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漂流大陸の翼族姫、人間界でのファンタジーな出逢い  作者: 冬小密


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第六話 よからぬ企みを持つ敵

方雨彗は、自分がまるで高位の忍者のように、神出鬼没に誰にも気づかれることなく無事に降下できたと思っていた。しかし、その降下の過程の一部始終は、道端で透明になって身を隠していた邱艾晶に完全に見られていたのである。方雨彗の頭にあるヘアピン、そして手にある指輪はどちらもあまりに見覚えのあるものであり、同じ翼族姫である邱艾晶に自分の正体を即座に暴露する結果となった。


翼族の民はみな、誕生した後に羽帝から指輪を一つ授けられる。この指輪は翼族であることの証明であり、飛行するための力の供給源でもある。翼族が指輪をつけて飛行する際、自分自身や他の翼族の目には、普通の人間の姿に翼が生えただけのように見えるが、人間の目には普通の鳥と何ら変わりなく見える。こうすることで人間に発見される確率を下げることができるが、それでも変身の過程を見られてしまえば、大変なことになってしまうのだ。


指輪の他に、翼族姫にはそれぞれ専用のヘアピンが与えられる。このヘアピンは翼族姫の超能力の源であり、超能力の種類は個人の身分を象徴する鳥の種類によって決まる。邱艾晶はゴシキドリの姫である。ゴシキドリは中低海抜の森や街中でよく見られ、体に五つの色を持っているが、大部分の羽は緑色で、茂みの中では非常に優れた保護色の役割を果たす。そのため、ゴシキドリの姫の超能力は「透明化」である。両手の人差し指を交差させて胸の前で握り、体を静めてヘアピンから送られるエネルギーを全身にしっかりと行き渡らせれば発動できる。先ほど切羽詰まった状況下で、邱艾晶は自分でも気づかないうちにこの能力を発動させ、難を逃れたのである。もちろん能力の発動方法を忘れていたわけではなく、犬に追いかけられたせいで一時的に頭が真っ白になり、自分にそんな能力があることすら忘れてしまっていただけなのだ。


一方、方雨彗はハチドリの姫である。ハチドリは優れた適応能力を持ち、砂漠、熱帯雨林、高原などの様々な地形でその姿を見かけることができる。ハチドリは世界で最も小さな鳥であるだけでなく、羽ばたきの速度が最も速い鳥でもある。普通の鳥は前にしか飛べないが、ハチドリは前に飛ぶだけでなく、後ろに飛んだりホバリング(空中停止)したりすることができる。パッと見ただけではまるで時が止まったかのように見えるため、彼女の超能力は「対象を静止させる」ことである。


一般的な翼族の民は指輪の外観がすべて同じだが、翼族姫の地位の独自性を高めるため、それぞれの翼族姫の指輪とヘアピンは、外観において唯一無二のデザインとなっている。そのため、方雨彗の指輪があったとしても、邱艾晶が忘れてしまった指輪の外観を思い出すための比較対象にはならない。そして、先ほど方雨彗が鳩の口から奪い返したあの指輪は、ただのプラスチック製の指輪にしか見えず、外見に特別な意匠も施されていなかった。百円ショップで売っているおもちゃのようなこの指輪は、どこからどう見ても、邱艾晶の神聖な翼族指輪であるはずがなかった。


「私の正体を知ったからには、忠告しておく義務があるわね」方雨彗は真剣な眼差しで邱艾晶を見つめた。今の笑顔を一切見せないその表情が、彼女の伝えようとしている事の深刻さをより一層際立たせていた。


方雨彗が人間界で生活している期間は邱艾晶とほぼ同じだったが、彼女はずっと前から邱艾晶も翼族姫であると確信していた。「邱艾晶」や「方雨彗」といった人間の名前は人間界でのコードネームに過ぎず、霧羽天国ではそのように呼び合うことはない。また、飛行形態と人間形態の翼族とでは、髪型や瞳の色など外見にわずかな違いがあるため、人間界で簡単にお互いを認識できるとは限らない。しかし、邱艾晶は四六時中ヘアピンを頭につけていた。人間の目にはただのありふれた髪飾りにしか見えないが、翼族姫——あるいは悪意を持つ者たちにとって、それは一目で正体を判別できる標識なのである。


「もしあんたの指輪が、奴らに先を越されて奪われたら、どれだけ深刻な事態になるか分かってるわよね?」邱艾晶はひどく不安そうな表情を浮かべた。今の彼女の周りに漂う空気はあまりにも険しく、邱艾晶はその目を直視することができなかった。「うん……分かってる。だから、絶対に全力で探すよ」


太平洋の中心近く、海抜15000メートルの上空。そこには「黯翠帝国」と呼ばれる国が存在している。そこでは、翠魔王が彼の手下である黯翊族を統治している。黯翊族の者は皆、飛行し鳥の姿に変身する能力を持っており、彼らは皆この残忍な暴君に忠誠を誓っているのだ。


翠魔王は銀色の短い髪を持ち、重圧的で威厳のある顔立ちは赤と白が交差する半面の仮面の下に隠されている。身にまとったローブとマントは、深い緑と漆黒の鈍い光を互いに反射し合っていた。彼こそが、翼族指輪とヘアピンを渇望する黒幕である。彼には自身の強大な力だけでこの王国全体を創り上げる能力がすでにあったが、悪逆非道な者の力への渇望は常に底なしである。指輪とヘアピンから翼族姫の力をさらに吸収したその瞬間、翼族姫は灰となって消え去る。そうして敵を一人また一人と打ち破っていけば、自分が霧羽天国を、さらには地球全体を支配する日も遠くはない。これこそが、翠魔王が生涯をかけて追い求める目標であった。


「ご報告申し上げます、殿下。わたくしめは先ほどの任務に失敗いたしました」宮殿の中で、一人の手下が翠魔王に対し片膝をつき、両手を合わせて深く頭を下げた。


先ほど方雨彗に静止させられ、指輪を奪われたあの鳩は、この手下が変身した姿であった。本来なら翼族姫の注意を引きつけ、陽動作戦で彼女たちを撹乱しつつ敵情を探るつもりだったが、今回の作戦でいとも簡単に捕らえられてしまったのだ。


「役立たずのクズめ、我が国の資源を浪費してまで貴様を飼っておく必要はない!」翠魔王は極めて低く力強い声で怒鳴りつけると、指を鳴らした。手下が言い終わるのを待つことなく、手下の命は彼の魔法によって直接奪われ、その肉体は魂とともに空気中へ霧散した。


「殿下、ご報告いたします。このような何の役にも立たない手下を再び派遣するよりは、私を下界へお遣わしください」仮面をかぶった身軽な女性の手下が、軽薄な態度で翠魔王に自らを売り込んだ。


「ふむ、お前か……よかろう、兵を養うは千日、用いるは一時。お前は私がこれまで最も目をかけてきた手下だ。お前なら必ずや完璧な計略と万全の能力をもって、奴らを仕留められると信じているぞ」


「殿下のご期待に感謝いたします。この身は決して期待を裏切らず、あの翼族姫たちと彼女らの指輪を、無傷で殿下へ献上いたしましょう」


「頼んだぞ、早く行け。我が胸中にある力への渇望は、すでに待ちきれぬほどだ!」

次回予告:「方雨彗、今日私と游暐安が日直なんだよ!」

恋心の芽生えというものは、往々にして平凡で目立たない瞬間に起こるものだ。今のうちに游暐安に自分の頼もしい一面をアピールしなければ。そう意気込む邱艾晶だったが、なんと休み時間を一日中自分の席で寝て過ごしてしまい……


次回:頼りになる女?

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