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名前をください  作者: まきの・えり


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11/11

11.家裁に行く牧野えり


 とっても良く寝て、いつもより1時間遅い6時半起床。

 別に事件の犯人でもなく、申し立ての審判の日でも、追加聴取の日でもないし、緊張する必要はない。

 前の日に調べて、バスで地下鉄の駅まで行き、地下鉄で谷町四丁目まで行けば、家裁には徒歩3分で到着するらしい。

 思ったよりも近い。はるかに近い。


 8時55分に家を出て、9時2分のバスに乗り、地下鉄で谷町四丁目まで行って、家裁には、9時40分着。1時間もかからなかった。


 うわ。

 検査があるとは聞いていたけど、物々しい体制だ。

 飛行機の手荷物検査みたいな感じで、持って行ったリュックにバッグ、晴雨兼用傘まで調べられた。

「身体に金属はつけていませんね」と言われ、

「あんのう、指輪をはめていますが」と言ったが、それは構わないそうだった。

 

 金属って、ナイフとかフォークとか武器になるもののこと?

 指輪だって、武器になるわよ、多分。

 ふっふっふ、肉体が一番の凶器じゃない、私のことじゃないけど、ふっふっふ。


 聞き取りにくい電話で、検査してから左の方に行くと売店があると聞いたが、売店は開いていなかった。

 売店の隣にガラスのドアがあり、そこに(しまった。メモを捨ててしまった)「家裁 何とか甲係」と書いてあるという話だったが、ドアが開いていて、確認できなかった。


 一番入り口に近い席にいた若い男性に、「あのう、今日、荷物を引き取りに来いと言われた襷原ですが」と声をかけ、やっと昨日の電話で聞き取れた番号を言ったが、何の意味もない番号のようだった。

 全般にだら~んとした雰囲気。


 昨日電話をかけたらしい年配だったのかの男性に連絡に言ってくださったが、年配三人でおしゃべりしている風情の男性、こちらをチラ見しただけで、おしゃべりを続けていた。

 人を勝手に呼びつけておいて、その態度はありですか? ありですね。


 ようやく書類を手にしてやってきた男性、それが癖になっているのか、ひそひそ声だ。

「裁判官が夏休みを取ってまして、今は不在なんですが」と言うので、「私も(こんなところに来ないで)夏休みが欲しいですね」と言っておいた。


「ほら、この通りコピーしていますので」とパラパラと見せるが、ジムの写真付きの会員証の裏側だけコピーしても仕方が無いだろう、と思った。意味がわからない。


「この書類は全部お返ししますので、またお持ちください」と意味不明のおことば。

 ま、いいや。暑くて暇で、脳も留守なのかもしれないし。


 でも、ここまで軽くあしらわれると、もう私が何を持って来ようが、結果は決まっているってこと?

 みたいな疑心暗鬼を呼ぶわよね。


「8月になったら、またご連絡します」とのことだった。

 9月がいいな、9月が。

 8月は、ジムもお休みするのよね、暑いから。


 帰りに買い物をして、バスが30分以上来ないので、徒歩20分の道を歩いて帰った。

 炎天下、涼しい場所でバスを待てばいいのに。


 この日と翌日は、息子が我が家に来ることに。

 休ませてくださいよ~~。


 


 

 

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