第五話 運命の正体発覚
「えっ?犬は?なんで急に吠えなくなったの?」邱艾晶が目を開けると、誰の姿も見えなかった。チベタン・マスティフはまだ目の前にいたが、かなり困惑している様子で、何かを探しているかのようであり、先ほどのような威嚇する吠え声も出さなくなっていた。
「ここにいたのね、やっと見つけたわ。バカ犬!もう勝手に走り回らないでよ。もしまた人を噛んでケガでもさせたら、相手の治療費は絶対にあんたの缶詰代から引いてやるからね!」見たところ25歳くらいの女性が、チベタン・マスティフを叱りながらリードを引いて連れ去っていった。
しかし、自分が目を開けた後、チベタン・マスティフもその飼い主も、なぜ自分のことが見えなくなったかのように振る舞っていたのだろうか?邱艾晶がうつむいて自分の体を見ると、自分自身でも自分の体が見えなくなっていることに気がついた。
邱艾晶と別れた後、方雨彗は交差点を右折して全速力で走っていた。この道は非常に曲がりくねっているだけでなく、次第に狭くなっていた。足取りが速くなるにつれて、両側の家と方雨彗の距離がどんどん縮まっていく。まさかここは通り抜けられない行き止まりなのだろうか?くそっ、体力を無駄に消費してしまった。この後は引き返して走らなければならない。だが、本当にそこが行き止まりだと確定するまでは、ひとまず走り続けよう。前方に急カーブがある。お願いだから行き止まりだけはやめて、それ以外なら何でもいいから。
急カーブを曲がった先、なんと一羽の鳩がその曲がり角に立っていた。しかもよく見ると、そのくちばしには指輪のようなものをくわえている。激しい全力疾走から急ブレーキをかけた方雨彗は、しっかりと足場を固めてから両目の焦点を合わせ、目の前の光景が自分の幻覚ではないことを確認した。しかし、鳩の方もすでにその速く密集した足音に気がついており、方雨彗が立ち止まったその瞬間、羽を広げて飛び立ってしまった。
「仕方ない、今はこうするしかないわね。」方雨彗はスカートのポケットから携帯用の小さな箱を取り出して開けた。中には、薄い水色で半透明の、微かな光沢を放つ流れ星の立体的なマークが刻まれたヘアピンと、両側に外へ広がる羽の模様がある赤銅色の指輪が入っていた。方雨彗は素早くその二つのアイテムを身につけ、箱をポケットに戻した。しっかりと足場を固め、少し助走をつけてから前方へ思い切り跳躍すると、体の両側から一瞬にして巨大な翼が生えた。そして鳩の軌跡に沿って飛び立ち、敏捷な身のこなしで鳩の尾を追った。
鳩の後ろ姿から三メートル未満の距離まで近づくと、方雨彗は肉眼で狙いを定め、右手の指先を鳩に向けて勢いよく突き出した。その瞬間、レーザーのような緑色の細い光が鳩の尾に放たれ、鳩は空中で瞬時に静止した。
鳩の翼と目はまだ開いたままだった。鳩にとって時間は止められているため、下へ落ちることはなく、まるで博物館の標本のように標準的な飛行姿勢のまま空中に留まっている。
鳩の目の前まで飛んでいき、くちばしにしっかりとくわえられていた指輪を取り外した。「この指輪はもらっていくわね、ご苦労様。」鳩に向かってそう言うと、方雨彗は鳩にかけた静止魔法を解除し、歩行者や監視カメラが絶対にない道を見つけて着陸し、誰にも見られていないことを確認した。
人通りのない道に無事着陸した後、方雨彗はこの指輪をじっくりと観察した。
「方……方雨彗?あんた……あんたもなの?」突然、道の脇から邱艾晶が姿を現し、驚きと、少しだけ騙されたような感情が入り混じった声が横から聞こえてきた。
「えっと……あの……説明させて!」方雨彗は悪さをした子供のように、すぐさま緊張しながら弁解し始めた。
次回予告:「私の正体がバレた以上、忠告しておく義務があるわね……」
遥か彼方の別の国には、翼族指輪を常に狙っている一族がいる。もし彼らに先を越されれば、指輪を奪われた翼族姫は同時に極めて危険な状況に陥ることになる。そして、彼らはすでに不穏な動きを見せ始めていた。
次回:よからぬ企みを持つ敵




