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余次元住まいのハザマ様!part8 室生家のその後  作者: 山桃
伏魔殿 篇

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伏魔殿と屋敷神の使い方

ひとまずは、光(みつる)が食事を摂れることが分かって胸を撫でおろした。初音の体が身軽に動くうちは、光の食事は全面的に彼女へ任せることに決まった。


俺は並行して、美麗(みれい)さんと屋敷の改革についての打ち合わせを進めた。

手始めに厨房のシフトを大幅に変更し、ハザマ派の腐女子連合と、これまで冷遇されていた律(りつ)・陸(りく)派の使用人たちを組み合わせて料理を作らせることにしたのだ。


出来上がった彼らのまかないを俺も試しに食べてみたが、胃の腑にあのチクチクとした不調は起こらず、全く問題なかった。

それどころか、手で読み取ると、料理からはキラキラとした光の粒子のようなものが舞っているのが見える……。派閥を超えて、楽しく談笑しながら料理を作った記憶が宿っている。

(これなら、なんとかいけそうだな)


確かな手応えを感じつつ自分の部屋へ戻る途中、ふと周囲を見回して足が止まった。

(あれ……? 屋敷内の照明、ワット数を上げたか?)

そう錯覚するくらい、常に薄暗かった伏魔殿の廊下が、異様に明るくなっていたのだ。


不思議なこともあるものだと思いながら広い屋敷内を歩いていると、前方からハザマがやってきた。

見れば、あいつも上方——天井付近を胡乱(うろん)げな目で眺めながら歩いている。お互いに顔を見合わせた瞬間、俺たちは全く同じ言葉を発していた。


「「なんか、明るくなったか?」」


見事にハモってしまった後、俺が「照明を替えたわけじゃないよなぁ……?」とこぼすと、ハザマがこう答えた。

「さっき、外で雷のようなものがピカッと光ったんだ。何かあったのかと思って部屋を出たら、屋敷中がこういう風になっていた。……おそらく、光が何かしたのかもしれん」


「光が……? そういえば前にもあったな。イカの異形騒ぎの時、外で雷が光ったと思ったら、お前に屋敷神が降りてたもんな」


真相を確かめるべく、二人で連れ立って光のいる部屋へと向かった。

襖を開けると、初音が「光様すご〜い! よくできたねぇ〜!」と、拍手をしながら光を褒めちぎっているところだった。


「初音、どうしたんだ? ……光が何かしたのか?」


俺が尋ねると、初音はあっけらかんとした笑顔で答えた。

「あ、御影様! ここのお屋敷って、照明をつけてもなんだか重くて暗いイメージでしょう? なので、長年蓄積された人から出る『もや』みたいなもので暗くなっているんじゃないかと思いまして。試しに、屋敷神様の御真名を心の中で唱えてみたんです」


「唱えた……?」


「はい! そうしたら、光様がその暗い『もや』をパァーッと全部祓って、お掃除してくださったんですよ!」


「「!!??」」


俺とハザマは絶句した。

「お前……。最高位の屋敷神を、そういう空気清浄機みたいな使い方するんだ……?」


俺が戦慄して引きつった声を上げると、初音はきょとんと小首を傾げて聞き返してきた。


「え? 逆に、屋敷神様の正しい使い方ってなんですか……?」 


「…………」


俺が返す言葉を失っていると、隣でハザマがふっと息を吐いて笑った。

「いや、それでいい。私利私欲にまみれた願い方ではないし、屋敷内の環境や雰囲気が良くなれば、結果的に屋敷神の益にも繋がるからな」


ハザマの言葉を聞いて、俺は深く反省した。

「屋敷神=畏れ多く、触れてはならないもの」という旧家特有の固定概念に囚われすぎていて、「家を護り、場を清める」という神様の根本的な役割と扱い方を、俺はすっかり忘れていたように思う。


イカの異形事件 

https://ncode.syosetu.com/n5153mu/17/

https://ncode.syosetu.com/n5153mu/18/

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