第一話 指輪を探す少女
炎熱の八月の夏休み。道行く人も木にとまるセミも、太陽が少し雲の裏に隠れて休んでくれないかと願っていたが、働き者の太陽は大地を容赦なく照らし続けている。蒸し暑さに耐えきれなくなった人々は、自ら冷房の効いた部屋へ逃げ込んで休むしかなかった。
「ああ!高校の数学ってどうしてこんなに難しいの!将来理系に進むつもりなんて全然ないのに、なんで今こんなこと勉強しなきゃいけないわけ?」チャイムが鳴ると、邱艾晶はペンを置き、伸びをしながら嘆いた。
宜蘭市にある林谷高校では、夏休み期間中だというのに、未だに夏期の再履修クラスが行われていた。
学期中の数学の成績が赤点で、追試にも合格できなかった者は、貴重な夏休みを犠牲にし、照りつける太陽の中を登校してこの授業を受けなければならない。単位を勝ち取るため、しがない学生の身としては避けて通れない試練なのだ。
わずか十分間の休み時間を利用して、邱艾晶はスマートフォンを取り出し、高一の時のクラスメイトで親友の方雨彗に電話をかけた。学校の教育制度がいかに非人道的であるかを愚痴るつもりだった。
「ふぁ〜……もしもし?どうしたの、邱艾晶?」
「その声、もしかして冷房の効いた部屋で今起きたばっかり?」
「当然でしょ。私は再履修なんてしなくていいんだから。これも全部、中間・期末テストに向けた努力と、毎回の小テスト前の復習のおかげよ。もちろん一番の理由は、私の持って生まれた聡明な……」
「はいはい、もう聞いてられない。はあ〜〜、数学が苦手な人間が再履修を受けるこの苦痛、あんたには分からないわよ。」
「苦痛?全然苦痛そうじゃないけど。それに、再履修のおかげで『彼』と知り合うチャンスができたんだから、感謝すべきじゃない?」
その言葉を聞いた瞬間、邱艾晶の頬に熱いものが一気に駆け巡った。冷房の効いた部屋にいるのに、今の彼女の顔は太陽の下に二時間晒されたように真っ赤だった。幸いにもビデオ通話ではないため、方雨彗にこの反応を見られずに済んだが、見られていたらまた散々からかわれていたに違いない。
「た、ただの普通のクラスメイトだって言ってるでしょ!もう、休み時間が終わ
次回予告:不運続きの邱艾晶は、思いがけず態度の悪い少女の反感を買ってしまう。相手はいったい何者なのか?頭が真っ白になった邱艾晶は、果たしてこの危機から無事に抜け出せるのか?そんな時、彼女の幸運の星を自称する人物が現れて……
次回:幸運の星




