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漂流大陸の翼族姫、人間界でのファンタジーな出逢い  作者: 冬小密


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第十二話 ささやかな願い

放課後のチャイムが鳴り、生徒たちは次々と宿題や必要な本を鞄にしまい、それぞれの課外活動へと散っていく準備をしていた。この時、最後の授業が自習だった簡彤菲は、とっくに鞄の片付けを終えて外で待機しており、チャイムが鳴ると同時に邱艾晶たちのクラスへ飛び込み、言い渡されていた足止め任務を実行に移した。


「邱艾晶~~、今日放課後って部活ある?」教室に入った簡彤菲は、話題が思いつかなかったのか、マスコミュニケーション部の活動が水曜日にはないことを知っているくせに、わざとらしい質問をした。


「ないよ。前に言ったと思うけど。」


「あ、そうだったね。」簡彤菲は気まずそうに笑いながら頭を掻いた。


横にいた方雨彗は、「あんた、何その話題?」と言わんばかりに簡彤菲を横目で睨みつけた。そして彼女は邱艾晶に尋ねた。「そういえば、最近休み時間ずっと小説読んでるよね!それってどんな小説?ちょっと見せてくれない?」


「あ、いいよ。これなんだけど。」邱艾晶は一冊の小説を取り出した。タイトルは『フィッティングルームのおままごとタイム』。表紙には、お人形のように可愛い焦げ茶色の髪をした女子生徒が、白いレースのワンピースを手に持ち、試着室で鏡に向かって楽しそうに微笑んでいる姿が描かれている。鏡の中には女子生徒のまぶしい笑顔が映っていたが、鏡の中の背景は試着室ではなく、まるで夢の城の広間のような場所だった。


「わあ!これすっごく面白そう!どんなお話なのか教えてくれない?」


方雨彗が感嘆の声を上げるのを見て、簡彤菲も興味津々に顔を寄せて表紙を眺め、邱艾晶の説明に耳を傾けた。


「簡単に言うと、魔法の服屋さんがあって、そこにどんな服でも一着持って試着室に入ると、鏡の中からその服に合ったファンタジーの世界に行けちゃうの。それで、物語のヒロインがある時……」いつの間にか、邱艾晶は第一章のストーリーについて長々と語り始め、方雨彗と簡彤菲もすっかり聞き入っていた。


「……序盤のストーリーは大体こんな感じで、それから……」


「ねえ邱艾晶、これ読み終わったら私たちにも貸してくれない?そうすれば一生懸命あらすじを話さなくても済むし、今の話を聞いたらこの後の展開がすごく気になっちゃって、自分で読みたくなった!」簡彤菲は目を輝かせ、興奮気味に邱艾晶に頼んだ。


「いいよ。実は私もこの先どうなるかちょっと忘れちゃってて。後でもう一回復習しとこうかな。」邱艾晶は自分も今後の展開を少し忘れていることに気づき、さらに長々と話しすぎた気まずさを誤魔化すように、保温ボトルを手に取って水を一口飲んだ。


その頃、多目的教室のメンバーはすでに準備を整えていた。黒板、横断幕、クラッカー、ケーキ、すべてがOKだ。游暐安からのメッセージを受け取った二人も、主役を指定の位置へと誘導する準備を始めた。


「あ、そういえば!この前、地下の多目的教室の本棚で、あんたが好きそうな小説を見かけたの!でもタイトル忘れちゃったから、一緒に見に行ってみない?」多目的教室は公共スペースであるため、教室の後ろには共用の本棚があり、中にある本は教室を使う生徒が自由に読めるようになっていた。この完璧に練られた口実によって、邱艾晶に怪しまれることなく多目的教室へと誘い出す。方雨彗のこの作戦に、簡彤菲は思わず頭の中で感心した。


多目的教室へ向かう途中、方雨彗と簡彤菲はわざと歩く速度を落とし、いつの間にか邱艾晶が一番前を歩くように仕向けた。教室の前に着くと、カーテンやドアはすべて閉まっていたが、欄間窓からは教室の電気が消えているのが見えた。おまけに放課後ですでに夕暮れ時であり、教室が地下にあることも相まって、電気をつける前は、邱艾晶から見ても教室の中で誰がどんな秘密の行動を行っているのか全く分からない状態だった。


邱艾晶が何の疑いもせずにドアノブを回し、プラスチックのドアを押し開けた瞬間、教室の後ろのドアにいた許柏言が一斉に電気をつけた。その刹那、空気中にクラッカーの音が鳴り響き、色とりどりの紙吹雪が宙を舞い、みんなの歓声と共に活気に満ちた雰囲気が一瞬にして爆発した。


