第3話 初めての外泊と彼氏の妹
帰り道
「今日両親いないんだけど、家来るか?」
定番イベントキター!
「いいの?」
「ああ」
ホントにいいのかな?あたし何するかわからないよ?
それにしてもこの人、何かと緩すぎませんか?人の事言えないけど。
「じゃあお邪魔します」
「おう」
どうしよ…ものすっごい緊張する。
だって友達の家に行くんじゃなくて、彼氏の家だよ?どうすりゃいいのさ。
なんてあれこれ考えてるうちに涼くんの家に着いてしまった。
「どうぞ」
「お邪魔します」
さあ、というわけでやってまいりました、篠田家。
大きい家ですねー、もしかしてお金持ちなのかな?でも涼くんはそんな雰囲気しないな、いい意味で。
玄関に入ってみましょう。すごくキレイですねー、ハウスキーパーでもいるのかな?
シューズロッカーも心なしか大きく見えますね。
お次はリビングです。これまた広いですね。そういえば家族構成を聞いてませんでしたね、
この感じだと涼くんも含め5人以上ですかね。聞いてみましょうか。
「涼くんって兄妹いるの?」
「上に姉貴が1人と下に妹が1人だよ」
「そうなんだ」
なんと5人家族でした。
それにしてもお姉ちゃんと妹いるんだ、あたし兄妹いないから羨ましいなぁ。
なんて脳内レポしてたら。
「お兄ちゃん、帰ってたの?」
かわいらしい声が
「ああ、翔子いたのか。ただいま」
「おかえりお兄ちゃん。その人誰?もしかして彼女?」
ふぇ!?いきなり確信ついてくるのね、この子。
「ああ、紹介するよ」
「天人 六華です。よろしくね」
「篠田 翔子です。今小5です」
意外と離れてないんだな。いいなぁかわいいなぁ。
「六華さんは、彼女さんなんですよね?」
「うん、そうだよ」
「お兄ちゃん、ちょっとこっち来て」
翔子ちゃんは涼くんの手を引っ張ってキッチンへ引っ込んだ
「びっくりしたよ、お兄ちゃんあんなキレイな人連れてくるなんて」
「そうだろ?実は俺もびっくりしてる。あの子と付き合うことになって」
「…もったいない」
「え?」
「お兄ちゃんにはもったいないって言ってんの」
「えぇ翔子はひどいこと言うな。そういう子にはこうだ」
きゃははと楽しそうな声が聞こえてきた。
「部屋にいるから、入るときノックしろよ?」
「うん」
「絶対だからな?」
「わかってるよ。変な声聞こえても聞こえないフリするから」
「バカ何言ってんだよ…」
「だって付き合ってんでしょ?そういうことしてもおかしくないでしょ?」
「どこで覚えてくんだよそういうこと」
「どこだっていいじゃんそんなの」
「まぁ、いいか。とにかくノックはしろよ?」
「はーい」
なんか微笑ましいね、こういう光景。
向こうは聞こえてないって思ってるかもしんないけど丸聞こえなんだよね。
涼くんが戻ってきた。
「わりぃ、待たせたな。部屋行こうか?」
「ちょっと待って、心の準備が…」
「あぁそうか悪い」
よーしこういう時は深呼吸しよう。
スーッ、ハーッ。
よし。
「もう大丈夫…」
「そうか」
翔子ちゃんが涼くんの服の裾を引っ張り、
「お兄ちゃん、これお守り」と何かを渡した。
なんだろう?
「翔子、なぜそんなもの持ってる!」
「お兄ちゃん、小5になったらこれくらい普通だよ?それに持ってて損はないはずだよ?」
「…まあいいか。六華行くぞ?」
「…うん」
一体何を渡されたんだろう?
すっごい気になる
涼くんに手を引かれながら階段を上がって2階へ
「ここが俺の部屋」
「おお、意外とキレイだね」
中に入るとイメージと違いすぎてびっくりした。
男の子の部屋ってもっとこう、色々雑然と置かれてるイメージなんだけど、
キレイに整理整頓されてた。
「一応な?」
「一応?」
一応ってどういうことだろう?
あたしの為ってことはないだろうな。
「その…なんだ、親が中学上がったなら来るべき日に備えとけってさ」
「そうなんだ」
そういうことか、なるほどね。
でもキレイすぎる気がするんだけどなぁ。なんていうか生活感が無いというか、よくわからないけど。
ふと涼くんが渡されたものがポケットからチラッと見えた、だけどなんで小5の女の子が持ってるんだろうね?
