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11話 勝負の前振り

風邪を引きながら書きました・・・

みなさんも風邪に注意してください

~勝負の前振り~


会場に近づくにつれて歓声が大きくなってくる。

何か面白い行事でもやっているのか?

そう考えながら俺は、受付の女性に指定された場所へ歩み続ける。

緊張が・・・

おそらく筆記試験では散々な結果となっているだろうから実力試験でほぼ満点を取らなくては俺に未来はない。

会場に近づくごとにマイナスの気持ちと緊張が俺の心を支配してくる。


「ガチガチだぞ。 そんな状況で大丈夫か?」


その声の持ち主は、俺の行く道を阻むかのように腕を組みながら俺の目の前に立っていた。

その人物は、長い美しい黒髪を持ち、容姿端麗である。だが、感情は表に出さないず時に厳しい言葉を浴びせてくる。

おそらくそのせいで鬼教官と呼ばれるようになったのだろう。

そう。あの女性教官が俺の目の前に存在していた。

俺は、慌てて


「きっと大丈夫です!」


そう言い切ってしまった。


「ならいい。頑張ってこい。」


思いもよらない言葉が彼女かの口から放たれる。

俺は、てっきり厳しい言葉がくると思っていた。

俺と教官はこれ以上言葉を交わさずにそれぞれのみちを進む。

俺の足取りは、数分前のそれとは確実に違っていた。

先ほどまで緊張、不安に満ちた一歩は、期待と自信に満ちていた。


「「ルクス・ラグナ様、剣技試験開始時刻となりました。」」


と、会場内にアナウンスが響き渡る。

もちろん俺は、すでに試験会場にいる。

だが、何故だ。

何故こんなにも観客がいる?

とてつもない広さを誇っているこの総合訓練場の観客席にはこの学園の生徒らで埋まっていた。

実力試験ってのはいつもこんな感じなのか?

まずい。また緊張が・・・

周囲の観客の歓声が先ほどまでの平常心を徐々に蝕んでいく。


「あいつが召喚科史上二人目の男子生徒か?」


「あの子が召喚科の・・・」


観客席ではそのような会話が飛び交う。

しかし、俺には一切その声は届かない。

会場が賑やかで聞こえづらいのはもちろんのことだが俺は今、猛烈に緊張をしている。

その緊張が会場の歓声をもみ消してしまっていた。


「「ビーーーーーー  受験者の準備が完了したとみなし、剣技試験を開始致します。」


会場内に無機質な機械音が響くと同時に、観客に静寂と緊迫が流れる。

ついに始まってしまった。


落ち着け俺! 俺ならできるはずだ! 本気でやるしかない!

そう自分に言い聞かせ、なんとか平常心を取り戻そうとする。

これでも元魔王だ、こんな境地何度となく乗り越えてきた。

その自信が俺の平常心の欠けていた一部を埋めてくれた。


平常心オールグリーン! ルクス行っきまーーーす!

そう心の中で叫ぶと、


「「さぁ始まりました! ルクス・ラグナさんの実力試験。召喚士史上二人目となる男性召喚士となれるのでしょうか!?」」


「「「「「ウォォォォォォォォォォ」」」」」


!?、なんだ!?

静まり返ったこの会場に実況であろう女子生徒が声を上げる。

その声に続けて観客も声を上げる。

先ほどまでの静寂を一気に切り裂いていく。

は、は。まあでも、静まり返ったところよりもこう賑やかなところのほうがまだ気は楽かな。

と、俺は少し笑みを浮かべる。

すると、俺の反対側の扉が開き、試験官らしき大男が現れた。

試験官の身長は俺の1.5倍近くあり、もり上がった筋肉はまるでゴリラのような風貌をしていた。

さらに、額には大きな十字の傷も存在していた。

やばそうな人が出てきたな。

そう考えていると、


「さあ ルクス・ラグナさんはどんな武器を選ぶのでしょうか?」


実況の合図とともにカートに入った武器が俺のもとに運ばれてきた。

中には剣、槍、斧、弓等が乱雑に並んでいる。

うーん、どれにしようかな。

正直どれでもいいというのが率直な感想である。

魔王だからって魔法だけってのは時代遅れだ。最近の魔王は十分な剣技等も取得している。

俺は、乱雑に並んだ武器の中から刃渡り約80センチ程度の“刀”を選択する。

重さは、リンゴ約6個分(約1800グラム)くらいかな。

何度か刀を振ってみる。

いい感じだ。ちょうどいい。

次は、試験官の番らしい。

どうやら試験官もここで武器を選択するようだ。

確かに長年愛用しているであろう武器をここで使われたらきっとひとたまりもないことだろう。


「やっぱり俺はこれだな!」


試験官が大声を発し、一つ武器を選択する。

“大剣”だ。

俺が選んだ刀の長さの2倍はあるだろうか。

一番、試験官の体に合った武器である。

お互いに選択を終え、武器を提示する。


「両者、武器を選択したようです。ルクス・ラグナさんは刀、アンセル・メイヘン先生は大剣。どうやら剣対決になりそうです! 受験者や観客兼学生のみなさんのために試験内容について今一度説明を致しましょう! この試験では剣術、武術等の実力のみでの勝負です。魔術の使用はもちろん禁止です。

さらにこの試験での戦闘ダメージは、直接肉体にくるのではなく試験開始と同時に表示されるHPバーで計算されます。HPバーの残りHPがゼロになればそこで勝敗は決します。攻撃を受ければ少々痛みはありますが、ダメージは肉体にくるわけではないので安心して試験に集中して下さい。」


ようやく試験の説明が終わったのか。

試験会場の受付に全部聞いたのに、ここでの説明いるか?

・・・まあいい。少しは緊張ほぐれたかな。

よし、準備は十分。あの頃の実力を発揮して見せる。

そう気合を入れ直した俺に、


「よう! あんたが召喚士志望の男子生徒か。いい目してんじゃないか! いい勝負しようぜ! 俺の名前は、アンセル・メイヘン。一応剣技科の教師をしている。よろしくな!」


アンセル・メイヘンと名乗った試験官は、見た目とは裏腹にやさしそうであった。

俺もメイヘン試験官にあいさつをし、指定された場所に戻る。


「さあ前振りは終了です! ようやく試験が始まります!」


「「ウォォォォォォ」」


実況の女子生徒と観客が盛り上がる中、


「「「「「剣技試験致します。 ビーーーーーーーーー」」」」」


俺の運命を分ける試験の前半戦が始まる。



称号

「戦士」「恐れぬもの」「武士」

を獲得しました。   

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