「ハッピーバースデートゥーユー〜 ハッピーバースデートゥーユー〜……」簡彤菲は他の人たちと一緒に誕生日の歌を歌いながら、驚きと戸惑いで呆然としている邱艾晶を入り口から教室の中へと押し込んだ。游暐安も事前に用意していたオレンジとイチゴのケーキを運び出し、方雨彗はどこからか持ってきたパーティーハットを邱艾晶の頭に被せた。歌が終わると同時に、みんなの拍手と歓声が雰囲気を最高潮へと引き上げた。


このクラスに来てまだ一ヶ月余りだというのに、こんなにたくさんの友達と一緒に誕生日を祝ってもらえるなんて。そう思うと、邱艾晶の心には思わず温かいものが込み上げてきた。通常、新学期のクラス替えから十月にかけては、クラス内の交友関係のグループもまだそれほど成熟していない時期である。加えて邱艾晶は、幼い頃から一度に多くの友達と関係を維持することに慣れておらず、高校一年の時も友達はほぼ方雨彗一人だけだった。それが今、こんなにたくさんの心許せる友達が、一緒に話し、一緒に遊び、一緒に誕生日を祝ってくれる。数ヶ月前の自分なら、夢にも思わなかったことかもしれない。しかし、この楽しい雰囲気の中で目を潤ませるのはふさわしくない。今はただ、この素晴らしい瞬間を楽しむのが一番だ。


「それじゃあ、三つ願い事をしてから、ろうそくの火を吹き消して!」


サプライズで誕生日を祝ってもらえるなんて考えてもみなかったため、急に三つの願い事をしろと言われても、何を願えばいいのか分からなかった。今の状況にすでに十分に満足しており、これ以上何かを贅沢に望む気持ちもなかったからだ。いっそのこと、これもおままごと遊びだと思って、よくある無難な願い事をいくつか言っておけばいいだろう。


「まずは、みんながこれからも健康で無事に過ごせますように!」


「二つ目は……みんなとのこの関係が、ずっとずっと続きますように。」


この願い事を口にする前、邱艾晶は少し気恥ずかしさを感じたが、体裁が良く、かつ恥ずかしくない他の願い事も思いつかなかった。そのため彼女は早口で済ませ、他の人にはっきりと聞こえたかどうかは気にせず、言い終わった後もわざとみんなの視線を少しそらした。


そして、口には出せない三つ目の願い事。


(最後に、私は――)


邱艾晶は心の中で最後の願い事を終えると、游暐安、方雨彗、簡彤菲、そして他のクラスメイトたちへ順番に、とびきり可愛らしい笑顔を向けた。そして一息でろうそくの火を吹き消した。


ケーキを切ってみんなで食べながらおしゃべりしていると、いつの間にか外は次第に暗くなっていった。游暐安が手伝いに呼んだ友達も用事があって次々と帰り始め、残ったメンバーで教室の片付けを始めることになった。


「ちょっとトイレ行ってくるから、待ってて。」片付けを始める前、游暐安は用を足しに行き、残された人たちは先に教室にある食器やゴミの分別を始めた。


教室に残った邱艾晶、方雨彗、簡彤菲の三人は、後から戻ってくるバレー部の部員たちの邪魔にならないよう早く帰るため、すぐに飾り付けを外し、荷物を片付け始めた。邱艾晶は自分が主役とはいえ、他の人だけに片付けをさせるのは気が引けたし、自分も早く片付けて帰りたかったため、片付けの列に加わった。その時、外の空が突然、あり得ない速度で真っ暗になり始めた。太陽は確かに少しずつ沈みかけていたが、いつもの夜よりもさらに暗くなったように感じられた。電気がついている教室の中はなんとか見えたものの、窓の外はまるで突然巨大な黒い布を被せられたように、何も見えなくなってしまったのだ。


教室を片付けていた三人が異変に気づき振り返ると、目の前の光景に思わず言葉を失い、冷や汗をかいてその場に立ちすくんだ。三人よりも大きな体躯を持ち、漆黒の巨大な翼を広げ、顔の半分を覆う赤と白の仮面をつけた翠魔王が、陰惨で邪悪な気配を漂わせながら、教室全体を覆い尽くしていた。どうやら彼は、他の人間が皆立ち去ったこのタイミングをわざと狙い、孤立無援となった三人に手を下すつもりらしい。三人は即座に警戒態勢に入った。

次回予告:

「せっかくの楽しいバースデーパーティーだったのに、翠魔王はどうして他の時じゃなくて、よりによってこんな時に私たちを狙ってきたの?」


「こんな突然の襲来、もう全力で立ち向かうしかないわ。」


「魔王様にご報告いたします。あの時、私が感知した翼族指輪の位置は……」


次回:バースデー・パニック

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