設定資料集㉑
《メタビースト》
事実上、旧文明人を滅ぼした最大要因となる怪物群の総称。
超古代において女神メレシュタリカが差し向けた災厄にして人類への試練。構造的にはナノマシンによって形成された金属生命体、または機械生命体のような存在。
自我を持たないので、仮に鹵獲できたとしても手懐けることは不可能。人類を抹殺することのみを目的とした殺戮兵器。生命反応感知器官を有し、人類への加害行為を最優先に実行する。
尚、超古代の世に現れだしたばかりの亜人族に関しては、人類という判定の外にあった為に攻撃対象とは見做していなかった。現代に復活した個体は亜人だろうと問答無用で殺害するが、家畜などの動物は変わらず標的にはしない。
魔力さえあれば半永久的な活動を可能にする動力装置を搭載している上、ナノマシンによる自動修復機構により基本的には劣化せず、損傷しても時間を掛ければ自己再生する。それでも一応、外部から補給や改良を行う設備は存在し、状況に応じて適応化も行う。
通常の生物のように食事や睡眠、普通の機械のようなエネルギー供給や定期修繕といった行為を一切必要としない(待機状態という意味でのスリープモードにはなる)。呼吸もしないので、無酸素空間での活動も問題なく可能。毒も通用しなければ、温度の影響も受けない。水で錆びも壊れもしない。
装甲材が神鉄で出来ており、ホログラム加工されたような白銀の外装を全てのメタビーストが備える。魔法攻撃全般を無効化する上、物理攻撃にも極めて高い耐性を持つ。熱にも非常に強く、ナパーム弾が直撃しようと全く平気。
魔物や魔獣を遥かに凌ぐ、次元違いの戦闘能力を誇る。感情という概念が無いので恐れたり怯むことがなく、不利な状況に陥ったからといって理由もなく撤退はしない。痛みも感じないので自身の損壊など意に介さず、最期まで攻撃し続ける点はゴーレム等の傀儡と同じ。
まず以て人類が単独で真っ向から勝てる怪物ではなく、対処には何らかの策が必要となる。メタビーストの数が人類より上回ってしまった時点で敗北は確定。
過去の大戦を通して様々な種類が確認されており、大きく分類されているものだけでも計24種。目的や環境に応じて適時、マイナーチェンジや装備のアップデート、性能のバージョンアップ等も行ってくるので、対応のマニュアル化がし辛いのも難点且つ厄介。
旧文明人が地上から姿を消した後、大半の個体は一斉に何処かを目指して移動し、そのまま永い眠りについてしまったとされる。しかし中には劇中に登場したもののように、地下深くの遺跡にて埋蔵されていた個体も存在する。
あまりに危険極まりないエネミーだが、もし倒せた場合はその残骸からオリハルコンやハイマギコンの原料となる素材等が手に入るので、人類側にとって全く益が無いという訳でもない。また超古代では鹵獲したメタビーストを研究し、分解したパーツを元に新たな対抗兵器を開発したり、中にはメタビーストそのものをハッキングして使役出来るよう試みた者もいたという。
とはいえ、結果的に旧文明人は滅び去ってしまったので、いずれも対メタビーストとしての有効打にはなり得なかったのだろう。実際、メタビーストの傀儡化実験を行った人物は中途半端な成功こそしたものの実用面で割に合わず、それどころか大量のメタビーストを呼び寄せてしまい蹂躙されるという凄惨な末路を辿っている。
《メタビーストの種類》
上記でも述べた通り、メタビーストには尖兵に分類されるものとして24種類ほどのバリエーションが確認されている。
記号が若い程、基本的には観測順が早いものとされる。また量産性に優れた種には換装式の武装による環境適応やバージョンアップによる強化なども見受けられた。
【メタビースト:α(アルファ)】
カマキリとクモを足し合わせたようなフォルムをしたメタビースト。一番最初に存在が確認された、白兵戦特化型。
最初期からいるだけあって量産数が最も多く、某公国軍のザ〇のようなポジション。マイナーチェンジやバージョンアップも幾度となく繰り返されており、初めの頃は熟練の兵士たちが数を掛ければ何とか仕留め切れたものの、災厄の終盤時では全く手が付けられなくなっていた。
