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漂流大陸の翼族姫、人間界でのファンタジーな出逢い  作者: 冬小密


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第五十話 聖夜前の戦鼓前奏曲

「游筱安、この指輪もあんたが置いたの?」


「まあね……」


「この指輪、どこから持ってきたの?すごく綺麗だけど。」方雨彗は依然として手元の指輪をじっと見つめており、邱艾晶、簡彤菲、游暐安も次々とその場所に視線を集中させた。


「……それは……」游筱安は悩ましげに少し考え込んだ。


「おもちゃ屋で買ったの。精巧に見えるプラスチックのおもちゃで、本当はすごく安いんだから。」


そう言われ、方雨彗は一分信じて九分疑う思いでそれを元に戻した。後で何か口実を考えて、游筱安から借りて試してみる必要があるかもしれない。


続いてドアノブが回される音がして、溫茵が切り分けたフルーツの盛り合わせと何本ものフォークをお盆に乗せて入ってき、游暐安のベッドサイドのテーブルに置いた。中には真っ白な蜜入りリンゴ、鮮やかな紫色の巨峰、繊細な繊維が詰まったポンカン、そしてピンク色のみずみずしい桃があり、どれも旬の果物ばかりで色と香り、そして味わいが見事に揃っていた。この少し賑やかな空間にすぐ戻りたくなかったためか、無意識のうちに山盛りの量を用意してしまったようだ。


「フルーツ切ったから、みんなで食べよう。残りはさっきお母さんに言われた通り、全部冷蔵庫に入れておいたよ。」


これほどの大皿に切ってもまだ余るということは、一体どれほどの量を持ってきたのかが窺える。


「わあ〜〜溫茵、ありがとう!すごく豪華だね。」


「じゃあ、いただくね。」


「游暐安、あなたも少し食べなよ。」


「おう、ありがとう。」


みんなそれぞれ椅子に座り、ベッドや机の周りを囲んでおしゃべりを楽しんだ。周囲のカラフルな装飾と賑やかな空気が相まって、次第に温かいお祭りのような雰囲気が漂い始めた。外は冷たい風が吹きすさび、寒くて湿気に満ちていたが、この室内にいると、体調の悪さや他人への敵意をすっかり忘れ、人と人との触れ合いがもたらす温もりを全員が楽しんでいた。


それぞれが異なる身分を隠し持ち、独自の使命を背負っているという視点を捨て、純粋な友人同士として見るならば、これこそが人間界での生活の中で最も極上で心温まる日常の一コマなのかもしれない。


誰もが警戒心を解き、最初はそれぞれ異なる目的を抱いてここへ来たことすら徐々に忘れかけていた。しかし、まさにその時――


部屋の明かりが突然完全に消えた。


「えっ?どうしたの?」


「停電?」


「停電するなんてお知らせ、来てなかったよね!」


薄暗い明かりが灯っていた部屋は、一瞬にして光を失った。すでに日は沈み、部屋のカーテンも引かれていたため、一寸先も見えないほどの漆黒だけが残された。目が暗闇に慣れるのを待つにしても、手探りでカーテンや懐中電灯などの光源を見つけるには少し時間がかかる。今は全員がその場に立ち尽くし、動くことすらできなかった。


「きゃあぁっ!!!」暗闇の中、突然耳をつんざくような悲鳴が響き渡った。停電でただでさえ不安になっていた一同は、これでさらに肝を冷やし、我に返ることすらできなかった。


今の悲鳴は簡彤菲か?彼女の声に似ていたが、部屋が暗くなった瞬間に叫んだのではなく、少し間を置いてから叫んだということは、彼女の身に何か起きたに違いない。


悲鳴の後、全員が恐怖のあまり静まり返った。すると逆に、断続的な足音や、何かがカサカサと動く音が聞こえてきた。単に慌てふためく他の面々とは違い、方雨彗と邱艾晶はこの瞬間の状況が極めてマズいということを悟っていた。


なるほど、全員が警戒心を解いたように見えた先ほどの心温まる時間でも、背後で密かに何かを企んでいる者がいたのだ。方雨彗は暗闇にどうにか慣れ始めた目でカーテンを見つけ出して引いたが、停電しているのはこの家だけで、他の家々は煌々と明かりが灯っていることに気づいた。つまり、今の状況は決して単純な停電などではない。


邱艾晶も状況を判断し、短い思考の末、今はまず自分の身を守るべきだと考えた。そこで両手を握りしめて胸の前に置き、心を落ち着かせ、ヘアピンのエネルギーを全身へと巡らせた。これで自分の姿を透明にできれば、悪意を持った何者かが侵入してきても見つからずに済む。


(あれ?なんか引っかかる感じが……)


エネルギーが邱艾晶の右手に到達した時、どうしてもそこから先へ行き渡らず、結果としてスムーズに透明化することが全くできなかったのだ。


(くそっ、あの時の怪我のせいで……)


手の怪我はもうほとんど治り、日常の動作には何の問題もないように思えたが、魔法のエネルギーを運ぶには全く不十分だった。透明化は全身を使う魔法であるため、当然、全身が完全に健康な状態でなければ成功しない。まだ完全に回復しきっていない手は、エネルギーを遮断する深刻な障害となっていたのだ。


「あっ、何す――」今度は邱艾晶の悲鳴だった。彼女の言葉は最後まで言い終わる前に強制的に遮断され、一体どの方向へ連れ去られたのか全く分からなかった。


その後、電気が復旧した。その場にいた者たちはまだ驚きと混乱の中にいたが、周囲を見渡すと、先ほど悲鳴を上げた二人の姿が消え失せており、方雨彗、溫茵、游暐安、游筱安の四人だけが顔を見合わせていた。


方雨彗はすぐさま、先ほどプレゼントボックスに置かれていた指輪の方を見たが、案の定なくなっていた。


ここには明らかに状況を全く理解できていない人間が数人残されているが――


「みんなごめん、ちょっと用があるから一旦出るけど、すぐに戻るから。」皆に説明している時間はない。方雨彗は部屋のドアを開け、外へ向かって猛然と駆け出した。


あの三人は今、絶対に心配して状況も分からずパニックになっているはずだ。


溫茵は今、よく知らない二人と一緒に残され、気まずい状況で放置されている。心の中では怖くても、頼る人もおらず絶対にそれを表に出せないだろう。


游筱安は心底恐怖を感じているはずだ。この先また何か恐ろしいことが起きるのではないか、自分が次に連れ去られるのではないかと恐れ、万が一の時、兄を守り切れるだろうかと心配しているに違いない。


游暐安は、あの邱艾晶の悲鳴がガラスの破片のように心に突き刺さり、痛みに苛まれているはずだ。今この状況がどうなっているのか、邱艾晶は一体どこへ連れ去られたのか、彼女に再び会うことはできるのか、誰よりもそれらの答えを求めているだろう。


しかし今は緊急事態だ。問題を解決さえすれば、必ずすぐに戻ってすべてを説明する。邱艾晶を無事に連れて帰る。彼女を戻らせてみんなに無事を知らせ、游暐安が元気になった姿を見せ、長く練習してきたクリスマスパフォーマンスを完成させて、全校の観客に最も素晴らしく眩いステージを届けるのだ。

次回予告:一瞬にして消え失せた二人。どうしていいか分からず一人残された方雨彗。まさにその時、簡彤菲はついにスパイの身分を隠すことをやめ、邱艾晶も抵抗する術を持たず、たった一人で黯翊族の強大な陣立てに直面する。戦うべきか?それとも逃げるべきか?


次回:絶体絶命

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