第二十三話 天国と人間界のカルチャーショック
「えっ?これ、匂いがすごく変なんだけど。」邱艾晶は手にしたアスパラガスジュースの缶を鼻に近づけ、一口嗅いでから、嫌悪感を表に出さないように必死にこらえつつ、游暐安をちらりと見た。游暐安は笑顔で邱艾晶を見つめていたが、その笑顔に隠されているのが純粋な期待なのか、それとも悪巧みなのかは区別がつかなかった。
游暐安にそそのかされ、一口試さないことには彼の顔を潰してしまうような状況になっていたし、それに何と言っても彼のお金で買ってくれたものだ。善意なのか悪意なのかは分からないが……悪意であるはずがない。彼が私を陥れるはずがない。この飲み物は名前も変だし匂いも変だけど、味はきっと変じゃないはず。だって、商品として市場で生き残っているからには、必ず何か一つは良いところがあるはずだから。そう自分に言い聞かせ、邱艾晶は缶を手に取り、軽く一口すすった。
「うぇ……」邱艾晶は一瞬にして濃厚な植物の青臭さを感じ、体が反射的に拒絶反応を示した。それに続いて、甘みと野菜の味が混ざり合ったような風味が舌先を流れ、口の中全体に広がっていく。そして喉を通る前の舌の付け根あたりで、ほんのりとした酸味を帯びた後味を再び強制的に味わわされた。
実際のところ、全体的な味としては本当に吐き気を催すほどではなかった。ただ、口に入れた最初の瞬間のインパクトが強すぎただけだ。決してすごくマズいというわけではないが、総合的に見て、味わって飲んだり自ら進んで飲みたくなったりするような味ではない。
「えっと、これ……やっぱり返すね。私、自分でお水持ってるから。」邱艾晶は游暐安の好意を無下にしたくはなかったが、彼がわざわざおすすめしてくれたのだから、きっと自分よりもこの味が好きなのだろうと思った。だったら、この飲み物の良さが分かる人に堪能してもらった方がいいだろう。
「えっ、口に合わなかった?」
「私の好みじゃなかったみたい。」
「あー、やっぱりね。俺も好きじゃないから。」
「……は?自分も好きじゃないのに私に勧めたの?」
「へへっ、君なら気に入るかと思ってさ。」
游暐安は邱艾晶に向かって微笑んだ。その微笑みの裏に隠されているのは申し訳なさか?気まずさか?それとも悪巧みが成功した優越感か?とにかく邱艾晶は、一発殴ってやりたいとしか思えなかった。彼女は頬を膨らませて、適当なものを勧めてきた游暐安に腹を立てつつ、彼の表情を読み取れずに騙されてしまった自分自身にも悔しさを感じていた。
その後、二人はファミリーレストランへ食事に向かった。元々小道具の買い出しで出てきており、いわば公用のようなものなので、午後の会議に少し遅れても言い訳が立つ。それに、お腹を満たすことは動物としての基本的な生理的欲求であり、ご飯を食べてこそ午後の作業を続ける気力も湧いてくるというものだ。
「邱艾晶、メニュー決まった?決まったなら店員さん呼ぶけど。」
「うん、決まったよ。」
游暐安が右手を軽く挙げて合図をすると、店員がすぐに注文を取りにやって来た。
「アサリのジェノベーゼパスタを一つと、アイスティーを一杯お願いします。」
「こっちは田舎風エスカルゴのオーブン焼きを一つと、レモンティーを一杯お願いします。」
邱艾晶の注文を聞いた游暐安は、驚いて少し目を丸くし、自分の耳を疑った。
「かしこまりました。ご注文の確認をいたします。アサリのジェノベーゼパスタがお一つ、アイスティーがお一つ、田舎風エスカルゴのオーブン焼きがお一つ、レモンティーがお一つでよろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です。」
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ。」
店員が注文を復唱するのを聞き、自分の聞き間違いではなかったと確信した游暐安は、単刀直入に邱艾晶へ疑問を投げかけた。
「えっ?エスカルゴ?君、あんなの食べられるの?」
「ん?何かおかしい?」
「いや……何でもない。君が好きならいいんだ。」
ゴシキドリの姫である邱艾晶は、人間界の食べ物の大半に慣れており、人間の食べ物を消化するのも全く問題なかった。しかし、鳥類としての本能に立ち返れば、彼らの主食は通常植物の果実であり、時折様々な節足動物やカタツムリを捕らえてエネルギーを補給する。この生物的本能に駆られたことに加え、人間界でカタツムリを食べられる機会はめったになく、さらに邱艾晶の「小鳥の胃袋」には大量の食べ物が入らないという事情もある。これら様々な状況を総合的に考慮すると、この「田舎風エスカルゴのオーブン焼き」は、まさに邱艾晶のために用意された完璧なメニューと言っても過言ではなかった。
游暐安は邱艾晶がゴシキドリの姫であるという隠された正体を知らない。単純に邱艾晶のような優しげな印象の女子というステレオタイプから考えれば、人間から一般的に見た目がグロテスクに分類されるような生き物に対しては、恐れるのが普通であり、自ら進んで注文するなんてあり得ないはずだ。それに、食べ物としての見た目からしても、さっき雑貨屋で見たあのお菓子よりも何倍もグロテスクではないか。隠された正体を知らないことによる誤解と、異なる種族間における「食用物質」に対する認識のズレにより、游暐安は結局、なぜ邱艾晶がカタツムリを注文したのか理解できなかった。
「お待たせいたしました、田舎風エスカルゴのオーブン焼きでございます。」
「……!」
「あ、エスカルゴは私のです。」
「あっ、申し訳ございません。パスタはもう少々お待ちくださいませ。」
店員は配膳の際、うっかり覚え間違えてしまったのか、最初は邱艾晶の料理を游暐安の前に置いてしまった。游暐安はその料理が視界に入った瞬間、驚いて心臓が跳ね上がったかのように微妙な表情を浮かべた。
邱艾晶が店員に注意して、ようやく料理は正しい持ち主の元へと運ばれた。しかし、先ほど料理を間違えられた際に游暐安が見せた、決してあからさまではないその驚きの反応を、邱艾晶はしっかりと見逃さなかった。
「なんで私のエスカルゴを変な顔して見てるの?もしかして、怖いとか?」
その後何事もなかったかのように装って誤魔化せたと思っていたのに、まさかバレていたとは。
実際には、一目見ただけで悲鳴を上げて逃げ出したくなるほどではない。しかし、それでも直視するのは多少抵抗があった。特に、先が尖っていて体に螺旋状の模様があるのを見ると、どうしても雨上がりの道端を這いずり回っている姿や、道を歩きながらうっかり踏まないように気をつけている様子を無意識に連想してしまい、食欲が減退してしまうのだ。
「怖いわけじゃないなら、もしかして……食べたいの?」邱艾晶の口元には、彼女らしからぬ、少なくとも游暐安がこれまで一度も見たことのない、少しぞっとするような笑みが浮かんでいた。
邱艾晶は注文した当初はそこまで考えていなかったが、料理が運ばれてきた瞬間の游暐安の反応を見て、ふと思い出したのだ。人間界において、これはかなり人を選ぶ食べ物であり、誰もが食べられるような代物ではないということを。
次回予告:自分を窮地に追い込んでしまった游暐安の反応。引っ込みがつかなくなった以上、意地を張るしかなく……
「ほら、口開けて。食べさせてあげるから。」この瞬間、二人はレストラン全体で最も注目を集める存在となっていた。
次回:鉄板焼きエスカルゴより熱くなった体温




