開戦 -2-
レインは『連盟』に所属しているすべての国家に使者を送った。
内容は簡潔。
『愚者は矛を取り賢者は口を使う』。
つまり、
『戦争するか交渉に応じるか。どちらを選ぶべきか、バカじゃないならわかるだろう?』
ということであった。
返事は数日も経たず返ってきた。返事は一つだけだった。日付と場所が書かれてあった。
レインはアブリリウスとユクノだけを連れてその場所に向かった。移動方法は魔力によって動く『航空機』である。リリィなどの助言によりつい最近開発されたばかりの『試作』。まだ実戦に投入できるほどではないが、『帝国』の技術力を見せつけるには十分過ぎるほどの発明である。レインたちはそれにより数時間で約束の場所に到着した。対空兵器が存在しないわけではないが、(今までにも『人間』なら空を飛ぶこともできたのである。そして空からの攻撃をすることもあった。しかしそのようなことをする者は非常に少ないため、そんな『例外』を確実に落とせる程度の兵器しか存在していなかったのである)、レインが居る時点でどのような魔法も効果はない。
『連盟』のトップたちが集まる城の上、レインは言った。
「すまんな。少し早く着いてしまったようだ」
そしてレインたちは城のバルコニーに降り立ち、航空機は消えた。そう、まるで『消えた』ように見せたが、実際は単に見えないようにしただけである。魔法を使っただけだ。驚くほどのことではない。しかし『航空機』というあまりの規格外のせいで、これを見ていた誰もが正常な判断力を失っていた。だからこの『消えた』というのも帝国の技術で成された『何か』だと思い込んでしまったのである。そしてここまで圧倒的な技術力を見せられたならば、帝国と戦争をすることが何を表すかはすぐにわかるだろう。つまりこれは交渉を上手く進めるための一手段である。軍事力の差はそのまま外交力の差と成り得る。そんな事実を利用しただけのことだ。
バルコニーに降り立ったレインは『連盟』のトップたちが話し合っている部屋に入り、適当な椅子に座る。
「どうやら全員集まっているようだな。俺も暇ではない。時間を無駄にしないためにも、早速、話し合いを始めようか」
レインは言った。




