#3
ニッコリと俺に微笑みかけたその野郎に、周りにいた奴らがざわっと一斉に沸き上がった。
「RUiだ!RUiがいるぞ!!」
「嘘でしょ!?なんでこんな所にRUiがいるの!?」
「アカウントはあるって聞いてたけど、滅多にログインしないって話だろ?そんな奴がなんでここに…?」
「ログインしても上級エリアにしかいないって噂じゃなかったか?」
「いやその噂合ってるよ。俺の兄ちゃん上級者だけどそこでも一回しか見た事ないって言ってたし、ましてやこんな所で姿見たなんて聞いたこともないよ」
「RUiって最上位クラスなんだろ?開発者特権か?」
「開発者でもアカウントの不正は無理だって話だよ。実力で上がってったらしい」
「はぁ?そんなの嘘に決まってるじゃん。本当だとしても金にモノ言わせたんじゃねーのぉ?」
「でも実力は確かだよ。廃課金者でも取れないトロフィー取ってるし、生放送でのバトルフィールドでの戦いにも優勝してるよRUiは」
「ああ知ってる。あのトロフィーは課金一切関係なしのクエストでパーティいないと取れないやつだろ?」
「RUiがリーダーしてた頃のパーティだよね」
「そうそう。あれ丁度リアタイで生放送見ててさ~!マジ実力はそこで納得したわ」
「それこそチーターなんじゃないの~?」
「ないない。他の面子も上位に名を連ねてた奴ばっかだったけどほぼ瀕死状態でよぉ、RUiの采配が無かったらありゃ壊滅してたぜ?」
「実力と財力があるからこそ伝説なんだろRUiって」
「おまけにあの顔だろ~?」
「え?あれ作ってんじゃないの?」
「違う違う。あれがリアルの顔だよ。前にゲーム雑誌の開発者インタビューで載ってた顔と同じ」
「げー!マジかよクソイケメンじゃん!?こんなゲームも作れて金もあって尚且つ顔もいいとか二次元かよ」
「持ってる奴は持ってるもんなんだなぁ。レベル違いすぎだ」
「なら尚更そんな奴がなんでここに…?」
『…さぁ???』
民衆が声を揃えて疑問を口に出していたため、そこかしこから聞こえてくる会話でざっと内容は把握できたけれど、この人もしかして超有名人なのでは…?
いやもうこの世界的に有名なオンラインゲームの開発者って時点で有名人なのは間違いないのだけれど、実力者としても有名人なんて…。
そう自覚したらどっと変な汗が噴き出てきた。
「開発者がどうして俺なんかにお声を…?」
「言っただろ?君がいいって」
「答えになってねー…」
どこをどうしたらあんたみたいな奴が俺なんかを…。
「あ!さてはビギナー引き連れてその差を見せつけて俺TUEEEEEしたいだけだろ!?」
お前の考え見切ったぜ!と指を指したら
「うーん…そんなに言うなら今からこのアカウント消して新しいアカウント作り直そうか?そうしたら君と同じレベルでパーティー組めるよね」
とニッコリと返されてしまった。
「うぉぉおお!やめてくれ!俺が全世界から恨まれるだろ!」
こんな有名人のアカウントが俺なんかのせいで消えて見ろ。もうこのゲームで色んな奴からinした瞬間に速攻killされるのが目に見えてる。ずっとリスキルされるからやめてくれ。
てかもうそもそもこんなゲームやらなけりゃいいんじゃね?とも思い始めてる。
そうだよ!やらなきゃいいんじゃん!
「すいません。俺もうこのゲームやる気無いんで他当たってください」
そうお願いしますと頭を下げた。
「じゃあこのゲーム自体消すよ」
「――は?」
俺の言葉と同時に周りにいた奴らも同様にザワついた。
「本気だよ?君がやらないなら僕もこんなゲームいらない。君がやりたくなる様なゲームをまた作るだけだ」
「…な…に言ってんだあんた…」
「君がここに来るまで、何年待ったと思う?ずっと君が来るのを待ってた…。でも、君がこのゲームを要らないって言うんなら僕も要らない。君が望むゲームをまた作るだけだ」
「っだから!さっきから何言ってんだよあんた!?わけわかんねぇ!!」
「―まだ気づかない?ねぇ…愁くん」
「…なんで…俺の名前知って…」
顔は現実世界のを使用しているが、俺の本名は使っていない。
全く違う名前に設定してあるのに…。
「ああ…あんた開発者だもんな?俺の本名調べるくらい造作もないってわけね」
「違うよ。開発者は関係ない」
「じゃあなんで知って!」
「どうして思い出してくれないの僕の事!」
「ッ!?」
いきなり大声を出されてビクついてしまった。
「は?思い…出す?」
一体何を?俺はコイツの事なんて少しも…。
『愁くん、またヨリとゲームしてるの?』
『うん』
『僕もやりたい!』
『やーだよ、だってルイよえーんだもん』
『でも僕も愁くんとやりたい!』
『やだって』
『じゃあ僕が強くなったら一緒に遊んでくれる?』
『おーやるやる』
『ほんと!?』
『うん、ホント』
『約束だよ愁くん!僕絶対強くなるからね!愁くんも守れるくらい!』
『へーへー、精々がんばれー。おいヨリ~ここ削ってー』
『…約束だよ。ヨリより強くなるから…約束だよ愁くん』
「お前…まさか…瑠偉…なのか?」
小さい頃の記憶が今蘇って来た。
俺をここに誘った友人の頼。その弟。
それが瑠偉だ。
「やっと気づいた?そう、瑠偉だよ愁くん!頼から聞いたんだ。愁くんがこのゲームを始めるかもしれないって…だからここで待ってた。このゲームを作ったのだって愁くんがやってくれるかもしれないから、僕頑張って作ったんだよ」
「俺が…なんで…」
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