第八話 変化
待ちに待った週末がやって来た。今回、邱艾晶は家で漫画を読んで引きこもることもなく、うだるような暑さの公園で指輪を探すこともなく、方雨彗と約束して一緒にデパートへ買い物に出かけていた。指輪探しは急務ではあるものの、方雨彗は同じ翼族姫の仲間なのだから、しっかりと親交を深めることも非常に重要なのだ。
「ねえねえ、方雨彗。この服、私に似合うと思う?」邱艾晶はファストファッションのチェーン店で、真っ白なオフショルダーのキャミソールワンピースを手に持ちながら方雨彗に尋ねた。
「うーん……正直、あんたが肩出しの服を着てるのってあんまり想像できないわね。」
「じゃあ、ちょっと試着してくるね。待ってて!」
試着室のカーテンを引き、鏡に映る自分を見つめる。今日の邱艾晶はカジュアルなツーピースのセットアップで、淡いピンクのカーディガンを羽織り、地味な無地のインナーにベージュのミモレ丈スカートを合わせていた。これが彼女がずっと自分に似合うと思っていたスタイルだった。しかし、手にあるこのオフショルダーのワンピースを見つめながら、彼女は思った。(こういうスタイルも意外と悪くないんじゃないかな?)
「シャッ」とカーテンを開ける音がして、着替えを終えた邱艾晶は両手を前で組みながら姿を現した。その表情には、このようなスタイルに対するぎこちなさと不慣れさが表れていたが、それでも親友の意見を聞いてみることにした。
「方雨彗、これ……どうかな……?」邱艾晶の声は次第に小さくなっていった。
方雨彗は顔を上げ、口角を下げて、少し真剣で厳しい眼差しで邱艾晶を見つめた。
「笑って。」
「え?」
「微笑んでみて。」
邱艾晶は不自然に口角を引き上げた。
「硬すぎるわよ、もっと自然に。口だけじゃなくて、目もちゃんと笑って。」
邱艾晶は、広告モデルが宣伝写真を撮る時のように甘い笑顔を見せた。
「ちょっとセクシーなポーズもしてみてよ。」
「でも、ここ服屋さんだよ!」
「誰もあんたのことなんて見てないわよ。ほら、早く。」
邱艾晶は心の中でまだ少し恥ずかしさを感じていたが、思い切って、舞台でお芝居をしているのだと思い込むことにした。プロの女優のように、別の役を演じていると想像し、まずは自分自身の人格を脇に置いた。
「これなら……どう?」
その口調にはまだ自信のなさが溢れていたものの、動作や表情から漂う魅力的な姿は、思わず視線を奪われるほどだった。邱艾晶は右手を後頭部に回して揺れる長い髪をかきあげ、左手も上に伸ばして軽く曲げた。右に傾けた頭で左目を閉じ、右目でウインクをするように色気を放っている。星のように輝く瞳、透き通るような肌、くっきりと浮かび上がる鎖骨、そして人を惹きつけるしなやかなポーズ。こんな邱艾晶は、彼女自身でさえ今まで一度も見たことがない姿だった。見よう見まねの不格好なものになるかと思いきや、今の彼女が放つ魅力は、まるで洗練された大人の女性のように圧倒的な美しさだった。
「そう!それよ!」方雨彗はついに笑顔を見せ、思わず数回手を叩いた。「さすが邱艾晶。こういうスタイルも絶対に着こなせると思ってたわ!」
邱艾晶は照れくさそうに元の控えめな表情に戻り、方雨彗に尋ねた。「じゃあ聞くけど、どっちの方が私に似合ってると思う?どうすればもっと人を惹きつけられるのか知りたいんだけど。」
「あーあ……游暐安を惹きつけたいのね。」方雨彗は、邱艾晶が直接口に出すのを恥ずかしがっていた名前を容赦なく口にした。それがすでに公然の事実であったとしても。方雨彗は少し考え込むようにして続けた。「まあ、外見より一緒にいる時のフィーリングの方が重要だとは言うけど、彼がどっちのタイプが好きなのかは私にも分からないわ。それはあんた自身で探ってみるしかないわね!」方雨彗は茶目っ気たっぷりにウインクをした。
