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15話 魔物の腕

5月に入って早々5月病の兆候が・・・

みなさんもそうならないように気を付けてください!

~魔物の腕~



 ここからだ、本当の試験は。



俺は発動した地形創造を解き体勢を立て直すために後方へ下がる。


ドキドキが止まらねぇ、平和が一番だがこういう闘いっていうのも心が躍る。

本気で戦いたくなっちまうじゃねぇか。


そんな俺の心の叫びを抑えつつ、冷静に次の手を考える。




「ここまでよくやった、では試験を終わらそう。」




体勢を立て直した俺に対してルナ教官が杖を上方へ掲げ詠唱を唱えつつそう言った。


くっもう終わらせる気か。

ならこっちもその気で行かなくてはな。


ふぅ。と、俺は一旦全身に行き届いてしまっている緊張を吐き出す。

そして一気に体内の魔力を右腕に集中させる。



「うっ・・・魔装破拳キラボルグレオシュルテ!」



そう言葉を放った瞬間、俺の右腕に黒い炎で覆われた獣の腕、いや悪魔の手に類似しているかのようなものが現れる。

んっ!右腕に少し痛みが走る。

それだけではない。

俺の全身にそれに似た痛みが感じられた。


あれだ、電気ペンの弱い版的な痛みだ。

そのような痛みが持続的に俺の体を蝕む。



なんだこの痛み。

いままでこんなことはなかったはず。

新たな環境が影響しているのか?

早く終わらせるしかなさそうだ。


そう自分に改めて確認し、標的となるルナ教官に集中する。

彼女は詠唱を唱えていた。




「我、汝の主として命ずる。赤き終焉を、永久の平和を、我に与え他を消し去れ・・・・・終焉の炎(ジエンド)。」




彼女の杖の先にはまるで太陽のような大きな日の球体が存在していた。



「「「「おおおおおおおおお何てことだぁぁぁ!! まさか試験で終焉の炎が見れるとは!!! ただ受験者に対して使うとは、ルナ教官は何を考えていらっしゃるのでしょうか?」」」」



静かな会場に再びあの甲高い実況の声が俺の耳に届く。


やっぱりこの世界では高位の魔術なのか。ただ、あの程度なら今までの人生の中、何度も見てきた。

いける!


そう思い、俺は右腕を後方に構えルナ教官の下に一気に駆け出す。


それと同時に俺に向かって巨大な火の玉が放たれる。



・・・すみませんが教官、その魔術消させていただきます!




「「「「対魔術 無効化術式 極!!」」」」



対魔術 無効化 改のいわゆる上位版だ。

向かってくる火の玉に左手を向け、接触とともにかき消す。

あれほど明るかった会場内が一気に暗くなった錯覚を得るほどの影響があった。

もう彼女には詠唱できる時間はない。

彼女を守る魔術も存在しない。


まあ、あっても消すだけだが・・・


「「「「うおぉぉぉぉぉぉ 破滅の衝撃(マナグロードヒィグナーレ)!!!!」」」」


俺の右腕とルナ教官の体が交差する。

その瞬間、激しい爆発が引き起こされる。


観客の目はルナ教官のHPバーに注目する。

注目した先にはHP0の表示がされていた。


そしてその横にはHPが少しも削られることなく佇んでいる俺の姿もあった。




「試験終了!!!! 勝者 ルクス・ラグナ!!。以上を持ちまして実技テストを終了いたします。」



審判のその声とともに観客席からは称賛の声、ルナ教官を心配する声などが会場を包み込んだ。

その中俺は入ってきた会場入り口を後にした。


うっ・・・痛みが、まだ続くのか。

案内人が別室まで案内するとのことだったのでついていくことにする。


なんだか帰りの廊下は冷たいような感じがした。

熱い闘いが終わったからだろうか。それとも・・・


まぁようやくゆっくりできる。

この体の痛みもどうにかしたいしな。

それに何が原因かわからないうちはさっきのような闘いは避けたい。



そんなことを考えながら長い廊下を歩くこと数分。



「ここで少々お待ちください。」


俺はある部屋に案内された。

そこは試験が始まる前に待機していた部屋だ。


部屋の大きさは比較的広く。

部屋の中央には丸テーブルが置かれており、その周りには数個の椅子が置かれている。

一応壁にはテレビも完備されていた。


あぁテレビなんてあったんだ、試験前の緊張で気づかなかった。

暇だし何か見るか。


俺は、テーブルの上に置かれていたリモコンに手を伸ばす。



すると、ガチャ・・・と、静かだった部屋にドアの開く音が入る。



俺はすぐさま扉に視線をやる。

そこには思いもよらない人達が立っていた。


この学校の女性学園長と鬼教官(エリシアという名前はまだ知らない)だ。


俺は椅子に座っていた体を起こし、学園長達がいる方向に体を向ける。



驚きですぐに口がきけなかった俺を察し、先に学園長のほうから話し出してくれたようだ。



「すばらしい試験でした。あれほどの試合は最近ではあまり見れなかったので大変唯意義な時間を過ごさせていただきました。それにしても少々手加減していたとはいえあのルナ教官に勝つとは、あなたは一体何者なのですか? あの終焉の炎を打ち消すなんてうちの学園にも数人しかできないのですが・・・」


少々長いお話の後、彼女たちはよくやりました。と、一言残し部屋を後にした。


その後先ほどの案内人に連れ添われ、俺は一旦小屋兼自分の部屋に戻る。

学園長の話では合格発表は明後日らしい。

それまで学園内の見学、下町を見に行くなり自由にしていいと許可が出たので俺は、まず下町で買い物などをすることにした。


ふぅー、お久しぶりの外のような気がする。

赤くなり始めていた空はは先ほどまで試験で闘っていたことを忘れさせるほど晴れ渡っていた。


・・・買い物とは言ったものの別に買いたいものなんてないんだけどな。

あっお腹空いたし前回行った食堂にでも行こうかな。


そう思い、人通りが多い大通りを歩きながら俺は前通った記憶を頼りに食堂を探す。




ただ今の時刻  夕刻の四時半ーーーー



ようやく見つけた。



「いらっしゃいませー!!」


店内に入ると同時に元気のいい挨拶が聞こえてくる。

ガヤガヤと賑やかな店内。


俺は大通りが見える窓側の席に腰掛ける。

外は真紅の世界。手元にはきれいで澄んだ水が一つ。


俺は、店員を呼び食事を注文する。

メニューを見ても何が何だかわからないためとりあえず前回来た時と同じものを注文することにした。



---------



ふぅぅ食った―、結構試験で魔力を使っちまったからお腹が空いていたとはいえ4皿食べ過ぎたかな。

お腹が重い。


気づけば外の景色は真紅色の空から星がよく映える漆黒の空に変化していた。

もうこんな時間、小屋に戻るか、と俺は街灯に照らされた大通りを戻っていく。




称号

「魔物の腕所持者」「大食い」

を獲得しました。

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