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魔大樹ライフ!  作者: てるてる
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19話 荒れ地緑化計画


 かなりの速さで振り回したことにより気絶していた彼女は、しばらく放置してたら目を覚ました。


 当然のように俺に向かって文句を言ってきたが、俺はそれを全て無視。その態度がいけなかったかもしれないが、彼女はさらに怒ってコブを蹴りまくっていた。めんどくさいなー。


 その後も怒りは収まる様子はなく、仕方なく相手しても文句しか返ってこなかったが、結局は彼女は途中で疲れてしまいそのまま就寝。そうしてその日は終了したのであった。


 そして翌朝。


 未だに不機嫌そうな彼女のご機嫌取りを俺はしていた。

 ……だってそのまま放置したらさらにめんどくさい事態になりそうだったから…。


『悪かった。振り回したのは俺が悪かったから。な? 機嫌直してくれよ』


『…………、』


『でも、お前も悪いんだから、ここはお互い様ってことで手打ちにしようぜ?』


『…………、』


 無言を貫き、コブの上で膝を抱えて座る姿は、悔しいが可愛らしかった。元がいいから尚更だ。

 だが、元の整った顔は不機嫌そうに頬を膨らませている。正直、こっちは可愛らしくもあるが、それより面白い。その膨らんだ頬を枝でつついてみたい。

 それをすると怒ると思うのでやらないが……。


『ほら、かわいい顔が台無しだぞ? 早く機嫌直せよ』


 かわいいの所で、彼女は反応を示した。

 頭の上、一ヶ所だけ跳ねた髪がピクンっと動いたのだ。


 ……アホ毛だったか? 分かりやすいな。


 思えば前から彼女はかわいいとか美人とかのワードによく反応していた。照れてるのか嬉しいのかは分からないが、こういう時には役に立つ。


『なあ、いつも通りの凛々しいお前に戻ってくれよ? 今の姿もかわいくていいけど、俺は綺麗なお前の方が好きだ。だから早く機嫌直してくれよ……、な?』


『……………、』


 やべぇ。面白いほどアホ毛が反応している。

 これはあともう一押しでいけそうだ。


『本当にごめんって。機嫌直してくれよ』


 俺はここで葉っぱ付きの枝で優しく彼女を包む。

 俺の葉は基本固いが柔らかくも出来る。こうして包んで上げれば痛くないし、むしろ温かさを感じるぐらいだ。


 言葉と行動の二段構えで最後に攻める! これで彼女も機嫌を直してくれるだろう。


 そして、そう思った俺の予想は正しかった。


 俺の言葉の途中から、顔を膝で隠してしまった彼女だったが、遂に口を開いてくれたのだ!


『……本当に悪かったと思ってる?』


『ああ、反省してる』


『……もうしない?』


『もうしないさ。だから安心しろ』


 言葉ではこう言っている俺だが、内心笑いそうだった。

 ……やべぇ、子供みたいな反応でウケるんですけどっ。


 普段とのギャップだろうか? 普段のめんどくさい女だが、自分の言動を常に意識しているような彼女は、可愛くもあるし、見た目通り、美しくも見える。

 だが、今の彼女は可愛らしさ百パーセント。それどころか幼児化している感じで面白いのだ。


 だが、ここで笑ってしまっては振り出しに戻ってしまう。ここは我慢だ。


 俺は吹き出しそうになるのを必死に堪える。すると、彼女は俺にこう言ってきた。


『……かわいいって、もう一回言って』


『……なんだって?』


 聞こえなかったというわけではない。念話は相手に必ず届くので聞こえないということはあり得ないのだ。

 ただ、彼女が言ったことを理解出来なかったからもう一回聞いたのだが……、


『かわいいって、言って』


 もう一度聞いたが理解できない。

 いや、分かっている。彼女はかわいいって言われるのが好きなのだろう。だが、今ここで言う必要あるか?


 ……いや、ここで再び不機嫌になられても困る。ここは素直に従おう。


『……かわいいよ』


『……もう一回』


 もう一回だとっ!? 意味不明だ。流石の俺も恥ずかしいのだが……。まさか、これが狙いか?


