プロローグ②
王城のバルコニーからは、遠く城下町の喧騒が微かに聞こえてくる。
「第二子、第2王子アルフレッド様、第三子、第1王女エメライン様ご誕生だよ~!!」
号外が瞬く間に配られ、民衆は歓喜の声を上げていた。
しかし、その城下の祝祭の気配を切り裂くように、一人の男が歩み寄った。
王宮お抱えの、エリート鑑定師であるゼノ・クォーツだ。
「あの、オフィーリア様、ヴァルド様。そろそろ、アルフレッド様とエメライン様の鑑定をしたいのですが、行ってもよろしいでしょうか?」
「ああ、ごめんなさいねゼノ。お願い。」
優しげにいうオフィーリア。
そして鑑定師にエマとアルを渡した。
この世界には属性と加護と呼ばれる力が宿っている。
特に、身分が高ければ高いほど、国を守るために、その効力や影響が強い傾向にある。
「この子達はどんな属性でどんな加護を持っているのだろう⋯」
心配するヴァルド。
「きっと大丈夫よリアム。だって私はこの国の女王で、あの子達はこの私の血を引き継いでいるのよ?」
「そうだといいんだけどね。リカ。」
鑑定師が精神を集中させ、古の魔導具をかざす。
ーその刹那
部屋の中が眩い閃光に包まれた。
『では今から鑑定を行います!』
二人は期待と不安と緊張が入り混じったなんとも言えないような状況で見つめていた。
やがて、光が収束すると同時に、古の魔道具より鮮やかな「青色の板」が浮かび上がった。
そこに、純白な「白い文字」が次々と浮かび上がっていく。
それを見たゼノの顔が、驚愕に歪んだ。
『おおなんとこれは!お二人ともさすが、王族にお生まれになっただけはある!』
ゼノに言われて、二人はひどく安堵したと同時に不安でならなかった。
オフィーリアにヴァルドに周囲の侍女や護衛たちも息を呑む。
『それで二人はどんな属性と加護なんですか?』
二人の声がピタリと重なる。
「それは⋯アルフレッド様とエメライン様のステータスをお見せします。」
ゼノは表情を戻して言った。
『え???』
その場にいたゼノ以外の人物が驚く。
「え?ん?」
オフィーリアは混乱していた。
「どういうことなんですか?なぜアルとエマはステータスがおなじなのです?」
そう、実はアルとエマは双子でうまれたために、ステータスがうり二つだったのだ。
「ちょっとまってくれ。このステータスはいくらなんでもおかしくないか?全属性だし、全種類の加護だなんて⋯俺よりも強くないか?」
アルとエマは生まれたてにして最強のステータスを持っていた。
青いボードには、常識では考えられない文字列が整然と並んでいた。
属性⋯火属性・風属性・水属性・土属性・雷属性・草属性・光属性・闇属性・毒属性
加護⋯全知全能の神・武神・統治神・鍛冶神・手芸神・生命神・火の神・風の神・水の神・土の神・雷の神・草と木の神・光の神・闇の神・毒の神・音の神
膨大な加護と属性を持っていた。
そのうえ、ステータスの中の体力、魔力などのものまでカンスト状態の「999」という数字を記録していた。
これこそが、世界の均衡を壊しかねない異質なる力の証明であった。
「どういうことだ…魔法師団団長でも魔力は600なのに⋯」
「何が起こっているんだ」
「これは幻覚か?いや、幻であってくれ…」
幻覚だというものまででてきた。
部屋の中は混乱・唖然・驚愕、そして未知の力に対する根源的な恐怖に支配された。
その喧騒の中、誰よりも早く冷静さを取り戻したのは、最も身体を消耗させているはずの女王…オフィーリアであった。
「ここにいる者たちに命じます。このことを他言してはなりません。」
女王のオフィーリアはその場にいた全員に箝口令を敷いた。
「あぁ、どうしましょう⋯このままではこの子達は長く生きられないかもしれない⋯」
彼女の声は震えていたが、女王としての鋭い眼光は失われていなかった。
実は肉体や年齢と魔力だけは比例して増えていくものなはずなのに、今の2人にはその魔力と加護に耐えられるだけの肉体は存在していない。
強大すぎる力を、赤子の肉体が支えきれるはずがない。
「でも二人ならきっと大丈夫だか⋯」
ヴァルドは憔悴していたオフィーリアに声をかけた。
「ドサ!!」
その刹那、オフィーリアが意識を失ってしまった。
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