表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大魔王ターニャんの致命的な誤算  作者: 籠崎 莉々
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/33

第13話 光と魔の開戦

魔王と聖女の戦い、始まります。

―魔王城 前庭―


「くくく……」


 ターニャんは腕を組む。


「今日は天気が良いのう!」


「そうですね」


 ゾフィーが淡々と答える。


「絶望日和じゃ!」


(ただの快晴です)


 ――その時。

 空気が変わった。


「……来ましたね」


「なにがじゃ?」


 振り返る。

 そこにいた。


「魔王ターニャん」


 白いヴェール。

 静かな瞳。


「あなたを――止めに来ました」


「おお?」


 ターニャんの目が輝く。


「なんじゃ!ついに来たか!」


「はい」


「我に絶望させられに来たのじゃな!」


「違います」


 即否定。

 そして。


「あなたが何者か――確かめに来ました」


 一歩、踏み出す。


「聖女リリーです」


「くくく……よい!」


 ターニャんも一歩出る。


「この魔王ターニャんが相手してやろう!」


 その瞬間――

 空気が弾けた。



―別地点―


「……来たか」


 勇者アレクが剣を抜く。


「魔王ターニャん様の腹心、ゾフィーと申します」


 優雅な一礼。


「お相手いたします」



―前庭―


「いきます」


 リリーが手を掲げる。


「セイクリッド・レイン!」


 空に光の陣……かと思われたが矢の形の光はなぜか黒くよどんでいた。 降り注ぐ無数の光弾。


「くくく……効かぬ!」


 ターニャん、腕を広げる。

 直撃。

 爆煙。

 ――そして。


「ぐっ……!?」


 ターニャん、膝をつく。


「効いてる!?」


「な、なぜじゃ……!?」


 リリーの矢は――黒い瘴気。

 勇者が呟く。


「それ、闇では?」


「……浄化の過程で不純物が出ているだけです」


 リリー、押し通す。


「ならばこちらじゃ!」


 ターニャん、指を鳴らす。


「ダークネス・ブレッシング!!」


 放たれる眩い光。

 リリーに直撃。


「っ……!」


 リリーがよろめく。


「ダメージ受けてる!?」


 ターニャんの魔法は――神々しい光。


「聖属性の祝福?」


「完全に祝福ですね」


「違うのじゃ!絶望の光じゃ!」


 ターニャん、ブレない。


 混沌とした戦場の真っただ中。

 戦いは続く。


「……ならば」


 リリーの表情が変わる。


「本来の力を――」


 魔力が歪む。

 不安定。


「セイクリッド……」


 詠唱が軋む。


「ノヴァ」


 ――放たれたのは

 “本物の聖属性”。

 瞬間。


「っ……!?」


 リリー自身の体が裂ける。


「自傷!?」


 だが光はターニャんへ。

 直撃。

 そして――


「……ふぅ」


 ターニャん、回復。


「回復してる!!」


「なぜじゃ!?」


 勇者が叫ぶ。


「逆だからだろ!!」


「ならば我も……!」


 ターニャん、無理に魔力を捻じ曲げる。


「ダークネス……!」


 空間が軋む。


「グラビティ!」


 放たれる――本物の闇。

 瞬間。


「ぐっ……!?」


 ターニャん自身が崩れる。


「お前もか!!」


 だが闇はリリーへ。

 直撃。


「……あたたかい」


「回復してる!!」


「なんでじゃ!!」




―別地点―


 勇者の視線が鋭くなる。


(おかしい)


(属性がねじれている)


 そして。


(誰かが“整えている”)


 視線が――ゾフィーへ。


「……お前か」


「何がでしょう?」


「この世界の歪みを作ってるのは」


 その問いを受けて――

 ゾフィーは微笑む。



―前庭―


「ならば…ホーリーカッター!」


 淀んだ閃光。

 一直線に走る斬撃。


「ぬっ!?」


 ターニャんの角が――

 スパッ。

 落ちた。

 コロン。

 地面に転がる。


「……」


「……」


 間。

 勇者が拾う。


「……ん?」


 まじまじと見る。


「……これ」


 一言。


「カチューシャ?」


「なに?」


「段ボール製……?」


 思わずツッコミ。


「なんで!?」


「かわいらしいと思いまして」


「照れるのぅ」


「照れるな!!」



―別地点―


(確信した)


 勇者が剣を握る。


(本当の黒幕は――)


 ゾフィーを見る。

 その笑みは。

 すべてを知っている顔だった。


「どうしました?勇者様」


「……お前」


 アレクは踏み込まない。

 観察する。


(こいつは戦っているが――本気じゃない)


「妙だな」


「何がでしょう?」


「全部だ」


 一歩、踏み出す。


「魔王も、聖女も、そしてお前もだ」


「ふふ」


 ゾフィーは楽しそうに笑う。


「面白い視点です」


 ――視界の端。

 “角”を見た。

 さきほどの、段ボール。


(……あれを作ったのは誰だ?)


 勇者の思考が繋がる。


(魔王が自作するか?)


(いや、あの性格だ)


(やらない)


(なら――)


 視線が、ゾフィーに固定される。


「お前がやったのか」


「何を、でしょう?」


「魔王を“魔王に見せている”のは」


 ゾフィーの微笑みが――

 ほんの僅か、深くなる。


(当たりか)


 確信に変わる。


「つまり」


 剣を構える。


「本当の黒幕は――」


「……話の続きは」


 ゾフィーが一歩下がる。


「少し落ち着いてからにいたしましょう」


「逃げる気か?」


「いいえ」


 にこり。


「“整えている”のです」


「何を」


 その答えは――

 返らない。

 ゾフィーの姿が、すっと消える。


「なっ……!?」


 勇者、歯を食いしばる。


(逃げた……いや違う)


(あいつは――)


 視線を戦場へ。


(盤面を動かしている)


 確信に変わる。


(あいつが中心だ)


 そして――

 剣を強く握る。


「……いいだろう」


 低く呟く。


「なら――」


 前庭へと走り出す。


「全部まとめて、叩き斬る!」




―前庭―


 光と闇が乱れ飛ぶ。

 その中心へ――

 勇者が飛び込む。


「待たせたな!」


「おお!増えたのじゃ!」


「来ましたか、勇者様」


 三者、対峙。

 そして――

 空気が変わる。


「ここからが――本番です」


 誰の声でもないような声が、響いた気がした。


 ゾフィーの気配だけが、どこかにある。

 見えないまま。


 盤上のすべてを動かしている。

勇者が普通の人に見えてきましたね…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