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13話 火炎蜥蜴

風邪をひきまして全然投稿できていませんでした。

すみません。



~火炎蜥蜴~


ガチャ・・・

俺の向かい側に設置された自動扉が開く。

そこにはおそらく俺の魔技試験官であろう女性が立っており、彼女の手には魔術杖のようなものが握られている。

彼女の登場とともに会場に大歓声が沸く。

どこからともなくこのような言葉が俺の耳に入ってきた。


「おねーさまーー今日も素敵です、頑張ってください!」


なんだ、その声援は。

確かによく見ると人並外れた美しさはお持ちのようだ。

腰まで伸びた淡い青色の髪、さらにすべてを見透かされているような透き通った水色の瞳。

そして雪のように白い肌。

まあこれならほかの生徒の気持ちもわかるわ。

などと俺が確認し終えると同時に実況の女子生徒の大きな声が試験会場内で響き渡る。


「さあ お次は魔技試験!先ほどの試合ですばらしい戦闘を私たちに見せてくれたルクスさんですが、今度のお相手は魔技科の中でも上位ランクを誇っているルナ・ツェペシ先生! ルクスさんは無事先生を撃破し、この試験をクリアすることができるのでしょうか?」


この実況によって再び会場内の生徒たちが盛り上がりを見せる。


やってやる。

俺は不本意にも鼓動が高鳴る。

はやく始まってくれ。

そういう思いが俺の心を支配していく。

先ほどまで試験を心配していた俺の姿はもう存在しない。

俺は今、猛烈に戦いたくなっている。

所謂あれだ、元ヤクザが「昔の血が騒ぐわ」みたいな感じ。


「「「ビーーーーーーーー」」」


待ちに待った試験の準備開始の鐘が鳴り響く。

そして再び俺の前に無造作に並べられた杖や棒のようなものが運ばれてくる。

あーどうしようか。

正直言うと、俺には杖等は必要ない。

ここまで来るまでのうちに実証済みだ。

そのため俺は、杖を運んできた教師に不必要とだけ宣言し、改めてルナ先生と相対する。

そして俺は準備完了と声を上げる。

おそらくルナ先生も準備はできているはずだ。

だがしかし、一向に試験開始の鐘が鳴らない。

剣技試験の時は準備完了した後、一、二分もしないうちに鐘が鳴ったはずだが。

と、不思議に思っている俺と共にざわめき始める生徒や教師。

そんな状況に女子実況生徒が我慢できずに声を発する。


「どうしたんだ? なぜルクスさんは杖をとらないんでしょうか?」


なぜと言われましても。

今度は会場全体に聞こえるように俺は、


「俺に杖は必要ありません!」


と、叫んだ。

その後数秒間、あたりに静寂が流れる。

俺は、会場内を見渡すとみな吃驚した表情をここからでも容易に理解できた。

だがそんなに驚くことか?

元の世界では杖なんて持ってるやつなんざ老人くらいだぞ。


「魔技試験で魔術を使わない気か?」


そう問いかけてきたのは目の前にいるお姉様ことルナ先生だ。

俺は、その問いに対して否定の言葉を返す。

ルナ先生は疑問を持ったまま、


「なら本当に杖を使わずに魔術を使うことができるのだな。」


と、俺に確認し、ルナ先生は指定の位置に立ち、鐘が鳴るのを待ち始めた。

会場内にはまだざわつきが残る中、お互いの準備完了宣言によって試験が開始される。


「「「「「ビーーーーーー」」」」」


鐘の音が騒然としている会場に再び緊迫した空気を誘うと同時にルナ先生は魔術詠唱を始める。

俺は、右腕を前に伸ばし魔術名を叫ぶ。


「暗き闇を照らす猛る炎よ、我が意思に従い敵を焼き払え・・・火炎のフレアランス!!」


「「黒炎ダークフレイム!!」」


双方から放たれた赤い炎と黒い炎がお互いを飲み込もうと入り混じる。

ちょうど会場の中央で2色の炎の壁が築かれる。

しかしその炎らはどちらかを飲み込むことなく静かに消滅する。

どうやら拮抗状態であったみたいだ。

先ほど実況のほうで魔技科の上位クラスだと聞いて念のため第5階位魔法で様子見はしたが・・・

(元の世界では最低第1から最高第10までの階位で分けられている)

この様子からして相手の実力はまずまずかな。

そう思索に耽ているとルナ先生が驚いたような表情でこう口にした。


「ほ、本当に魔術道具なしでそれに詠唱もせず魔術を発動させるなんてこの世のものとは思えんな。」


まさかばれたか?

そんな不安にかられる。


「だが、物事には必ず例外が存在する、それがお前なのかもな。」


この先生の発言によって俺は救われることとなった。

あぶねぇ、もし本当にばれたらどうなるか。

実験材料やなんかの戦争に駆り出されるかもしれんし、ただこの世界の魔術は魔法道具とやらや詠唱が必要なのか。

・・・めんどいな。

結局この言葉しか俺の頭には浮かばなかった。

しかし、運良く向こうは俺を例外扱いしてくれているのだから少しだけなら派手なことをしても大丈夫そうだ。

お互いに体勢を立て直し、再び先生は詠唱を始める。


「我、汝を従える者。姿を現し、我が敵を討ち滅ぼせ・・・炎舞 火炎蜥蜴サラマンダー


ほんの数秒の詠唱を終えた瞬間、彼女の背後に赤いトカゲのようなものが現れ、正面にいる俺のもとへ炎の玉を数発飛ばされる。

俺がそれを目で確認した刹那、俺を中心に半径約4、5メートルの範囲に火の手が回っていた。

一瞬の出来事であった。

何が起こったんだ・・・

この問いの回答はあの実況娘がしてくれた。


「おぉ!出ました!ルナ先生の別名火炎蜥蜴サラマンダー、その由来となったこのAランク上位の魔術、炎舞 火炎蜥蜴サラマンダー! たった数発の火炎が敵を囲む摩訶不思議な魔術!この魔術に囲まれたら最後さらっさらな灰に!」


・・・なんだよその実況。



称号

例外者イレギュラー」「火炎蜥蜴」

を獲得しました。

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