皆の選択
「リョータ、ハイポーションは余ってないか。」
ある日突然、家にやってきたギルドマスターは、血相を変えていた。
「誰か怪我でもしたんですか?」
「リーラが、リーラが、ハイポーションを飲んでもすぐ呪いでやられてるんだ。」
俺はギルドマスターに100本ほど。
さらにリョータ製ハイポーションとして、600本はギルドに卸している。
それなのに・・・これはもうハイポーションじゃ効かないだろう。
「俺もリーラちゃんのところに行きましょう。ポーション用意してきます。」
固唾をのんで状況を聞いていたマリスとリリスは、俺と一緒にギルドマスターの馬車に乗ってリーラの元へ。
「リーラ入るぞ。」
リーラの目が黒い瞳を失っていた。
「これを飲んで。」
俺はギルドマスターに気付かれないよう、ビンの色を変えたフルポーションを飲ませると元に戻った。
「お父さん・・・マリス、リリス。私怖いよ。」
完治しないまでも、ハイポーションを飲んでいれば現状維持できると思っていたが、そうもいかないらしい。
ギルドマスターは娘を
「大丈夫だ。」
と抱きしめていたが、2人とも震えてみえた。
今やリーラと親友になった、マリスとリリスは泣き崩れていて、俺が抱きしめている。
「ねぇマスター、鑑定眼使ってみてみて。」
いつの間にか居たアリアは耳元で囁く。
リーラ
レベル:18
種族:人族
称号:稀代の魔道具師
特技:錬金術
独身。お化けサボテンの呪い(強)にかかっている。
「強になってるでしょ。前一緒に来た時は小だったのよ。まずいわよこれ。」
マリスは俺とアリアの会話が聞こえたのか
「リョータ。リーラは良い子なの。助けてあげて・・・。」
枯れる声で訴えてくるが、俺が出来るのはフルポーションを飲ませ続けるくらいしか・・・。
「マスター。15歳過ぎてるから養子は無理だけど、結婚すれば甘露使えるよ。それなら治る。」
「こんな時に何を言ってるんだ。俺は結婚してるんだぞ。」
アリアに怒る俺を、じーっと見ていたマリスが
「あのねリョータ。重婚が出来るんだよ。」
マリスは自分の言っている事が、分かっているのだろうか。
それにフルポーションですら秘宝といわれていたんだ。
これがばれても俺の居場所はあるのだろうか。
こんな時なのに保身を考えている自分が憎い。
「りょーた。りょーたは救世主。リーラを助けて」
マリスに、リリスに、ここまで頼られて何もしなきゃ男じゃないだろう。
「ギルドマスター、リーラ。よく聞いてくれ。
俺とリーラが結婚すればサボテンの呪いは解ける。」
2人は俺のことを見て固まった。そりゃそうだろう。何言ってんだこいつ状態だろう。
「リョータなら本当に直してくれそうだな。リーラさえ良ければ頼む。」
「私は・・・。」
マリスのことを見ている。
「リョータの事が嫌?」
「いえ。私にとっては憧れというかリリスちゃんと同じく救世主だと思ってますし。」
「なら決まりね。教会に行きましょう。」
教会でなければ結婚は行えない儀式なのだ。ギルドマスターがリーラを抱き抱えたまま教会に走り着く。
「では汝らを夫婦として承認する儀式を行う!教典に2人で手をかざしながら誓いのキスを。さすれば契はなされる。」
ほっぺにキスをしようとすると、それではだめだと聖職者に怒られた。
「幸せにするよう努力します。」
「もうすでに幸せですよ。」
軽く口付けをした。
いつの間にか、ギルドマスターが馬車を呼んでいたので、俺の家に向かう。
「ちょっと待っていてください。」
家に入ると急いで自分の部屋に行き、緑色、黄色、赤色の薬草を握りしめ甘露を作った。
「リーラ。俺を信じてこれを飲んで。」
虹色に光る輝きは、色つきビンでも隠せなかった。
「信じてますから!」
そういうと、グッと一気に飲み干すリーラ。
「とっても甘くて美味しいです。」
と言ってくれた。
さて鑑定眼だ。
リーラ
レベル:18
種族:人族
称号:稀代の魔道具師
特技:錬金術
リョータの妻。
お化けサボテンの呪いが取れているのを確認する。
さらにリーラが
「私わかります!呪いを受けてからずっと感じていた嫌な感じが消えました。」
リーラはマリスとリリスとで抱き合って泣いていた。
「全財産くれてやるとは言ったが一番の宝を持って行ったな。まったくありがとうよ。また来る。」
そういうとギルドマスターは涙をこらえ、リーラを置いて出て行った。




