16話 呪紋
遅れて申し訳ありません!
ところで、梅雨に入りましたがそのせいでしょうか、頭痛が・・・
皆さんもお気をつけて
~呪紋~
「ただいまー・・・」
俺の帰宅の声は無残にも薄暗い小屋の中に吸収されていく。
あー疲れた・・・
俺は疲れ切った体を敷かれた布団に寝かせる。
天井を見上げながら今日あった出来事を振り返る。
試験、試験、試験。
試験しかねぇや。
だがこの一日は俺にとって重要かつ愉快な日であったことは間違いなかった。
慣れない環境で俺の正体も知らない。
公平に平等に戦える、それにけが人が出ない。
最高ではないか。
俺はそんなことを考えながら重くなりつつある瞼を閉じる。
・・・そういえばあいつら何してんのかな?
ふと前世界の仲間たちを思い出す。
すこしホームシックになっているのだろうか。
あいつらには申し訳ないことしたな。もし帰ったら全力で謝るか。
小屋の窓から入り込む月光に照らされながら俺は布団の中で今日一日の幕を閉じた。
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ーーーー〇〇&××sideーーーー
とある城の一角。
閉じられた窓から暁の色が白々と流れ込んでいる広大な広間で二人の者たちが長机に着きながら会話を交わしていた。
〇「あの方は今頃何をなさっているのでしょうか・・・」
×「さあね、今頃どっかのベッドで寝てんじゃないの、あの人寝るの好きだし。」
〇「そうでしょうか、でもいきなりいなくなるなんて。私心配で。」
×「でも、あの人時々いなくなるじゃん、いつもと変わんないよ。気にしない、気にしない。私たちは仕事仕事!」
〇「そうですね、あの方が帰ってきたらすこし説教が必要のようですね。」
×「だな笑」
〇「準備ができたら私たちが追いかけるのもありですよね。」
×「おっそれはいいな、行くか!」
二人はそれぞれ席を離れ、互いの仕事場に戻って行った。
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ーーーールクスsideーーーー
ふぁぁぁぁぁぁっ
大きなあくびをしながらまだ眠気に襲われている体を無理やり起こす。
朝日によって照らされた小屋はなんだか心地が良い。
昨日も見ていたはずの景色が変わったものに見える。
昨日の朝も見たはずなんだが、あの時は急いでいたからな。
もともと物置小屋として使われていたのか広さはそれなりにある。
小屋の中央には大きな丸テーブル。
そして東側の壁には大きな窓、その下に先ほどまで俺が寝ていた布団がある。
だが、それ以外生活に必要なものはない。
そのせいでこの部屋がとても広く感じる。
ただ今の時刻、午前8時前。
明るい外から小鳥のさえずりが聞こえてくる。
いい朝だ。
今日は何もない。
何も予定のない日なんて久方ぶりだな。
そうだ、一応学園の入校許可証は学園長からいただいている。
暇だから授業の様子などを見に行こうかな。
だが、まだ行くのは早いか。
・・・暇だな。
あっそういえばあの時の体の痛みが消えている。
俺は両腕、両足を動かす。
昨日の体を覆っていたしびれに似た痛みが消えていた。
何だったんだ?
まだこの世界に体がついていけてないのか。
ん?なんだこれ・・
俺の右肩の先端あたりに直径約5cmほどのあざのようなものが目に入った。
形状は星形をしており、まるでタトゥーを掘ったかのような漆黒の星が。
手で触れても痛みがあるわけでもない。
なんなんだ。
俺の中で不思議な違和感に襲われる。
それにもう一つ不可解な点が一つ。
とても小さいが星形の周囲に文字が彫られている。
俺が元居た世界の文字と似ているが、
「から、黒亡くなる。みな、きる、急助。・・・」
訳が分からん。
この不可解な文字が星形を囲っている。
呪いか?
神の祝福か?
それともこの世界で魔術を使ったことによる罰則か?
と、いくつもの疑惑が俺の頭を錯綜する。
だが、これを相談できるやつが今いない。
・・・気にしたら負けだ!
