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お化けサボテン

「ありがとう。」


怖い顔したおっさんが、涙を流しながら俺の手を握って、顔を俺に近づけてくるのだ。


「同じ子を持つ親として当然のことをしたと言いたいところですが・・・

 俺は、正直フルポーションを出すべきか、悩んでいたんです。

 なので、うちの娘にお礼は言ってやってください。

 あとポーションのことは、我が家の秘密なので、絶対洩らさないで下さい。」


「わかっている。大恩人に詮索はしないし、情報も漏らさない。

 それに何かあれば、出来るだけ協力させてもらうつもりだ。

 呪も消えているのか、聖職者呼んで確認してもらう。

 解けてれば・・・フルポーション代として、全財産も約束通り渡そう。」


というと受付に行き、手はずを整えたと戻ってきた。

嘘をつくと察知されるかなと、警戒したが無用に終わったようで良かった。


「2人とも、入っていいわよ。」


とマリスの声がした。

部屋に入ると、着飾ってより美しくなったリーラが居た。

ダッシュで駆け寄っていくおっさんを横目に、リーラに見惚れてしまいそうになる。

俺は自分の頬を叩き落ち着く。


「まぁ、こんなに可愛いんだもの、しょうがないわ。」


「綺麗だよねー。」


「すまない。」


頬を叩いてる俺を見てマリスは笑っていた。

お化けサボテンの件を関わっていると、聖職者に悟られる訳にもいかないので、聖職者が来る前に俺たちは、別室に移動していた。


聖職者が到着すると明るくなっていた空気が一変重くなる。


「お待たせしました。ギルドマスター。」


「ああ、ちょっと見て欲しい奴がいてな。こっちだ。」


ガチャリと扉を開けるとリーラは横になっている。


「で、この娘(こ)が体調が悪いようなんだが見てくれや。」


聖職者はギルドマスターに圧倒され見とれるのを辞め教典をかざす。


「あ・・・あの、ここではとても言い辛いのですが。」


「良いから言って!」


リーラは声を上げた。


「えーとですね。

 その、お化けサボテンの呪いが、かかってるようでして、手の施しようがありません。」


ギルドマスターは、一縷の望みが消えリーラには辛い思いをさせる。

一度全快した体を、またゆっくりと、サボテンの呪いが蝕んで腐らせていくのだ。

リーラの心を考えれば


なんで回復させたのだ!


と恨みに思ってるかもしれない。

リョータ製のハイポーションなら、その日の呪いはその日のうちに治ると思う。

しかしどの位のペースで作れて、どの位卸してくれるのか。

それにフルポーションのお礼だ。

出回っていないので相場は判らないが、王家の秘宝レベルの価値なのは間違いないのだから。

などといろいろ考えていると


「聖職者様、ありがとうございました。どうぞお帰り下さい。」


と冷や汗をかき続けていた聖職者を、リーラは気遣っていたのだ。


「うむ、ありがとよ。この件は極秘で頼むぜ。」


どうせ漏れるだろうが、普通の鑑定料に色を付けて渡して返したのだ。


「リョータ待たせたな。リーラは休ませてきた。」


そういって部屋に入ってきたギルドマスターの顔を見れば、呪いが残ってたことは明らかだ。


「それでだ。フルポーションの件なんだが、市場に出回ったことがなくてな。

 王家の秘宝が競に出たときが何度かあって、だいたい1億ギランってところで取引されてるんだ。

 俺はその倍額辺りを払おうと考えている。どうだろうか?」


このギルドマスターは、どれだけ金を持っているんだろう・・・。

ギルドが商売をするならともかく、リーラに使ったポーションだし、受け取れる額じゃないな。


「えっと、俺たちがしたくてしたことですし、解呪出来なかったのなら、受け取れないですよ。」


うんうんとマリスとリリスも、頷いていた。


「その気持ちに嘘がないのは判るが、これからの付き合いに禍根を残したくないんだ。

 それにリョータの作ったハイポーションは、全部俺に買わせてほしいんだ。」


「りょーたのハイポーションは特別?」


リリスが突然言葉を発した。


「そうなんだ。正直いうとリョータのは、ハイポーションとフルポーションの間に位置すると思っている。」


「ならリョータのお得意さんになるんですね。

 それにお金をそんなに貰ったら、何のお金だってなりますし。

 これからもよろしくね。ってことでどうです?」


マリスが助け舟を出してくれた。


「奥さんまでそうおっしゃるなら・・・。

 それじゃ、せめてもの気持ちにこれを持って行ってくれ。

 ギルド御用達の鑑定眼だ。薬師にも何かしら役に立つだろう。」


「助かります。」


マリスが持っていますと言えるはずもなく、俺たちは鑑定眼を受け取ってギルドをでた。

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