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大魔王ターニャんの致命的な誤算  作者: 籠崎 莉々
第一部

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第5話 魔王城を建てる大魔王

ほんの少し、物語の核心に触れていきます。

―村の外れ―


「なぜだ……」


戦いに敗れた勇者は膝をついていた。


「なぜ被害が出ない……!」


遠くでは村人たちの嬉しそうな声。


「女神さまー!!」


勇者は絶望の声を漏らす。


「完全に洗脳されている……」



―魔王領(仮)―


「してません」


「どうしたんじゃ?ゾフィー」


「はっ」


ターニャんとゾフィーは勇者を退けたあと崩壊した塔に戻っていた。


「すみません、ツッコミみを押さえられませんでした」


「なにを言っておるんじゃ?」


「それよりもターニャん様。勇者を見逃して良かったのですか?」


「くくく、奴は人間にしてはそこそこやるようじゃからな。

せいぜい強くなってもらおうかの」


「はぁ」


「そうすればまた我に挑んでくるじゃろ?また圧倒的な力で叩き潰すじゃろ?

恐怖と絶望を与えることができるのじゃ」


「あっ、ハイ。ソウデスネ」


「それにしても我のおうちがなくなってしまたのぅ」


「ターニャん様が雷魔法で粉々にしてしまいましたからね」


「形あるものはいつかは壊れるということか…」


(急にそれっぽいこと言いだした!)


「やっぱり塔はダメじゃの。城にするべきじゃ」


「お城を建てられるのですか?ターニャん様、精密な魔法は苦手では?」


「何を言っておる。我が恐怖で支配した人間どもがいるではないか」


「恐怖で…支配した…??」


「知っておるぞ。人間どもは恐怖と金で支配できると」


「あっ、ハイ。ソウデスネ」


ターニャんは右手に魔力を集め、念動力を使ってがれきの下から何かを取り出した。


「それは…」


領主邸に隠してあったでっかい金庫であった。


「この中から金の匂いがするのじゃ」


ターニャんは手に魔力を集め、金庫を引き裂いた。


「ひぇ」


ゾフィーの恐怖におびえた声に気づかず、ターニャんは金庫の中から金貨を取り出す。


「さて、ゾフィーよ。指令を下す!

この金貨を用いてこの大魔王ターニャんの城を建てるのじゃ!

恐怖で支配した村人たちを使ってのう!ふははははは!」


「‥‥!それって……」

(ただの公共事業では‥‥??)



―ファリスの村―


水の都シリエルでは魔王が住むという塔の崩壊により領主の館が壊滅しただけでそれ以外の被害はないのだという。

きっと女神さまが領主だけでなく魔王も退治してくれたのだろうとまことしやかに噂されいた。

領主邸の復興作業に人員は募集されたがその情報がファリスの村に回ってきたときにはすでに募集は締め切っていた。

いつもこうだ。情報は後回しにされる。

村人たちは苦虫をかみつぶしたような表情で頭を抱えていた。

水は湧き、食料の長期保存も可能になった。

だが、仕事がない。

次に行商人が来た時に買い付けができるだけの物資も資金もない。

どうしたものか…

―その時


「た、大変だ!」


一人の村人が寄合所に駆け込んできた。


「どうしたんだ?そんなにあわてて」


「さっき、あの女神様―どうやらターニャん様と言うらしいが…

建築の仕事を募集するとかで掲示板に張り出して言ったんだ…とにかく見て見ろ!」


村人たちは急いで掲示板に駆けつけた。


そこに張り出された情報はー


「前金と成果報酬でそれぞれ別途支払い!?」


「銅貨でも銀貨でもなく、金貨で!?」


「一日8時間以上の勤務は厳禁って・・・なんて優しい職場なんだ!」


待遇にざわめきがおさまらない村人たち。

さらに


「話は聞かせてもらったぜ」


「あ、あなたは―」


「王都の天才建築士デリドック!」


「設計は俺がやる!俺たちの村を救ってくれたあのお嬢ちゃんに恩返ししてやろうぜ!」


「おおーーーーー!」



―魔王領(仮)―


「くくく、村が騒がしいの。我の恐怖政治に震えておるのじゃな」


「ターニャん様、政治とかそういう言葉ご存じだったのですね」


魔王城建築の準備が始まった。


村人の士気は高い。


「女神様の城だ!」

「絶対いい城作るぞ!」

「働けー!」


勇者は監視用の精霊を通してファリスの村を監視していた。


「魔王軍が拠点を作っている!?」


「建設会社ですね」


ゾフィーが時空を超えて突っ込む。


「くくく…人間どもが我のために働いておる」


「給料払ってますけどね」


「なんでじゃ?働いたものに正当に対価を支払うのは当たり前じゃろ?」


(これは‥‥‥)


ゾフィーは思考する。

(ちゃんと教育を受けていないと成立しない考え方…)


「ターニャん様。そのお考えはターニャんさん自らが考えたのですか?」


――働いたら対価をもらうのは当然ですよ――


「えっ。なんじゃろ。昔誰かに言われた気が…」


(やはり、このお方は…)


そうして出来上がった魔王城は……

白くおとぎの国に出てきそうな外観に、

美しく整備された花壇、

水瓶を抱えた石像から湧き出る噴水、

像はターニャんの姿を模して造られていた。

現実より5割ほど整えられていたので、ターニャんは自身の像だと気づいていなかった。


「なんぞ、、、これ」


「ターニャん様が待ちわびていた魔王城です」


「えっ、魔王城を彩る髑髏は?ほら我が座るイスとかに」


「ございません」


「モヒカンの悪者たちがつけてる肩のトゲトゲとかそういうのは?」


「ございません」


「白の周りの煮えたぎる溶岩は?」


「ございません」


「思ってたのと違う」


「完全に観光地ですね」


やがて、領主の圧政に苦しむ民がこの城に集り、町が出来て独立国家として誕生するのはまだ先の話…

次は魔王軍作っていきます。

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