因みにレフィリアたちが湿原で戦った個体群は、その最終盤に作られた一番新しいバージョン(Ⅳ型)で、尖兵ながらアダマンランク冒険者でもまともに太刀打ちする事は困難な戦闘力を有する。
通常移動の平均速度でも時速百キロを軽く超え、跳びかかった際の速さは音速を軽く凌ぐ。主武装は前腕に備えた鎌状の単分子ブレード(刃の表面が高速で小刻みに動く、カ〇ズ様の輝彩滑刀のようなもの)。
触れたものが大岩だろうと鉄塊だろうと、紙か豆腐のように容易く裂いてしまう凶悪な兵装で、これにより大勢の旧文明人を殺戮したとされる。
それでもメタビーストの中だと耐久面は低い方なので、対オリハルコン装備で直接攻撃を当てられれば充分に撃破可能だが、それが簡単に出来れば苦労はしないという話である。単騎で行動する事は殆どなく、基本的に二人組か三人組で纏まって活動する。
【メタビースト:β(ベータ)】
サソリとザリガニを足し合わせたようなフォルムをしたメタビースト。αとほぼ同時に確認された最初期の個体。遠距離狙撃型。
α種と行動を共にする事が多く、量産数や環境適応及び強化更新回数も当然、同じくらいに多い。ただし戦闘方法は真逆で接近オンリーのα種に対し、こちらは飛び道具による支援射撃に特化している。
蠍の尾のような部位の先端に電磁投射砲を搭載し、そこからマッハ4という戦車砲すら凌ぐ速度で鉄杭のような弾丸を射出する。有効射程は2キロ以上と対物ライフルに匹敵し、その威力の兵装を生身の人体に向けて撃ちこんでくるので凶悪極まりない。加えて命中精度もプロの狙撃手を凌ぐほど凄まじい。
ただし、流石に連射は出来ず、次弾の生成と装填には十数秒の時間を要する。ろくな近接装備を持たず、移動速度もα種と比べると速くはない上に耐久面は変わらないので、対オリハルコン装備を用意した状態で懐まで近づければ撃破自体は難しくない。
ただ、そのような弱点はメタビースト側も把握しているが故にα種と連携を組んで行動するので、結局は楽をして仕留める事など出来ないのである。
【メタビースト:ζ(ゼータ)】
カブトガニとイカを足し合わせたようなフォルムのメタビースト。サイズ的には中型に分類される、水陸両用機。
数あるメタビーストの中でも唯一の水中戦能力を有する為、主要活動域は当然ながら海上であり、水中では60ノット以上で移動できる。水上だと100ノット以上。
主な武装は、装甲前面がスライド開閉して現れる六門の発射管から放つ全領域バイオロケット弾と衝角部位にあたる高周波ブレード。
前者は水中でも魚雷として使用できるだけでなく、遠隔誘導まで可能。ただし発射後は機体内部の生成器官で榴弾を作り直すので連射することは出来ず、再発射までには少々のインターバルを要する。後者は武装というより本来は進路上の障害物を破砕する為のものだが、突撃用の攻撃手段としても十分扱える。
機体後部からは六本の触腕型マニピュレーター、テンタクルアームが伸びており、先端についたクローで自在に白兵戦も行える。その動きの精度は武術の達人じみており、生卵を割らずに爪先で掴む事すら出来るとされる。
上陸する際は基部が45度回転する形で地上戦用形態へと変形し、六本のアームを昆虫の脚の如く動かすことで歩行移動する。その場合は本体下部にある、口吻のような形状の粒子バルカン砲が使用可能になり、光熱弾を重機関銃じみた連射速度で撃ち放っては陸地における標的を掃討する。
【メタビースト:ν(ニュー)】
花とクラゲを足し合わせたようなフォルムのメタビースト。地域征圧を目的としたテラフォーミング機能を有する環境改造型。
サイズ的には特大型に分類されるが、その中でも種類ごとに大きさは多少前後する。花弁に似た装甲部位の枚数が多い程、大型化していく上に機体スペックも高いものとなる。ルヴィス達が戦ったのは、花弁型部位が四枚のⅡ型と六枚のⅢ型。因みに最大種は八枚のⅣ型。