『かわいいよ』


 だが、ここで止めるわけにはいかない! 俺は彼女にもう一度言ってあげた。


 すると、今度は彼女自身がプルプルと震えだした。

 それが逆に怖くて俺が引いていると、突然、彼女は勢いよく立ち上がって顔を逸らすようにして言ったのだった。


『ふんっ! まあ今回は許してあげるわ。……私も悪かったし』


 彼女の顔は真っ赤だった。……多分、これを見られたくなくて顔を逸らしたのだろうが、ここは俺の幹の上。……バレバレです。


 だが、気遣いが出来る俺は指摘しない。

 ここは自然に話題をふる。


『そうだな。それじゃあ、昨日の続きをしようぜ! いきなりだったけど、昨日は俺を進化させたんだよな? なんかそんな感じがするんだが……』


『……ええ、そうよ。私の力をあなたに流して進化を促してあげたの』


 チラリとこちらに視線を向けたあと、彼女はいつもの澄ました表情で答えた。……視線はどこ向けても意味ないんだけどね! 澄ました感じ出してるけどまだ顔少し赤いけどね!


『まあ、私の力は結構ヤバい方のやつだから、それにあなたが耐えられるかは運次第だったんだけど……、やっぱり大丈夫だったみたいね。もしかしたら私たち、相性いいのかも?』


 彼女もだいぶ落ち着いてきたのか、いつも道理のしゃべり方に戻ってきたようだ。……でも今大事なこと言ったよね? なんでそんな大事なこと事前に俺に言わないんだよ! ……あ、俺が拒否るからか。


『……言いたいことはあるが、まあいい。それで、本題だが、俺はこれからここら辺の自然を増やせばいいのか?』


『そうね。出来るでしょ?』


 そう簡単そうにいう彼女だが、今の俺には実際簡単だ。

 進化したからだろうか? 原理は俺もよく分からないが感覚で出来るという確信がある。

 かなり魔素を使うことになるが、今の土にはそれなりの魔素がふくまれているので何とかなりそうだ。


『今すぐ出来るが、範囲はどうする?』


『そうね……、見渡す限りいけそう?』


 見渡す限りか……。それくらいなら大丈夫かな?

 

『まあ、それなら。草原みたいな感じいいんだよな?』


『それでいいわよ。やっちゃって』


『了解』


 彼女の許可も出た。なら後はやってみるだけ。

 ぶっつけ本番みたいになってしまったが多分大丈夫だろ。これが俺が進化したことによって得た能力なのかもしれないが、今の俺は植物を生み出して成長させることが、出来るみたいだ。


 やり方は、俺の魔素を広く薄く、地面スレスレに広げるようにして、後は気合い! 俺の魔素が地面に作用して植物が生えるという仕組みだ。……うん、分からん! 

 まあ、出来るのはいいことなので存分に使う。

 魔素の制御もなんかうまく出来るし失敗は殆どないだろ。


 そうしている内に、見渡す限りに俺の魔素が広がって準備は完了。後はふんっ、と念じるだけだ。


『やっていいか?』


『ええ、いいわよ』


 それじゃあ遠慮なく。


 土に含まれている魔素も利用して、地面を活性化! 後の原理はよく分からないが、それで一気に草を生やす!


 そうやって念じた次の瞬間には、まるで早送りのように荒れた地面がらにょきにょきと草が生えてきた。

 うん、成功だな。


『出来たぞ』


 そうして出来た光景が、俺の周り一面に広がっていた。


 一面の緑の絨毯。風に揺れる草花。

 どこか乾燥して塵っぽかった空気が一気に爽やかになったようだ。


 ああ、俺以外の植物がこんなに沢山周りにあるなんて……。なんか新鮮だな。


 そして、俺がそう思っている間の彼女はというと、俺から降りて日が差す草原に寝転がっていた。

 その姿は、彼女の黒い服装や雰囲気とは合わないが美しかった。………悔しいことに。


『やっぱり、自然はいいわねー。心が洗われていく気分だわ』


『お前、邪神で祟り神だろ』


『雰囲気よ雰囲気。それに今の私は何でもかんでも怖そうとは思ってないわよ』


 そう言ってゴロゴロと転がる彼女。……いいなー。俺もあれやりたい。木だから出来ないけど。


『ま、とにかく成功だな』


『ええ、そうね!』


 そう言った彼女の声は、どこか弾んで聞こえたのだった。


 

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