↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第四部開始】当て馬令嬢リベルタ〜転生喪女はゴーインニマイウェー〜  作者: ジュレヌク
【第四部 リベルタ十七歳 ご挨拶編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
89/91

第二十九話 後編

「トワレ、大丈夫か?」

「まさか、私が気を失うことが起こるなんて思いもよらなかったわ」


 ソーレ王国の国王夫妻が住まう私的スペースへのお誘いは、やり手商人の道を歩み出したトワレでも、直ぐに状況を飲み込めるものではなかった

 気を失った彼女は、夫であるクルーガーにお姫様抱っこされ、一旦医局へと連れてこられている。

 心配しないで大丈夫だと訴えたトワレだが、医師達は、王妃の大切なお客様に何かあっては大変だと、色んな検査を受けさせられることになってしまった。


「何故、こんなことになったのかしら?」

「まぁ、タダで王宮医が健康診断をしてくれるっていうんだから、受けとけよ。お前、無料好きだろ?」


 楽観的な夫の言葉に、トワレは口を尖らせた。


「貴方、私が男性医師に、良いようにされても大丈夫なの?」

「いやいや、そんなわけないだろ。どうも、わざわざ休暇中の女医を呼んでくれるらしい」

「余計ダメじゃない」


 働く女性の休日が、どれだけ大変なものなのかトワレは分かっているつもりだ。それなのに、急に上司の都合で呼び出されるなど最悪な事態だろう。


「でも、もう来てくれているらしいから、逆に追い返す方が可哀想だ」

「もぉ……仕方ないわね」


 こうして突発的に健康診断をされることになってしまったトワレと付き添いのクルーガーが居なくなったことで、ステラ達が用意した庭園でのお茶会に参加させられるのはリベルタ、シャイネン、そして居心地の悪そうなクオーレの三人となった。


「シャイネン先生、わたくし、馬車で待っていてはいけないでしょうか?」

「クオーレさん、気持ちは分かりますが、ここは他国。不用意に離れない方がいいでしょう」


 ソーレ王国自体は、とても良く統治された素晴らしいところだ。危険性など皆無なのだが、時間がどれだけかかるか分からない状況で、少女を一人馬車に置き去りになど出来ない。


「分かりました……。でも、一番離れた席でお願いいたします」

「そうですね。では、ステラ姉上に伝えておきます」


 こうして、クオーレは、自分は全く関係のないソーレ王国のお茶会に参加せざるを得なくなってしまった。お茶会の参加者は、王子や王女達まで来ると言う。

 庭園まで行く途中、クオーレは、リベルタにだけ本音を漏らした。

 


「わたくし、本当は、お茶会が苦手なのです」


 正直な気持ちをリベルタに伝えたクオーレは、悲し気な笑みを浮かべた。今まで嫌な思いを何度もしてきたのだろう。義母のせいで幼い頃から変なカツラを被らされた彼女は、笑われていることに気付きながらも席に座り続けるしかなかったのだ。


「ごめんね、クオーレ。無理に参加させることになってしまって」

「リベルタ……謝らないでください。ここは、今までの場所と違うって分かっていますから」


 並んで歩く美少女は、後ろの護衛達の目には眩しく見えた。特に、クオーレの所作は、流石元王太子妃候補と言うべきか気品に満ち溢れている。

 しかも、養女に入ったテリブル侯爵家での鍛錬のたまものか、全方位に渡って隙が無く彼らの目から見ても只者ではない空気間を醸し出していた。

 

「じゃぁ、クオーレ、また後でね」

「えぇ、リベルタも、楽しんできて」


 二人は軽く抱きしめあった後、互いの席に向かって歩いて行った。リベルタはシャイネンの隣の席、クオーレは出口に一番近い席。国王夫妻は子沢山な為、他に八人の王子、王女達が同じテーブルに着いた。


「さぁ、今日は新しい家族が増えたお祝いよ。皆、楽しんで」


 子供達は、母親の弟とその婚約者に次々と挨拶をした。微笑ましいお茶会の中で、クオーレだけが浮いていた。


――早く終わって欲しいなんて思ったら、罰が当たるかしら……。


 クオーレは、ボンヤリとそんなことを考えながら紅茶を注いでくれる給仕の青年の手元を見ていた。それは何気ない光景で、普通なら何事もなく時は過ぎていくはずだった

 しかし、


 カチャ


ティーカップの縁とティーポットの注ぎ口がぶつかり、小さな音を立てた。

 口々に挨拶を交わす人々は誰も気づいていないようだが、クオーレは、驚きに目を丸くする。

 

――王家の給仕を担う者が、こんな不手際をするのかしら?


 本来なら、叱責されても仕方ない程の無礼。

 しかし、給仕の男はクオーレに謝るどころか、チラチラと国王夫妻の方ばかり見ている。その違和感にクオーレは、


「あの、ちょっとよろしいかしら?」


と声を掛けた。するとビクリと身を震わせた給仕は、血走った眼でクオーレを見下ろしてきた。

 次の瞬間、クオーレはカップを手に持ち熱々の紅茶を男の顔に浴びせかけた。

 その攻撃を咄嗟に避けた男の手には、既に小型のナイフが握られていた。


「狼藉者です!」


 クオーレが叫ぶのと、一番近くに立っていた護衛が給仕に飛び掛かったのは、全く同時だった。


先程、ハナコ・カーネル(ⅭAR寝る)二十六歳の異世界車中旅ー~転移先はおばあちゃんの故郷でした~というお話をUP致しました。宜しけれが、ご一読いただけると嬉しいです。


そして、今夜は、もう一話リベルタのお話をUPいたします。お楽しみ下さいませ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。