超古代では厄災のちょうど中期頃から出現。上空より突如降下してきては、高周波で大地を液状化させて潜航するソニックスケイルにより地中に機体全てを隠し、そのまま潜伏した状態で周辺環境の改変に取り掛かる。他のメタビーストと違って直接人類を殺して回るのではなく、人類の生存圏にて重要な各ポイントを占拠すると同時に汚染を広げ、長期的に追い詰める事を目的としている。
主な環境改造手段として、悪性ナノマシンを地中から浸透させる、もしくは上空へと噴き上げてばら撒くなどして、周辺の土壌や水源、そこに住んでいる原生生物を蝕んでは苦しめる。中には太陽光を遮断しつつ範囲内の気温を急激に低下させ寒冷化を引き起こす特殊スモッグを生成する機体もいたとされる。
花弁型装甲下の基部からは大量の触手型マニピュレーターが伸びており、地中潜伏時はこれを植物の根のように張り巡らしては、潜伏箇所へ近づく者がいた場合に地中より露出させて攻撃を行う。その速度は異様に素早く、並大抵の戦士では対処する間もなく刃のような突起で滅多刺しにされてしまう。
また、花でいう柱頭の部分には地上監視用のセンサーを兼ねる端末が存在し、触手を潜り抜けて中央部へ接近してきた対象へと攻撃を行う。特筆すべき能力として、聴いた者の平衡感覚を狂わせて昏倒させる怪音波を発する機能を有し、動きの鈍った標的を魔粒子砲にて狙い撃つ。
本来、余程のことがないと本体全てを外へ晒して攻撃行動は行わないが、センサー部やナノマシンの放出器官を破壊された場合は驚異度の高い敵性体の接触と判断して地上へと出現、そのまま半重力制御ユニットによって空中に浮かび上がっては反撃を開始する。因みに地中潜伏時は装甲を閉じているので球根のような状態だが、地上に出てくると装甲が開いて花のようなシルエットになる。
本体武装は花弁型装甲に内蔵された無数の高出力魔粒子砲及び誘導式バイオロケット弾。これらは花弁型装甲の角度を下げることで空対地攻撃も行うことが出来る。また、機体下部からはまるでクラゲのように大量の触手型マニピュレーターが垂れ下がっており、弱点である基部を狙って真下から迫る外敵を迎撃する。
幸いレヴォン諸島内には最大種のⅣ型はいなかったが、こちらは更にバリアや機関砲、浮遊機雷などと武装の数が更に多くなっており、仮に存在した場合はとても対処しきれなかったとされる。
【メタビースト:ο(オミクロン)】
ゴケグモとヤドカリを足し合わせたようなフォルムのメタビースト。分類は寄生型とされ、子機と親機が存在する特殊な機体。
子機は人間の頭ほどの超小型機で、射出可能な麻酔針により対象を昏睡させた後、頭部に自身を潜り込ませて同化する形で乗っ取っては擬態を行う。やってる事はネ〇ロモーフのようなもの。
単に頭を挿げ替えているのではなく、対象の脳と完全に一体化しているので宿主本人と一切変わらない発言や行動を表面上は取ることが出来る。故に尋問での判別は難しい。また、寄生後は宿主の体内にて攻撃用の新たな脚を形成しだし、有事には宿主の体を突き破る形で展開して先端の刃で殺傷を行う。
更には自爆能力まで持っており、超古代の厄災時には人間に擬態した状態で拠点内へと潜入して文字通りの集団自爆テロを敢行し、各地で多大な被害を出したとされる。ただし、最初から特攻型として設計された訳ではない為、自爆するには体内構造を切り替える必要があり、実際に爆発するまでは少し時間が掛かる。
一方、親機はワンボックスカーくらいの大きさでサイズの分類は中型にあたる。体の大半を占める異様に巨大な腹部を有するが、これは子機の生産ユニットであり、一度に数十体もの子機を作り出しては一斉に排出する。一回の生産周期がだいたい一週間前後といった程度。
その図体と構造からまず機敏には動けない為、表へ出てくることはけしてなく、地中などに巣穴を作って自身はその奥で子機の製造に専念している。生み出した子機の一部には、新たな子機を増産する為の魔力源集めもさせている。
ただし攻撃能力が無いという訳でもなく、口吻からは対物ライフル並みの威力のニードル弾を発射できる。この兵装は接触した物体を瞬時に溶解させるという、何処かの虫喰いネズミが撃つ弾丸のような特性を備える。他にも猛毒のスモークを散布し、不用意に接近してこようとする相手を一網打尽にしてしまう。




