かるわー」
涼くんは大きく息を吐く。
「ところで涼よ、どうするの?」
「どうするとは?」
「察しなさいよー混ざるか?って聞いてんの」
「女子トークに混ざれと?」
「そう!むしろ混ざれ!」
「そうだ!お兄ちゃんも混ざれ!」
翔子ちゃんも賛成する。
「涼くん…混ざって欲しいなぁ」
上目遣いで涼くんを見つめる。
「しょ…しょうがないなー」
円状に布団を敷く、そこに寝転がって女子トークスタート。
「ねえ、涼は六華ちゃんのどこを好きになったの?」
いきなりそっからか。
「そうだなー。入学式の日に初めて会って、廊下でぶつかったんだけどその時の表情がすっごくかわいいなって…」
涼くんもあの時同じ気持ちだったんだ、嬉しいなー。
「そっかそっかー、なんかいいなー。私もこんな出会いしたいなー」
翔子ちゃんがすごくニヤニヤしてる。
「翔子にはまだ早い!」
「もう!お姉ちゃんの意地悪ー」
「姉さんの初恋っていつなの?」
「六華ちゃん、それ聞いちゃう?聞いちゃうの?しょうがないなー」
聞いちゃいけないこと聞いちゃったかな…
「私もお姉ちゃんの初恋話、興味ある」
翔子ちゃんは目を輝かせる。
「そうねー、あれは…中2の時だったかな?片思いの男の子がいたの。その人クラスで人気があってね?告白出来るまで時間かかったなー」
「時間かかったってどのくらい?」
「んーと、確か2年生の終業式ころだったね」
「そうなんだ」
大変だったんだなー
「それで終業式の時に告白して、オッケー貰えたのよ。それにしてもあの春休みは楽しかったなー」
楽しかった思い出を語ってるはずなのになんか悲しそうな顔してる。
やっぱ聞いちゃいけなかったかな。
「そんで、3年生の夏休みに2人で花火を見に行った時に事故に巻き込まれて…さ?」
確か、去年の花火大会でホコ天に大型トラックが突っ込んだんだったっけ?
その事故で1人が亡くなって、20人が重軽傷を負ったんだよね?
「その人ってば私を庇ってあっさり死んじゃってさ…もう…バカ…なんだから…」
「姉さん、聞いてごめん」
「お姉ちゃん、あたしもごめん」
「ううん、いいの。これ涼にしか言ってなかったから…ね?」
姉さんが目に涙をためながら笑う。
気づいたら日付が変わっていた。
「もうこんな時間?明日早いから寝なきゃ」
「姉さん、明日用事あったんだ」
翔子ちゃんはもう寝てた。
「そう、だからもう寝るね。おやすみ」
「おやすみ」
さて…
「涼くん!」
「どうした?」
「知ってたなら言ってよー」
「あ、あーすまない。2人の好奇心を止められなかった」
「何それ、もう…」
拗ねたふりをする。
「悪かったって」
「んーそうだなぁ、キスしてくれたら許す」
さらっと言ってみたけど、恥ずかしい…
「いいのか?」
「うん」
涼くんに顔を近づける。
「じゃあ…」
初めはお互いの距離を確かめるために触れる程度に。
次は少し距離を縮めて。
最後は抱き合いながら。
「六華、顔真っ赤だぞ?」
「そういう涼くんだって…」
「そ…そうか?」
「うん、真っ赤…」
恥ずかしくて話できない…
「俺らも寝よっか」
「そ…そうだね、寝よう」
布団が1組足らなかったらしくあたしと涼くんは同じ布団に入ることになった。
緊張のあまり寝付けずにいたら涼くんが話しかけてきた。
「六華、起きてるか?」
「…うん」
恥ずかしさのあまり思わず背中合わせになってる。
「こっち向いてくれるか?」
「ちょっと頑張ってみる」
「じゃあ、せーので行くか」
「わかった」
「「せーの」」
「よう…」
「向き合って一言目それ?」
「これ以外思いつかなかった」
「あはは、何それー」
「すまん…その…もっかいするか」
今ごまかしたなー?
「うん、しよっか」
「おやすみ」
「おやすみ」
おやすみのキスをして眠りにつく。




