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ココロぞんび  作者: キタビ
第七話 殺戮者と狩人の影
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 四人は荷物を回収すると、急いで工場跡地へ戻った。

 時間は昼を回り、ちょうど二時を指したところだ。

 埋もれた重機のキャタピラに腰掛けるイヴを見つけ、屋根のある場所まで手を引いた。

 イヴを隠す部屋選びには時間をかけなかった。扉の有無は無視して、四方を壁に囲まれ、入口が人の出入りが可能な程度のものを選んだ。イヴの姿が目に触れなければ、コンクリートの壁を突き破ってまで襲ってくることはないだろう。


「ここにしよう、広さもあるし、バリケードに使えそうな物も残ってる」


 選んだ部屋は六メートル四方の作業場で、工場の隅に位置する。

 そこまでの道中には使われなくなったベルトコンベアや巨大な機械が放置されているので、ここまで入り込んでくる心配もない。室内には固定された作業台、工具箱、空のドラム缶や、小さな発電機などがあったので、移動させればバリケードに使える。

 ココロ達はイヴに与えた実験道具をその部屋に急いで運び、完成するまでは目の届く範囲で大人しくしているように言い聞かせた。


「イヴ、今からあたしたちがこの部屋に囲いをつくるから、大人しくしててね」


 イヴは相変わらずの無表情だったが、アリソンとブリキの人形を手にしたまま、近くにあった木箱に腰掛けた。

 ココロは袖と裾をまくり、足元にあった錆びた工具箱を足で動かすと、そこから使えそうな道具を選んだ。錆び付いてはいるが、整備するわけでもないのでじゅうぶんだ。レンチを手に取り、ハンマーをエミリに投げ渡した。

 それを受け取ったエミリは、ハンマーを手に髪をゴムで纏め、エルマーとテムに指示を出した。


「二人は使えそうな廃材を運んでください、わたくしとココロさんでバリケードを作ります」

「ど、どんなの集めればいい」

「お二人で運べる重さの物は全てです。何が役に立つかはわかりませんので」

「わかった。行くぞテム」

「了解!」


 男二人はそこらから鉄の廃材やデスク、ロッカー、椅子、パイプ、ドラム缶、錆び付いた鉄線等を運んだ。


「兄ちゃん、このドラム缶重い」

「転がせ!」

「兄ちゃん、この瓦礫も運ぶ?」

「重石になる、運べ!」


 ココロとエミリは、次々と運ばれてくるガラクタを組み合わせ、入口の内側と外にバリケードを積み上げていった。ロッカーやドラム缶には、重石代わりの瓦礫を放り込んだ。

 馬力に関してはココロとエミリはその辺の男を軽く凌駕する。ココロは言わずもがな、エミリも大工の父親に影響を受けて、木材でならたいていの物は作れてしまう上に、それでなくても力が強い。


「このナイスバディを創り上げる為に、日頃の筋力トレーニングは必須でしてよ!」


 パイプや鉄のフレーム等を錆びたワイヤーで固定して柵を作った。

 多少時間はかかったが、人にだって簡単には崩せないバリケードが出来上がった。


「イヴ、こっち来て」


 体中に傷を作り、服を汚したテムがイヴの手を引いた。


「はい、じゃあ一応、記念撮影」


 ココロがくたびれながらカメラを取り出すと、エルマー達はバリケードの前に集まった。


「タイトルは?」エルマーが訊いた。

「廃工場の姫と愉快な僕たち」


 そう言って、ココロはシャッターを切った。

 その後、カメラマンをエルマーに変わり、ココロも写真に写った。

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