↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
余次元住まいのハザマ様!part8 室生家のその後  作者: 山桃
青き名の家系 篇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/25

産婦人科の夫婦ごっこと兄に成り下がる俺

急いで初音の部屋へ向かうと、彼女はちょうど湯呑みを片付けているところだった。


「初音、美麗(みれい)さんが来たか?」


「はい。ちゃんと事の次第を一から説明しました。美麗さん、かなり驚いていましたけれど……」


「まぁ、驚くよな……」


俺は心底ほっとして、本題である例の『プレパパ・ワークショップ』の件を切り出した。


「俺に気を使ってくれたのは嬉しいが、また二人で経験しないまま父親になるのは、もうごめんだ。今度は俺も一緒に産婦人科へ行く」


満面の笑みで喜んでくれると思っていたのに、何故か初音の表情がさっと曇った。


「……何か不都合でもあるのか?」


「実は前々回、御影(みかげ)様がお仕事で長い間不在だった時……私だけ夫……パートナーがいなくて、すごく肩身が狭かったんです。それで産婦人科の入り口でうじうじしていたら、たまたま青児さんが声をかけてくれて……青児さんに夫役をしていただいたんです」


「なっ!?」

俺は信じられない言葉に、思わず声を荒らげた。

「何!? あいつと夫婦ごっこしたのか!? 産婦人科で?」


ついカッとなって責めるような口調で問い詰めてしまうと、初音はビクッと肩を揺らし、寂しそうに俯いてつぶやいた。


「…………だってみなさん、とても幸せそうに、ご夫婦で一緒に沐浴の練習をしたり……オムツ替えの練習をしたりしていて……」


しまった。

妊婦に過度なストレスを与えると、お腹の子に悪い。俺は猛烈な自己嫌悪に襲われ、慌ててトーンを落として謝罪した。


「い、いや、俺が悪かった。仕事仕事で、全く初音の事に気を使ってやれなくて……雨宮は、そんなお前を見かねて助けてくれたんだな?」


俺が必死に取り繕うと、初音は困ったように眉尻を下げた。


「でも、今回御影様を連れて行くと、他のご夫婦や助産師さんに誤解されてしまうのではないかと……。青児さん、一度見たら皆さんの記憶に焼きつきますよね。とても目立つ方ですし……」


確かに、あの魔性の男が「夫」として鮮烈なデビューを飾ってしまった後で、本物の(内縁の)夫である俺が登場すれば「え、この人は誰?」と現場が大混乱に陥るのは火を見るより明らかだ。


だが、ここで引き下がるわけにはいかない。俺は決死の覚悟で妥協策を叫んだ。


「も、問題ない! 『今日は夫が来れなかったから、代わりに初音のお兄さんが付き添いに来た』という設定で、俺が完璧に演技してやるから!」


「えぇぇえ?」


実の夫であるはずの俺の提案に、初音の素っ頓狂な声が空しく響き渡った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。