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魔大樹ライフ!  作者: てるてる
22/25

俺と能力と魔素


 照りつける太陽。視界いっぱいに広がる草原。……うん、最高だな。

 俺が最初に見たこの地の光景とは大分変わったな。芽生えてから初めて見た光景は地獄かと思ったほどだし。


 俺はそう思いながら、俺自身も見る。

 と言っても、第三者目線で全身を見るということは出来ないのだか、広く広がった枝葉で大体は確認できる。


 黒く太い幹、地中奥深くまで伸びた根っこ。そして生い茂る葉っぱ。


 魂だった俺がここまでの大樹になるなんて最初は思いもしなかった。おまけにただの大樹ではない。

 そこから進化して新しい何かになったんだ。……でも何になったんだ?


『で、そこら辺どうなのよ?』


『……いや、急に聞かれても何について聞かれてるのか分からないわよ』


 俺は草原に寝転がる少女に聞いてみた。……いつまで寝転がってんだよ。もう一日以上経ってるぞ。


 俺が進化してこの辺り一面を草原に変えてから既に一日経過している。……というのも、初めての作業だったからか草花を生やした俺はその後にかなりの疲労感を覚えたのだ。

 彼女は彼女で、草原に寝っ転がったまま寝てしまい、特にやる気も起きなかったので俺も彼女を起こすことなくそのまま一日休んだのだった。

 

 そして、翌日の今、目が覚めてなお彼女は草原に寝っ転がり続けていた。……そろそろ起きろよ!


『俺は進化したんだろ? それで一体何になったんだって話よ』


『ああ、なるほど。その話ね』


 彼女は起きることなく、堂々と答えた。


『わからないわ』


『わからないのかよ』 


『だってあなたみたいな木知らないんだもん』


 そこでようやく起きた彼女は俺の根元まで来るとそこに座る。


『話を聞く限りじゃ、あなたのお母さんになった木はブラッドツリーだと思うの。でも、確かにその面影があるけど、今のあなたは本質的には全くの別物だから、正確にどの種族って断定は出来ないわ』


 え? マザーってそんなに名前の木だったの? 吸血鬼ならぬ吸血木? ……笑えねぇー。


 そう思っていた俺に、さらに彼女は言った。


『あと、進化したあなたはさらに精霊樹に近い感じになっちゃったから………。うん、もうまったくの新種ね』


 おまけに進化してさらに変わっちまったのか俺。それ完全にお前のせいじゃないか? 全然、恨んでないけど。


 まあ、それよりも……。


『精霊樹ってなんだ?』


『精霊樹は、長い時を生きた木とか何かしらの影響で完全な精神と自我が芽生えた木のことよ。今のあなたみたいに周りの環境に影響を及ぼせるようになるの』


『……それって進化する前の俺とどう違うんだ?』


 進化する前から精神も自我もあったし、植物は生やせなかったけど魔素を使って地面に魔素を流し込むことも出来たけど……。


 そう言うと、彼女はどこか驚いたように俺を見て考え始めた。


『……確かにそうよね? でも、精霊樹って感じはしなかったし……。彼の言う魂状態だった時の影響? でも、それじゃ……、』


 フヅブツ何か呟きながら、念話を止めた彼女。

 そんなに考え込むようなことなのか? 俺的にはどうでもいいところだが。


 しばらく彼女は動きそうになかったので、俺は彼女から聞いた情報から自分の現状を整理する。


 

 まず、俺の元となった種族。マザーの種族はブラッドツリーだったらしい。推察するに吸血木。血を吸ったりするのだろう。実際、それっぽいことしてたし。


 これに関しては俺も出来る。……まあ、血は吸わないが生物からエネルギー……じゃなくて、魔素とその魂を吸い取るという違いはある。


 ……でも、マザーも魂吸ってたよな? もしかしてマザーも、所謂、異常種というやつなのだろうか?


 まあ、これはどのみち考えるのは限界がある。だってマザーを実際に見たことないんだもん。

 マザーの残骸らしきものはあったが、それだけじゃ何も分からないし恐らくもう残ってない。

 うん、次のこと考えよう。


 で、次は現在の俺なのだが……。


 取りあえず進化していろいろ出来ることが増えた。

 植物を生やすことが出来るし、魔素量によっては一気に木だって生やすことが出来る。……多分疲労感半端ないだろうけど……。

 この疲労感は慣れでなくなるのか? ま、そこもおいおいだな。


 あ、あと忘れてたど魂が見えるんだった。……でも見えるだけだし。今は使えない能力だな。


 ん~、これくらいだろうか? 


 彼女のほうも、ちょうど考えがまとまったみたいだし。


『で、なにか分かったのか?』


『あなたが異常だってことは分かったわよ』


 澄ました表情で言う台詞じゃないだろ。しかも、前から言ってたじゃん! 新しい発見でも何でもないじゃん!


