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余次元住まいのハザマ様!part8 室生家のその後  作者: 山桃
青き名の家系 篇

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16/25

妖美な男の交換条件と証明方法

次の日、俺の従兄弟である律(りつ)が室生の屋敷を訪れた。

絵の真贋を俺に相談してきた叔父貴の息子であり、自ら調査会社を立ち上げて運営している男だ。


長い巻き髪にピンクのメッシュを入れ、ビジュアル系バンド風の服を着こなす、麗しく派手な出立ちをしている。


「やあやあ、久しぶり〜。父に召喚されて来たよ」


「リッツん、よく来たな。絵の調査か? リッツんが来てくれたなら心強いよ」


「例の絵を見せてくれない?」


「ああ、これなんだが……」


俺が絵を見せようとしたその時、スマホが震えた。連絡網——LIMEを通じた、藤城(ふじき)からのSOSだった。


慌てて屋敷の外に出ると、なんと雨宮青児に誘惑されている藤城の姿を見つけた。室生家自慢の立派な白壁に、藤城が追い詰められている。


「雨宮! 何、他人の屋敷で勝手に壁ドンしてんだよ!」


「あ、お久しぶりです。その節はありがとうございました」

雨宮は俺を見て礼儀正しく挨拶しつつも、藤城が逃げないよう、その腰にしっかりと手を回したままだ。なんという息をするかのような女たらし……。


「うちの従業員を誘惑してんじゃねぇよ、さっさと中に入れ。月山(つきやま)青湖(せいご)の絵のことで、お前に聞きたい事があるんだ」


「…………お邪魔いたします」


*****


応接間に雨宮を座らせ、俺は律を紹介した。


「こっちの麗しくて派手な男は、俺の従兄弟で調査員だ。絵を調べに来た」


律は名刺を雨宮に渡しながら、しげしげとその顔を覗き込んで感嘆の声を漏らした。


「わぁ、君ってハザマ……いや、お兄さんにそっくりだね」


雨宮青児は苦笑しながら言う。

「よく間違われます。特に、このお屋敷の周りでは」


「単刀直入に聞くが、これは月山青湖の本物の絵か?」

俺が詰め寄ると、雨宮はすぐに頷いた。


「……ええ、そうですが?」


「なら、それを画廊で証明してくれないか?」


俺の要求に対し、雨宮はふっと妖しい笑みを浮かべた。

「僕がわざわざ出向いて証明せずとも、画廊がもっと納得する科学的な方法がありますが……そっちの方が良くないですか?」


「その方法って?」


「……教えますから、初音さんにモデルの許可を出して貰えませんか?」


「…………交換条件かよ。言っておくが、ヌードは絶対ダメだぞ」


俺が渋い顔で釘を刺すと、雨宮はスマホを取り出し、一枚の画像を見せて来た。


「この絵……父が生前、構想を練って描いた下描きなんですが、途中でやめてしまって……このくらいの露出度なら構わないのでは?」


画面に映し出されていたのは、蜘蛛の巣が描かれた着物を退廃的に着崩した妊婦の姿だった。ふっくらとしたお腹と、乳房が少しだけ覗いている。


絵の知識がない俺でも、ゾクッとするほど生々しく、圧倒的に色っぽかった。


「……う〜ん……まぁ、これくらいなら許せる、かなぁ……」


早く絵の件を解決したいという焦りも手伝ったのだろう。

俺はこの時、その芸術的な色香に呑まれ、愚かにも許可を出してしまったのだ。




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