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大魔王ターニャんの致命的な誤算  作者: 籠崎 莉々
第一部

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第2話 雷の大魔王

おもらし大魔王のお話です。

―水の都シリエル―


「なに? 水の供給が止まっただと?」


 領主の顔が歪む。

 この都の繁栄は、“水”に支えられている。 それが止まるなど、ありえない。


「豊穣の雲に異常か……?」


 空に浮かぶ巨大な雲。 そこから流れ落ちる水は癒しの力を持ち、莫大な利益を生んでいた。


「兵士ども! 巨塔を調べろ! 原因を突き止めろ!」


 焦りを隠せない命令。


 兵士たちは、塔へと向かった。



千年前――魔王の塔の上空。


雲の上に封印された魔王ターニャんは、眠り続けていた。

そして――


ぽた。

ぽた。


雲から落ちる水滴。


それは雨となり、大地へ降り注ぐ。


その水は―作物を育て、病を癒し、傷を治した。


回復薬として都の商業を支える一手となった。


人々はその雲をこう呼んだ。


「豊穣の雲」


だが――

その正体は。


封印された魔王のおもらしだった。


正確に言うなら――千年間続いた、魔王の垂れ流しである。


今現在、真実を知るものは誰もいなかった。



―魔王ターニャんの塔 上空―


「ん? なんじゃ?」


 帰還したターニャんが首を傾げる。


「虫けらどもが、我の塔におるのう」


「留守中に侵入されたようですね」


 ゾフィーが淡々と答える。

 ターニャんとゾフィーは最上階の窓から帰還。

 玉座に座るターニャんは足を組み、偉そうに問う。


「ガーディアンは?」


「千年前にターニャん様が寝ぼけて550体破壊されて以降、未補充です」


「ぽよぇ」


「ぽよぇ、じゃなくて」


 突如、扉が開け放たれた。


「貴様ら!何者だ!」


「侵入者め!くらえっ!!」


 兵士たちが叫び、槍と火球を放つ。


 ――が。

 パァン。

 一瞬で消滅。


「ゴミクズどもが、この魔王に刃を向けるなど一兆年早いわ!」


「刃じゃないんですけどね」

「火球と槍です」

「分類としては遠距離攻撃ですね」


「細かいのぉ!」


「さて」


 ターニャんは指を立てる。


「おしおきの時間じゃなぁ」


 にっこり。


 腕を振り下ろした瞬間――


 空が裂けた。

 轟音。

 落雷。

 塔内部の兵士たちは――


「ぎゃあああああ!?」


 バチィィィ!!


 まとめて感電し、その場に崩れ落ちた。


「……し、死んでない……よな……?」


「多分?」


 全員、黒こげ寸前で気絶したのであった。


 しかし。

 問題はそこではなかった。


 ミシ……ミシ……


「……ん?」


 塔が、軋む。


ゾフィーが天井を見上げた。


「ターニャん様」


「なんじゃ」


「今の雷、塔の避雷結界を貫通しています」


「そうなのかえ?」


「はい」


「……」


沈黙。

次の瞬間――


ドゴォォォォン!!!


「んにゃーーーーー!?!?」


 塔の崩壊が開始した。


 ドゴォォォォン!!!


 塔は折れ、崩れ、そのまま――


 一直線に落下。


 そしてその下には――



―領主の館―


折れた塔の頭が館に突き刺さった。


「ぎゃあああああああああ!!!」


―数分後―


 瓦礫の山。


 そこから、かすかな声。


「た……助けろ……」


 這い出てきたのは――領主だった。


 ボロボロの姿。


 だが、生きている。


「おのれ……誰だ……こんなことを……」


 その時。


 周囲に、村人たちが集まっていた。


 静かに。


 ゆっくりと。


「……領主様」


 誰かが言う。


「年貢が払えなければ、子を売れと……言いましたよね」


「な……」


「水は独占し、我々には一滴も回さず……」


「や、やめろ……」


 一歩、また一歩。


 にじり寄る民衆。


「助けてくれ……! 金なら出す……!」


「水も……やる……全部やる……!」


 必死の命乞い。


 だが――


「もう、遅い」


 怒りが形になろうときたその時。


「そこまでです」


 凛とした声。


 振り返ると――


 聖協会の騎士たち。


 そして、その中央に立つ少女。


 白いヴェール。


 静かな瞳。


「その者は、神の名のもとに裁かれます」


 聖女リリーだった。


「連行しなさい」


 騎士たちが領主を拘束する。


「やめろぉぉぉぉ!!」


 無様な叫びは、誰にも届かない。


 遠く、空の上。


「くくく……人間ども、苦しんでおるのう」


(全部自業自得ですね)


「どうじゃゾフィー! 我の恐怖、広がっておるじゃろ!」


「ええ……まあ……結果的には」


 ゾフィーは、遠くを見た。


 魔王は知らない。


 自分の一撃が――


 一つの悪を終わらせたことを。


「次はどこを滅ぼすかのぉ!」


ターニャんは満足げに笑う。


今日もまた――


世界は一つ、救われた。

少しずつ、投稿に慣れていきたいと思います…

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