『まあ、今のあなたは存在的に精霊樹に近いことは確かだし、それらしい能力も使えるんだからそれでいいじゃない。後の事は後で考えましょ』


 そう言って肩をすくめた彼女。ま、その通りだな。


『それで、ここまでやったが後はどうするんだ? まだ何かやるのか?』


『いえ、しばらくは何もしないわ。あなたが辺り一面草原にしたからこの地の魔素量的に出来ることはもうないし。私もあなたに力を与えて少し疲れたわ。しばらくはお休みね』


『神とやらが来るんじゃないのか?』


『そんなのかなり先よ。その頃にはこの土地も魔素が溢れるような場所になるだろうし、迎撃するのは簡単よ』

 

 神を迎撃するのが簡単なのか? やっぱりコイツも十分ヤバいやつなんだな。

 

 彼女の発言で俺の中で彼女の危険度が更に上がった。


 と、そういえば気になってたんだが、


『そういえば、何で環境を整えると神と対抗出来るようになるんだ? 魔素が増えるとか言ってたけど関係あるのか?』


 そこら辺、詳しく聞いてなかったな。土地開発も勢いで決めたし。


 そう俺が疑問に思ってると彼女は呆れたように俺を見た。


『あなた、何も知らずにやってたの? ……そういえば魔素についても何も知らないんだっけ? よくそれで生きていられたわね』


 やれやれと、ため息をつく彼女。……様にはなっているがムカつくな。

 というか、それ知らないと生きていけない案件なのかよ。


 俺が彼女の言葉にイラつきと驚きを覚えていると彼女は仕方ないとばかりに言った。


『いいわ、教えてあげる。大事なのは魔素よ。魔素は植物などの生物が多い場所にたくさんあるの。何故か分かる?』


 教えると言ったのに突然の質問。分かるわけないだろ。しかも分からないことお前分かってるだろ。この質問の意味あるのかよ。……まあ、大体予想はつくが確実じゃないしな。


 嫌らしい質問もしてくる彼女だが、ここで答えないと先に進まなそうなので俺は嫌々答える。


『……知らん』


『ま、そうよねぇ』


 そう言って、微笑む彼女。……やべぇ、殴りてぇ。

 だが、ここは我慢する。


『いい? 魔素は生物から生成されるバターンとこの世界の地中奥深くの核から生成されるパターンの二つがあるの。この世界の核から溢れる魔素以外では生物からしか魔素は溢れないから、必然的に生物が多い場所は魔素も多いわけ』


 なるほどな。ある程度は予想通りなのか? とにかく、魔素がどこから来るのかは大体分かった。


『ん? もしかして、魔素って俺からも出てるのか? しかも生成されていると?』


『当たり前じゃない。自分で気付かなかったの?』


 全然気付きませんでした。自分からも魔素が生成されているのか。

 言われて意識して確認してみると確かに空気中などから吸収してないのに魔素が増えてる。……微妙にだけど。


 いや、俺の魔素の容量が大きいから少しに感じるけど比較しなければそれなりの量だ。だけど生命維持には足りないから自給自足みたいなことは出来ないな。


 自分の中の魔素を確認してると、彼女は補足説明をしてくれた。


『ただ、あなたの場合は貯蓄にかなり魔素を廻してるから外に漏れ出すのはほんの少しね』


『漏れ出すって、貯蓄量がいっぱいの状態だと、俺から生成される分は外に垂れ流しってことか?』


『そうよ。生物から出る魔素は、全部その生物から漏れ出した魔素ってこと』


 何それ、すごくもったいない。

 あ、でも今の俺は貯めてる状態だからそんなに関係ないか。問題は貯まってからだな。


『ん? そういえば今も俺から魔素が出てるって言ってたよな? 貯蓄に廻してるから筈なのになんでだ?』


『それはあなたの魔素のコントロールが不十分だからよ。何もしなければ、魔素を貯めてる状態でも漏れ出ちゃうの。ちょっと私の魔素を確認してみて』


 そう言われたので、俺は彼女の魔素を見た。


 いや、すごいとは思ってたがとんでもない魔素量だな。今まで気にしてなかったけどかなりの量だ。

 そして、彼女から魔素が発せられてる。……いや、あれが漏れてる状態なのか。


 ……と、急に彼女から漏れ出る魔素が無くなった。


『確認したわね。これが出来ればもうあなたから魔素が漏れ出ることはなくなるわ。ただし、容量がいっぱいの時にはやらないこと。魔素の貯めすぎは良くないの。最悪破裂するわよ』



 何それ怖い。気を付けることにしよう。


『それで、話を戻すけど、この土地の環境を整えたのはこの土地の自然に増える魔素の量を増やしたかったから。いざという時に魔素がないと出来ることがかなり限定されちゃうから』


『魔素があると出来ることって?』


『結界を張ったり、攻撃したりするのに使うのよ。……まさか、魔法も知らないなんて言わないわよね?』


『いや、流石に知ってるぞ』


 平然と答えた俺。だが、心は興奮していた。


 魔法だよ、魔法! 火を出したり水出したり風出したり! 魔素がある時点である程度予想していたが、実際にあると聞くと感動するわー。

 俺も使えたりするよな!


『……ちなみに、魔法って俺でも使うこと出来るか?』


『? 出来るんじゃない? 後でやってみる?』


『!? ……そうだな。やるだけやってみるか』


 ここで下手な言い方をすると、引かれたり、バカにされそうなのであくまで冷静に答える。……でも、やっと魔法が使えると思うと嬉しくて、ついボロが出そうだ。


 なので、早めに話を切り替える。


『で、この環境なら魔素も増えて迎撃しやすいってことでいいのか?』


『そうよ。まあ、欲を言えばもう少しどうにかしたいけど、それはおいおいね』


 よし! 上手く話が逸らせた。あとは、手頃なタイミングで魔法を教えて貰うだけ!


 彼女の話で色々知ることが出来たし、魔法まで使えるようになるんだから、今日はなんだかいい日だな~。


 ついつい嬉しくて枝葉を揺らしてしまう俺。

 その様子を彼女が不思議そうに見ていたのだが、俺はそれに気付くことはなかったのであった。


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