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ココロぞんび  作者: キタビ
第十一話 冷たい雨
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 リガーと話せたのはよかったが、思ったほど時間は潰せなかった。時間いっぱいまで居たら仕事なんてウソがばれてしまうし、そうでなくても話していたら気づかれそうだ。


「どうしよ、時間まだあんのに」


 ココロは腕時計を確認して、まだまだ時間が余っていることに溜息を吐いた。

 となると、思い浮かぶのはエミリの城だ。

 モペッドも隠せるし、北門からも近い。少なくとも、町中にいるよりは人目を気にしないで済む。もしかしたらエルマー達も居るかもしれない。そう思って着いてみれば、遊んでいる子供達の姿もなかったが、エルマー達も居なかった。


「そりゃそうか」ココロはひとりごちた。


 みんなの家は北門に近いが、一緒に暮らしている家族の目を盗む必要がある。エルマーは無職で、エミリはラウルが障害となる。親が居なければ自由に振舞え、親が居れば自由の障害ともなる。何にしても、ココロは時間いっぱいここで時間を潰すことに決めた。遅めの昼食を摂り、丸太で作られた城壁の門から外を眺めた。草原は風に撫でられて波うち、雲の流れも速い。

 やることがなさ過ぎて、ココロは土を掘ったり雑草をむしったり、子供達が残した玩具で遊んで時間を潰した。脳みそがとろけそうになった頃、時計を確認して目が覚めた。


「――そろそろ時間か」


 ココロはリュックを背負い、モペッドに跨った。エンジンはかけない。

 強く吹いた風に目を眇めながら、北門を目指した。

 湿り気のある空気、灰色の空を映す大きな池、濃くなっていく土の匂い。

 子供の頃は当たり前にあった光景と香りだ。

 初めてブラウニーへ向った日のことを思い出した。なんだか緊張する。

 さすがに、今回の外出は悪戯では済まない。もしかしたら、コロニーはじまって以来の大事になるかもしれない。アンティコパが来ているタイミングでこれは、なかなかの冒険だ。自分の気持ちに従っているとはいえ、正しいことをしているという肯定感はない。ハンドルを握る手に汗が滲んで、ココロは呼吸を整えた。まだ、スタートラインにも立っていない。

 勝負はこれからだ。

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