005-同居人-
いろいろな事があって疲れて家に辿り着いた宗哉であったが、まだやるべき事があった。
宗哉はいつも通りに「ただいま」と言って、リビングに入ったのだが、そこには妹の鈴がソファーに腰掛けて待っていたのだ。
「おにぃ、ボクびっくりしちゃったよ。テレビで名前言われてるし、校内放送で学園長が言うまで同姓同名を疑ちゃったよ?
帰ってきたら知らない人達が家の前に居たんだけど、おにぃはまだ帰ってませんって言っても帰ってくれなくて、そしたら黒い服の人達が来て追っ払ってくれたんだよ」
「そっか、迷惑かけたみたいで、ごめんな。
黒い服の人達って??」
宗哉は鈴に謝り、質問を返した。
鈴も心当たりが無いらしく首をひねっていたのだが、宗哉の質問には雪が答えてくれた。
「鈴さんの護衛についているSPですね」
「そっか、鈴に護衛を付けてくれてたんだ?」
「ええ、鈴さんにも専属で1人付ける予定だけれど、相性があるでしょ?だから候補者が明日にでも学園に来る事になっているわ」
「SPとか、護衛とかって、ボクってば重要人物になっちゃったの??」
宗哉が雪に質問をして、雪がそれに答えると、鈴が少し慌てて言った。
「宗哉君は世界に5人しか確認されていないSランクの適性者なの。それを利用しようとする者、甘い汁を吸おうとする者とかが近づいてくるのよ。その為には直接宗哉君の所に来ずに、鈴さんを使って手を打ってくる者がいると言う事ね」
「なるほどねぇ・・・鈴、これから近づいてくるやつには注意しろよ?」
「う、うん、わかったよ。気をつけては見るけどぉ・・・」
宗哉に言われて、一応の理解はしたように答える鈴であったが、顔に不安が出てしまっている。
「明日には護衛の人が来るみたいだけど、放課後に待っていてくれるなら、しばらくは帰りも一緒にするか?」
「えっ、うんうん!!一緒に帰る~!!」
不安顔から一変して笑顔になる鈴。宗哉はその様子を見てとりあえず安心したのであった。
「仲が良いのね。私は兄弟がいないからちょっと羨ましいわぁ」
2人の様子を見ていた雪がそんな事を言ってきた。
「2人だけの家族ですからね。苦労もしましたけど、2人で頑張ってきましたから・・・
今でこそこうですけど、学園に入る前くらいまではいろいろあったんですよ?目玉焼きを焦がして半泣きの鈴を慰めたり、夜は寂しいって俺の「ちょっと、おにぃ」」
「それは言っちゃ駄目だよっ!!ボクのイメージが崩れちゃうじゃないかぁ」
鈴は照れながら慌てて宗哉の言葉を遮るように言葉を被せた。そしてふと気が付いたように質問をする。
「所でおにぃ、その人は誰?」
鈴は帰ってきた時から宗哉の傍にいた雪の事を、今になって質問してきた。
宗哉は(少しは落ち着いたみたいだな)と思い雪の事を紹介する。
「こちらは俺の護衛をしてくれている、白澤雪中尉だよ」
「はじめまして、ホンニ国PA部隊所属の白澤雪です。今日から宗哉君、藤森宗哉特務少佐付きの下士官として着任しました。護衛も兼任するので、出来れば住み込みたいと思って鈴さんに確認と自己紹介をする為に来ました。よろしくお願いしますね」
幾分かは柔らかい口調で雪が鈴に自己紹介をした。鈴は口を半開きにして雪をじぃ~っと見ている。
「鈴?」
雪を見つめたままの鈴は、宗哉に声を掛けられて慌てて口を開く。
「あっ、ごめんなさい。綺麗な人だなぁって見とれちゃったんです。おにぃの護衛さんなら良いと思います。あっそうなるとボクの護衛さんも一緒になるのかなぁ?男の人はちょっと・・・」
「それは大丈夫よ。女の子の護衛をするのだから、当然護衛も女性が担当します」
「良かったぁ。さすがに男の人が一緒に住むのはちょっとなぁって思っちゃいました」
鈴の許可も得られた事で、雪が同居する事が決まった。
「それじゃ、すいませんけどしばらくは客間でお願いします。空き部屋は、時々掃除くらいはしてましたけど、しばらく使ってない部屋なんで週末にでも大掃除しますから」
宗哉はそう言うと、鈴に雪を案内する様に促し、自分は夕食の準備を始めた。
宗哉が夕食の準備を始めてすぐに2人はリビングに戻ってきた。雪に「宗哉君が夕食を作るの?」と質問されて、当番制で順番に作っている事を説明した。
「それじゃ、私もその順番に入れてもらうわね?料理は得意だから期待してね!?」
説明を聞いた雪が自分も参加すると言ってきた。
「あとで順番の相談でもしましょう。料理、期待していますよ!?
まだ少し掛かるんで、鈴と話しでもしていてください」
雪が「了解よ」と答えたので、宗哉は夕食作りに集中したのであった。
「宗哉君、料理上手なのねぇ・・・」
出来上がった夕食を一口食べて、雪が感想を漏らす。
「最初の内は苦労しましたけど、もう結構長い間作ってきてますからねぇ」
「でも、おにぃの料理は美味しいと思うよ?うまく言えないけど、何かホッとすると言うか何と言うか・・・
おにぃが当番の日のお弁当は、響ちゃんにおかずを狙われちゃうんだよっ」
2人の褒め言葉に、宗哉は「ありがとう」とお礼を言って夕食を再開した。鈴はおかずを取られた事を思い出してプンプンした様子だが、夕食を食べる手は止まっていない。雪も「負けられないわね」と言いつつも箸を進めていた。
宗哉は鈴と雪の様子を見ながら(仲良くやってくれそうだな)と思っていた。そのまま和やかに夕食を取り、宗哉は部屋に戻っていった。




