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名前をください  作者: まきの・えり


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10/11

10.家裁の反応、早!


 一旦、前回で「了」「完」「終わり」にしようと思っていた。

 後は、ゆっくりと返事を待つだけだ。

 と思っていたのだが……


 翌日、つまり今日の午後3時に電話がかかってきていた。

 ジムに出かけていたのは午前中なので、3時には家にいたはずだが、(大邸宅?のせいか)気がついていなかった。しっかり留守電に録音されている。


 うぞ。

 大阪家庭裁判所だと名乗っている。

 もう着いた? 早過ぎない?

 うう、聞こえにくい声だ。何言ってるのかよくわからない。

 仕方が無いので、もう一度最初から聞くが、やはりよくわからない。


 うわ~ん、どうしたらいいんだ~~。

 電話番号はメモったが、電話をかけるの?

 裁判所に? 怖くない? 怖いよね。イヤよね。スルーしたいよね。


 翌日ぐらい、ゆっくりさせて欲しいわよね。

 明日まで気がつかなかったってことに? でも、残念、気がついちゃったね。


 わかりました。

 イヤなこと、怖いこと、やりたくないことは、早くやること。

 はい。


 ううう、イヤだよ~~~。怖いよ~~~。


 トゥルル

「はい。大阪家裁です」

 

 早。息も吸えない。


「あんのう、先ほどお電話いただいた襷原です」

「はい。~~~~~」

「?? あんのう、よく聞き取れないので、ゆっくり言っていただけませんか?」


 何でも、中にキャッシュカードが入っていたとのこと。聞き取れる範囲でわかったことは、すべてコピーしたので、お返ししたいので、家裁まで引き取りに来て欲しいとのことだった。

「いつ来られますか? 明日はいかがですか?」


 若い男性だろうが、仕事が早い人なんだろうか?

 捨ててくれよ~、そんなもの。キャッシュカードだって、もういらない昔(50年前?)のものなんだし。名前を言っているので何度も聞き返したが、結局聞き取れなかったままだ。


「明日、(猛暑なんだよ、猛暑)早い時間に伺います」


 裁判所に入るのに検査があって、左手の売店の横に、ガラスの白い扉があるそうだ。

 シクシク……

 何の因果で、こんな猛暑のさなかに、家庭裁判所に荷物を引き取りに行かないといけないの。


 ま、こんな猛暑のさなかに、申立書を送った人がいたからだけど。

 それは、誰?!


 それは、わたし、わたし、わたし、秘密のえりちゃん!

 と歌っている場合ではない。


 時は天神祭りの3日前。

 前日から娘夫婦が来て、当日に息子も来る予定になっている。

 駐車場が空いていると管理人さんから電話がかかってきていた。

 娘に電話しても、ラインしても、返事が無い。

 息子も、また寝だめをしているのか、音沙汰がない。


 一年でも、とおっても忙しい時期なのであった。


 でも、行くと言ってしまったのだから、行くしかあるまい。

 とほほほほ……


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