トライカー編②いざ、電機商店街へ
ぱたん。
扉を閉める。
かちゃり。
鍵を引き抜く。
「ふーむふむ、これで失くしませんなー。」
満足そうにガルデニアが腰に両手を当て、胸を張り鼻を鳴らす。
「コインロッカーを使おうとする奴なんて初めて見たぜ。」
リーダーマチコは、珍しそうなものを見る目で「あなた」とガルデニアを見る。
A、「防犯意識は大事だよ。」
特にこの地球は「あなた」のいる地球とは少し違う歴史を歩んでいる。用心に越したことは無い。
B、「これからお買い物をたくさんするからね。」
既にガルデニアの下着や衣服を買い足しただけで両手がいっぱいなのだ。これ以上持つのは厳しい。
A、─「ここらのトライカーを仕切ってるアタイを見ながら言われたら、まるで治安が悪いみたいじゃねえか…。」
リーダーマチコは、呆れたように「あなた」を見る。
「たしかにララお姉ちゃんのほーがマチコよりこわそーですなー。」
ガルデニアの姉の1人ブラックバッカラは、姉2人に略取を行う騎士くずれ達へのささやかながらの反抗のため、片眉を落としていた。
B、─「えへへ、あたらしーおよふくも買ってもらいましたからなー。カランコエはうらやましがりますなー。」
そうだ、カランコエ達はどうしているのだろう。「あなた」がそう口にすると、手元のスマートフォン、アロエが答える。
「現在フラマ セラタの隊員達はサン サー ラでの合同協調訓練と第六世代機への慣熟訓練を行っています。」
「ふーむ、ナインは次元騎士ですからなー、前にナラシンハを単独で撃破したのもあっての休暇なのでしょーなー。」
「よくわかんねーけど、アンタらどっかの国の軍人さんなのか…?」
軽く衝撃を受けたようなマチコに「そんな大したものじゃないよ。」と返した「あなた」は「それより、トライカーの部品を揃えに行こう。」とガルデニアとマチコに言った。
2人は「そーですなー。」「まずは入門モデルだなー。」と歩き始めた。「あなた」は他愛ない、女の子同士の会話をする2人の後について歩く。人通りの多く、片側二車線の、乗用車の走る交通量のある道路から逸れて片側一車線の道路、その歩道を歩く。
ぷぁーん。
クラクションを鳴らす車や。
「いーものおかいどく!トリオキショップー♪」
と言った呼び込みの流れる店などの前を歩く。
飛鷹のぜネロジオの使用は許可されていないものの、周囲の環境から情報を拾い上げて把握と予測を行う「あなた」の目には、異星文明との紛争を経験し、その技術を模倣、民間にまでダウンサイジングさせたその恩恵があるようには見えなかった。
いや、
そこまで平準化、つまり溶け込んで「異星文明技術」を前に出す必要の無いほど、この地球の文明レベルが上がってしまったのか。
そんな事を考えながら歩くと「カラオケ1時間500円でーす。」とポケットティッシュを手渡された。
はぁ、単に置き換えるコストが割に合わないだけかも知れない。そんな感想を抱いていると。
「なーいーんー、ついたよー。」
ガルデニアの甘えた声で手を握られる。
「もー、考えごとしてますなー?」
ぎゅ。
抱きつかれた。
「うお、子持ち人妻のやるムーブなのかよ!」
衝撃を受けているマチコに「ガルデニアはまだ子どもだから。」と愛しいガルデニアの頭を撫でながら返事する。
「まだ子どものガルデニアを妻にして子どもを!?」
と更に衝撃を受けた。
「んー?ナインはこのスマートフォン、アロエちゃんとも結婚してキスもしてますなー。」
とガルデニアが言い、マチコは口が開いたまま、愕然としている。「文化が違うんだ。」とだけ返して「あなた」はガルデニアとくっついたまま先に店内へと入る。
ぴーぴー。
何らかの機械が音を立てる。
「今夜の天気は晴れでしょう。」
「さあ秋場所のシーズンが─。」
複数展示された複数のモニターはそれぞれが大きな音で番組を放送する。
「おー、にぎやかですなー。」
きょろきょろと見回すガルデニアはかたかたかた、と音を立てる展示品の人形に「こんにちはー。ガルデニアですなー。」と挨拶をしている。
「ああ、そっちじゃねえよ。」
マチコに声をかけられ、置き時計のスイッチを連打しているガルデニアの手を引っ張り「あなた」は、ガルデニアと共に階段をのぼる。
一段ごとに「この商品お買い得!」「セールです!」などと黄色地に赤のテープが貼られ、「新商品入荷!」「展示コーナーにて君を待つ!」と言ったポスターも貼られている。
がやがや、
二階へ着いた。
「おーナイン、これユキくんのロミネンシアですなー。」
ガルデニアが先の映画で見た、ロミネンシアの形をした展示物を指差す。
「んー?こりゃ有名なモデラーさんの作品だな。ほらそこに名前のプレートがある。」
マチコがロミネンシアの推力や重量について熱弁を始めたので、「あなた」は潜次元戦艦リコペルシカでの、UltraSuperGigantic第六世代機ロミネンシアを思い出す。
名前は同じなものの、その設計運用思想は大きく異なる。
胴体胸部の操縦席をそのまま弾頭の一部として撃ち出しファルタポテンカにより即座に再装填、ウサギ状の脚部足爪に簡易ランサーを装備する、ウサギという名前の通り機体全長ほどのウサギ耳状のスタビライザー兼バーニアユニットのある、シルエットが丸みを帯びた「あなた」の騎乗したロミネンシアと、完全にヒト型のフォルムで各パーツがシャープなデザイン、背面大型スラスターが翼を意識させ、腕部のアークソード、肩部ノーマカノンを主兵装とした、ユキの搭乗したロミネンシア。
「おー、ユキくんのとナインのロミネンシア、どっちが強いか考えてるとこですなー?」
ガルデニアがキラキラした目で「あなた」を見つめる。
「へぇ…ナインもロミネンシアに乗ってんのか。」
マチコの言葉に、
A、「同じ名前だけど別物だよ。」
B、「一度この子にも乗ってみたいね。」
と返す。
A、─「ふーん、まあこのロミネンシアは何世代も前のだからなー。そりゃ別物だ。」腕組みをして頷くマチコは、更に現在の主力機の持つエンジン燃料効率について話し始めた。
B、─「おー、どっか行くたびあたらしー女拾ってくるナインらしーはつげんですなー?」
にやにやとしたガルデニアが「あなた」の胸をつつく。
「へ、へえ…。ガルデニアはそれでいいんだ。」
マチコが何故か頬を赤くして感想を言う。
「とにかく、今はトライカーを見よう。」そう「あなた」は仕切り直し、模型売り場からトライカーのコーナーへ向かう。
トライカー編②いざ、電機商店街へ
ちっちゃい時、お父さんに大阪なんばのでんでんタウンって所に連れてってもらったワクワクで、書いてます!