「まあ座れよ」
「うん」
はい、案の定気まずい。
何か話題、話題は無いか。
「なあ、聞きづらいんだけど…さ、小5の時の事件のこと聞いてもいいか?」
何てこと考えてたら向こうから切り出してくれた。
でも、ちょっと触れてほしくないんだよね、どうしよう。
「…うん、ホントはあんまり話したくないんだけど、涼くんならいいかな」
「そうか、ありがとう」
まず、どっから話そうか。
「そうだなー。小学校…2,3年生のときだったかなぁ…イジメを受けてました。天使は来るなとか、化け物とか言われてたの。でもあたしは気にしなかった、というか気にすんのもバカらしいって思ってたから」
「…それで?」
「で、4年生くらいからかな、男の子たちが暴力振るうようになったのは。最初は小突く程度だったんだけど、徐々に殴ったり、蹴られたり最終的には金属バットで殴られたりもしたの、でもあたし天使だから傷の治りが早いんだけど、それをおもしろがってかわからないけど、どんどんエスカレートするばかりだった」
涼くんは黙って聞いてくれてる。
「んで確か小5の2学期くらいに服を脱がされそうになったの。あたしは必死に抵抗したんだけど、やっぱり力じゃ勝てなかった。そしたらあたしの中の何かが言うの「やられっぱなしでいいのか?やり返さなくていいのか?」って、あたしは悩んだよ?悩んでたらバットで頭殴られて気を失った。そんで気が付いたらあたしの周りが真っ赤になってて、犯人の男の子たちが血だまりの中で倒れてた。
目の前の光景が信じられなかったよ…」
「…六華、大丈夫か?」
知らぬ間に泣いてたらしい。
「ごめん、聞いて悪かった…」
「ううん、いいのいつか話すつもりだったから」
「でも…無理するなよ?きつかったら、話さなくていいからさ」
「ありがとう…でも大丈夫だよ。それでね?教室に先生が入ってきて「どうした、何があった?」
って聞いてきた…のかな?良く覚えてないけどね。でもあたし混乱してたから「わかりません」しか言えなかったの。クラスのみんな見てたなー、頭も痛かったけど視線も痛かったなぁ。
んで先生が「とりあえずこっち来い」って言うんだけど、また何かされるんじゃないかと不安で
そこから一歩も動けなかったの。結局、女性の先生複数人でようやく引っ張り出されたの」
自分でも良く覚えてないから曖昧にしか話せない。
「警察とかも来て事情聴取もされたんだけど、ただ震えるだけで答えられなかったの。そのせいか、あたしじゃなくて男の子たちが悪いってことになって…」
「六華、もういいよ。お前は悪くないんだろ?それに、その男共も本当の所生きてるか死んでるのか
わかってないんだろ?」
「…うん」
あたしは思わず涼くんに抱き着いていた。
「もう泣かないで、笑顔見せてくれよ。聞いて悪かった、だから今は、俺の胸で泣いてそれで終わり。それでいいか?」
「…うん」
「話すの辛かったよな。打ち明けてくれてありがとう」
ひとしきり泣いて気づいたら寝てたらしい。
起きたら涼くんのベッドの中だった。
「起きたか?」
「うん」
「家には電話しといてやるから泊ってけ」
「いいの?」
「ああ、こんなに目の周り泣きはらした子、ほっとけないからさ」
「…でも」
ホントにいいのかな?
そもそもあたしたち付き合ったばっかだし、外泊なんて初めてだし…
それに何か色々まずいんじゃないかな…
「飯はいま翔子が作ってるし、風呂も貸す。一人で入るのが嫌なら翔子貸すから」
「うん、ありがと」
コンコン…
「お兄ちゃん…と義姉ちゃんご飯できるよ?」
翔子ちゃん、お姉ちゃんて呼んでくれた!
でもなんかイントネーションおかしくなかった?気のせい?
「翔子ちゃん、お姉ちゃんって呼んでくれるのは嬉しいんだけど…その…六華で良いよ?」
「えー?いいじゃーん。ダメ?」
翔子ちゃんはご不満な様子。
「お願い」
「うーん…りょうかーい!」
渋々了承してくれた。
「あと六華ちゃんは家に電話した方が良いんじゃない?今のうちに着替え用意しとくから」
「おう翔子頼むわ。というわけだ」
いや待てよ…何この状況。まあいっか。
「うん。ありがとう」
「今日は抱き枕にしてやる」
「なにそれー」
思わず笑みがこぼれた。
「何本気にしてんだよー冗談に決まってるだろ?」
冗談かい!
おいおい、付き合った初日からキツイ冗談飛ばすねー。
でもちょっと、残念かも…
「い…いや、本気にしてないですよぉ?」
笑いながら取り繕う。
「やっと笑ったな?もっと笑わせてやろうか?」
涼くんがくすぐってくる
「ちょっ…やめ…あはは」
「あのー?イチャついてるとこ悪いんですけどご飯冷めますよ?」
またやってしまったー!
翔子ちゃんいたんだったー!
うわー、めっちゃ恥ずかしい…
「あぁ今行くわ」
涼くんはなんで平気なのですか?
「うん、翔子ちゃんありがとう。じゃあいただきます」
リビングに降りる。
翔子ちゃんのご飯おいしい。いいなこんな妹欲しいなぁ。
「六華ちゃんどう?おいしいかなぁ?」
「おいしいよー」
「翔子は料理美味いよな」
「もうお兄ちゃんてば、照れるじゃん」
確かにおいしいよね。
このオムライスは…中のライスはなんだろう?和風っぽいな。
和風なオムライスって珍しいけど、レシピ教えてもらえるかな?
「翔子ちゃん、この中のライス和風だよね?味付けはどうしてるの?」
「篠田家の秘伝のレシピなんだよ!今度、六華ちゃんにも教えてあげるね?」
秘伝のレシピかー、ちゃんと覚えて今度、涼くんに作ってあげよう。
喜んでくれるかなぁ?