俺は視線を星形のあざ?から離し、あらかじめ用意されていた服に身を包む。
ただ今の時刻、午前8時20分。
そろそろ学校見学でもしに行くか。
そのまま俺は、玄関まで足を運び、手をドアノブに手を掛ける。
うっまぶしっ
おはよーございます!!と言わんばかりの日光が俺の瞳に入り込んできた。
視界が明るい状態から普段の景色に戻ると目の前に二人の姿があった。
「おっはよおお!!」
この元気な挨拶はメアリーだ。
その後ろからやれやれといったような顔で近づいてくるのはシャルルだ。
ここでいつもの3人が完成した。
俺としてはありがたい、この学園について無知なためこの二人に案内でもしてもらおうかなと思っていたところだ。
「ささ、3人で早速学校に行こーーーー Let's go!!」
テンションMAXのメアリーは全力で校門方向に駆け出した。
俺とシャルルはお互いに顔を見合わせ、一つ笑みを浮かべメアリーを追いかける。
「ごそごそ・・・」
「あれが、あの?」
「ほんとだってあの教官をだぞ。」
俺、シャルル、メアリーが通学路を進むごとに周辺が騒がしくなってくる。
周囲の人々の視線が俺たちに突き刺さる。
どうやらシャルルたちはこの視線を気にしていないらしい。
というか気づいていないといったほうがいいか。
俺の前で仲良く会話を交わしている。
時々俺に言葉をかけてくれるが、全く入ってこない。
はよ、はよ学園に着いてくれぇ!
自然と俺の足取りの間隔が早まる。
なんで学園の敷地ってのはこんなに広いんだ。
と、不意に根本的な問いが頭に浮かぶ。
「それは、この学園長の経済力、そして幾多の戦士を育成をしようという意思が現れた結果ですわ。」
・・・へ?
俺の後方からまるで母のような温かい声が質問に答えてくれた。
その声に反応して俺を含め3人が振り向く。
俺たちの視線の先にはなんとも美しい金髪の女性が佇んでいた。
所謂貴族、というべきだろうかそんな品格を漂わせている。
心の声を読まれた?
「あっミルキーちゃん!! 久しぶりーー」
正直戸惑いが拭い切れていない俺をそっちのけに右側の視界に栗色の髪が靡く。
メアリーだ。
彼女は、金髪の女性に気づくと突然飛びかかった。
そして抱擁を交わす。
俺は唖然としながらその光景を見ていることしかできなかった。
ミルキーと呼ばれていた彼女は静かにメアリーの頭をなでる。
その様子は実の姉妹のようであった。
俺とシャルルはこの二人の空間に入ることができずに事が終了するのをひたすら待つ。
「ふぅ、では。」
どうやら終わったようだ。
きっとあの空間に入れることができるのはどんな勇敢な勇者だとしても不可能であろう。
そんな時間に終わりが告げられた。
「お久しぶり、シャルロットさん。それと・・・」
メアリーといったん離れ、呆然としていた俺たちに彼女は話しかけてきた。
その透き通った翡翠色の瞳がシャルルから俺に移される。
「ごめんなさい、えーとあなたは?」
俺は少々慌てながら自己紹介を始める。
「あっ、初めましてルクス・ラグナと申します。」
と、言いながら深々と頭を下げる。
「初めまして、頭を御上げになってください。」
と、俺の右肩に彼女は手を触れる。
その瞬間、ほんの一瞬だが体に激痛が走る。
うっ!!
俺は痛みが走るとともにコンクリートの地面に跪く。
どうやら痛みは今朝の星型のあざからのようだ。
シャルルたちは急に跪いた俺に驚き、心配の声をかける。
俺は心配させまいと笑顔を作り大丈夫、と一言こぼす。
何気ない顔をして俺は腰を上げる。
・・・やはり右肩のあざに違和感がある。
このままでは生活にも支障が出かねない。即急に手を打たなければならないな。
と、珍しく真剣な顔をしながら考えてみる。---




