家を買う。
戻ってきたギルドマスターに、リーラの調子を聞くと
「お化けサボテンの呪いは残酷でな。
目を腐らせた後、喉、手、足、体とやって、耳と鼻は最後まで残して苦しめる。
リリスちゃんが、リーラにハイポーションを飲ませてくれたから、おそらく今日は平気だろう。
だが正直いつまで誤魔化せるか判らない。」
「そのこともあってのご相談なのですが・・・
この街に住もうと思ってまして、どこか良い物件はないかな、と。」
「なんと!この街に住んでくれるなら、どんな協力でも惜しまん。
薬師となると生成室がいるよな。となるとだ。何時頃までにと考えているんだ?」
「できれば今日にでも・・・。」
「「今日にでも?」」
静かに聞いていたマリスと、ギルドマスターは2人で重ねてきた。
「いやそうだよな。分かった。」
綺麗な服に着替えた俺とマリスの事をチラッと見ると、ギルドマスターは部屋を再び出て行ったのだ。
「こっちに越してくるのが決まったら、今の家の片付けしないといけないから、一旦戻らないとね。
良い物件が見つかると良いけど、急ぎすぎは良くないぞ!」
と念を押されてしまった。
ギルドマスターがリリスを連れて戻ってくると
「2人が良いのならリーラの話し相手を、リリスちゃんにして欲しいと思うんだ。
だから一晩ここにリリスちゃんを泊めてくれないか?」
「私、リーラちゃんとお泊りしたいー。」
俺をチラチラッと見るギルドマスターは、気を利かしてくれたんだろうが、マリスはどうなんだろ。
「そうね、リリスにはお友達も作らせてあげれなかったし・・・。
リリスご迷惑をかけないようにね。」
「だいじょうぶー。リーラとお友達だから。」
笑顔で答えるリリスは年は離れてはいるものの、リーラとお友達になったのだろう。
「それでだ。今紹介できる物件で俺の一押しがある。
普通に住むならリフォーム済みで家具も完備してある。
だが生成室をつくるなら最速で作らせて2週間は必要だな。」
生成室ってポーション作りには必須なんなんだろうか・・・。
「それじゃすぐ住めるじゃないですか!
生成室はあとで考えるので、その物件見させていただけますか?」
「そうだな。それじゃ準備をしてくるからギルドの前に居てくれ。」
俺は、マリスとリリスと手を繋いでギルドの外に出た。
俺の前に馬車が止まった。行きかう馬車はたまに見たがまさかのることになろうとは・・・。
「馬車すっごーい。私お姫様になった気分。」
馬車に揺られて数分だったが、リリスはとても満足したようで、鼻息荒く興奮していた。
先に降りてマリスとリリスに手を貸す。
「リョータ、ここが一押しの家だ。」
と案内されたのは貴族の屋敷のようで家だけでも一軒家3つ分はあるのではないだろうか。
「3人で住むのにここは広すぎるんじゃ・・・。2人はどう?」
マリスは値段か掃除のことを考えてるのか首を横に振り、お姫様気分のリリスは縦に振っていた。
そうだ。鑑定眼で見てみよう。突然思いついた俺は屋敷に近づき鑑定眼を向ける。
屋敷
・アスラの住んでいた家。地下に秘宝が眠っている。
「リョータ。鑑定眼で見たって屋敷としか出ないだろ。俺に聞いてくれよ。」
と肩をポンポンと叩くギルドマスター。やはり説明文は俺にしか見えないのだろうか。
「2人ともとりあえず中に入ってみない?」
「はいるー。」
「見るだけなら・・・。」
顔に感情が出ている2人と一緒に屋敷に入った。
「すっごい・・・。」
そして俺達3人は固まったのだ。
入り口にはシャンデリアらしきものがあり、赤い絨毯が一面にひかれている。
そして壁は一枚からくりぬいたような、大理石のような石だ。
そのほかにも、ずらりと置かれた、いかにも貴族の家に度肝を抜かれたのであった。
「あの・・・ギルドマスター。ここおいくらなんですかね。」
その言葉に部屋の内装に感動していたマリスも、部屋を喜んで飛び回っていたリリスも固まる。
「貴族だったところから引き受けてな。
そうだな・・・。
家財一式と土地代と今年の地税もひっくるめて、500万ギランでどうだ。」
500万ギランって日本だと5億か・・・。多分一桁位値引いてくれてるんだろうが高い。高すぎる。
「まぁ正直言ってここは、お得意様に用意してある場所だ。
ハイポーション職人なら、この位の家は持っておいた方が世間体は保てるぞ。」
と追い打ちしてきた。そりゃそうだ。
ハイポーションが3万ギランで売られてる世界で、貧乏一軒家じゃ逆に怪しい。
それに秘宝も気になる。
買おうかな、という気持ちが出てきたが、ここは奥様の意見が一番大事だ。
「俺は結構良いと思うんだけど、マリスはどうかな・・・。」
とっても複雑な顔をしているマリスとその顔を見て不安そうなリリス。
「リョータに着いていくって、決めましたからね。
旦那様が良いならいいわよ!」
踏ん切りをつけてくれた様で、一緒に清水の舞台から飛び降りる事にした。