服屋を見終わった後、二人は引き続きあてもなくブラブラと歩き回った。ジュエリーのコーナーの前を通りかかった時、方雨彗はショーケースの中で色とりどりの光を反射する宝石やアクセサリーをちらりと見て、ずっと邱艾晶に聞く機会がなかったある質問が突然頭をよぎった。
「ねえ、邱艾晶。ちょっと聞くけど、あんたの指輪ってどうやって落ちたの?普通に考えて、手につけてる指輪が勝手に外れ落ちるなんて、あんまりないはずでしょ?」
「えっ?私の指輪?それは、ある日のことなんだけど……」邱艾晶は、自分が指輪を失くした事の顛末を語り始めた。
あの日、邱艾晶は台湾の島の上空にやって来て、人間界での観察任務を実行しようとしていた。
本来なら雲一つない見事な快晴で、澄み切った青空のようにすべてが順調にいくはずだった。上機嫌な邱艾晶は、昔テレビでよく見たアニメのキャラクターのように自由に空を飛び、一見すると何の悩みもなく大空を駆け巡っているかのようだった。
突然、翠魔王の一人の手下が何の偽装もせずに背後に現れた。
「そこの翼族姫よ、今すぐその翼族指輪とヘアピンを差し出してください。もし大人しく私の仕事に協力してくださるなら、翠魔王様に命だけは助けていただけるようお願いしてさしあげましょう。」その口調は一見慇懃無礼だったが、口から出たのは何の飾り気もない理不尽な要求だった。
翠魔王の残忍な性格からして、彼が簡単に人を許すはずがない。翼族姫として、邱艾晶は幼い頃から羽帝に「黯翊族の者には気をつけるように」と再三警告されてきた。当然ながら、彼女は翠魔王の手下の指示に素直に従うほど愚かではなかった。
「あなたが私に何をさせようと、絶対に協力なんてしないわ!」そう言うと、彼女は指輪を使ってメッセージを送り、霧羽天国の方角へ向けてSOSの信号を発信した。霧羽天国が信号を受け取れば、危険に晒されている翼族姫を助けるため、即座に援軍が派遣される仕組みになっていた。
しかし信号を発したとはいえ、邱艾晶の現在地は霧羽天国からまだ距離があり、援軍が到着するまで手下も黙って見ているはずがなかった。「協力しないと言うのなら、こちらも容赦はしませんよ。」そう言うと、黯翊族の手下の両目から暗赤色の光が一直線に放たれた。その光は異常に熱く、ひどく刺々しかった。手下と邱艾晶の目が合ったその瞬間、彼女はすぐに催眠状態へと陥ってしまった。
催眠魔法にかけられ、邱艾晶は理性の部分でなんとか意識を保ち抵抗しようとしたが、ただまぶたがひどく重く感じられ……頭も次第にめまいがして、どんよりとした状態に陥り始めた。
「あなたの指輪を外しなさい。」その簡単な一言が、耳元で何度も繰り返された。その声は聞けば聞くほど魅力的に響き、なぜか次第に一種の安心感に満たされていった。
おかしい。相手が敵であることも、指輪が翼族にとって第二の命のようなものであることも、そんなことをすれば自分が危険に晒されることもよく分かっているはずなのに、手が言うことを聞かない。右手が左手の人差し指から指輪を外そうとしている。相手の指示に従うことこそが、あらゆる意味で最も正しい行いであるような気がしてならなかった。
次回予告:デパートを後にした邱艾晶と方雨彗は、続いてヘアサロンへ向かい、髪型の大改造を行うことに。邱艾晶の魅力を内面から外見まで全面的に引き出すため、さらに徹底したイメージチェンジが必要だ!しかし、ヘアサロンの中で、邱艾晶のヘアピンに特別な興味を示す小さな女の子が現れる。彼女の正体はいったい……?
次回:髪香る姫




