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トライカー編③演算知能パーツ解説

壁の棚に陳列された黒地のパッケージ群には、それぞれに白い文字でトライカーJA1.2.3.とJA.AU.CH.USなどと大文字の、恐らく国名を表す文字と数字が振られている。

「この棚が各国が異星文明、アタイが名前を覚えてないんじゃなくて、人類がその星に付けた名前と、その星の知的生命体…いちおう生命か。が自らに付けた認識番号、これもあいつらの文化文明歴史を説明すると長くなんだ、なんせ水素を結晶化させて量子コンピュータにした上でロボット組むような文明だ、とにかくややこしいってことで人類は異星文明って読んでる。」

マチコはその軽そうな、先のJA1と書かれた厚紙に透明なブリスターで直接封入されている板を手に取った。

板と言っても、大人の指を揃えて2本分ほどの大きさだ。

「あー、そうだ。これがトライカーの頭、脳みそだな。昔は自分で組み立てるパーソナルコンピュータが流行ったから、その流れでコイツは、」

マチコは、「あなた」の目の前にそのパッケージを見せ付ける。

「オンボードSOC、略してオンソクだ。」


トライカー編③演算知能パーツ解説


「コイツにこっちのいわゆるメモリってのを刺す、オンソクの種類や年式、メーカーによって合う合わないってのがある、無限大の組み合わせがあるから覚えてらんねー。そのスマホで調べたらいい。」


A、「この1.2が古いモデルならなぜ新しいモデルだけ販売しないの?」

ガルデニアはコーナー入り口のロミネンシア模型を眺めている。


A、─「実はな、」

マチコはもったいぶるようにCA3と書かれたパッケージを持つ。


「トライカーは最初から、アンタが見たような屋内だけの戦闘に特化してたわけじゃねえ。」

マチコは陳列棚の終わり、壁沿いのコーナーと壁に貼られたトライカーのポスターへ歩き、振り向く。

「トライカーの戦場は、荒れた林でも、水の中でも、空にもある!年式ごとに適した戦場がある!その数字は優劣じゃなく、戦闘方法の区分けだ!」

マチコの顔は、輝いている!

「アタイのリベンジゴージャスは、街中や岩場での、跳ね回る戦いに特化したタイプだ!」

先の喫茶店での戦いは、両者共に加速をしていた、つまり太陽系第三惑星人の使用する質量二脚兵器UltraSuperGigantic、その跳躍型、脚走型と言った所か。


A、「見物してる人や他人の財産に危害を加えたらどうなるの?」

質問してから気付く、喫茶店の戦いでは─。


A、─「そこは心配要らねーよ、トライカーのパーツは全てコードを書き込まれた水素結晶で作られてる。トライカー以外に危害を加えるような接触をしたら、その場で分解されて消えちまうし、」


マチコは、ポケットからスマートフォンを出す。

「何より、そんなヘマをしてトライカーが負ける所なんて誰も見たくねえ、だからプログラムするんだ。」

マチコのスマートフォンは何らかのアプリケーションが起動したようで、文字が縦方向に流れてゆく。

ぴぴぴぴ。

「マチコ、何か用か。」

マチコの着けるガンベルトのようなものから、電子音声がする。

「いーや、ニュービーにレクチャーしてやってんだ。」

「フン、小物に用は無い。」

シュウウン。

マチコに返事をして、そのトライカーは、恐らくスリープ状態に入る。

「あー、あの子のトライカーがさよならしてたのは、そーいう理由ですなー。」

ガルデニアの声に振り向くと、ユキとヤナギのバストアップが描かれたうちわを持っていた。

「そうだ。アタイら、いやトライカーを組むヤツは自分で組み上げた演算知能をオンソクに乗せる、頭に手や足にバーニアを付けて走らせたり泳がせたり飛ばせたり、中には服を作って着せるヤツもいる、そして─。」

マチコは、次のポスターに向き直る。

「トライカーの地区予選、大会で勝ち抜くと全国大会、その次はアジア大会、全球大会だ。」

それを夢見る、または夢見ていたであろうマチコは、遠い目をしている。

「あとは、独自の組み上げで防衛産業やアジア地域防衛機構の目に止まれば、」

マチコは防衛機構と言った。

「あなた」の知る現代地球とは少し違う歴史を歩んでいるが、これは恐らく、停戦状態にある異星文明との戦いに備えてのものだろう。

「自動式の機体の演算知能訓練にも参加出来るかも知んねェ。」

マチコは、「あなた」に振り向く。

「そもそもアンタにゃ、マニュアルパイロットの方が向いてそうだけどな。」

ぎゅっ。

後ろから、「あなた」の背中にガルデニアが抱き着いて、「あなた」の腕と胴体の間からひょこっと顔を出す。

「わたしのナインはナラシンハを単騎撃破出来るほどのえーすぱいろっとですからなー!」

「子、子持ちの人妻がやるムーブじゃねェ!」

マチコは腰を抜かした。

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