12話 面倒くさいヤツ
封印からなんか変な音が聞こえたと思ったら、急に光だして俺は上空にまで伸びるその光に包まれていた。
……うん、ちょっと情報量が多いから整理が必要だな。
まず、封印の破壊は無事成功したのだろう。
俺の保有エネルギー量は半分を下回ってしまったし、根っこも何本かボロボロにだが、まあ作戦は成功でいいだろう。
で、俺は封印が壊れる時に漏れ出てた光に包まれてる訳だが……、
俺はいつまで包まれてればいいんだ?
というか、封印壊れたのならその中身はどこ行ったのよ?
もしかして、この光に乗って天に還ってるとか? 成仏しちゃってるのかな?
それならそうと挨拶ぐらいは欲しかったなー。
ヤツとも一ヶ月近く一緒にいたわけだし。
……いや、ずっと地下にいたならそれ以上か?
まあ会話らしい会話はできなかったけど、そんなヤツでも居なくなったら寂しいもんだな。
……で、この光はいつまで続くんだよ?
あー、眠い。きっと頑張りすぎた反動だな。
これで寝て起きたらストレスで葉っぱが抜け落ちてるかもしれないな。
まあ、それでもいいや。俺は疲れたらか寝る。
流石に起きたらこの光も消えてんだろ。
……じゃあ、おやすみー、と、
……………。
………。
やべぇ、もう何日経ったかな?
俺、起きたくないんだけど…。
それだけ今回のは疲れることしたってことだな。
まあ木なんだし、いくら寝てもいいだろう。
うん、俺頑張ったし。
もうちょっと寝るかー。
………うん? 俺の根本で誰か寝てる?
女の子だな。そんなところで寝たら風邪引くぞー。
しゃーない。俺の上に乗せてあげるか。
幹の上のところなら広いし、雨風も凌げるだろ。葉っぱでも被せれば温かいだろうし。
枝を動かしてっと……、うん完璧。
じゃあ俺ももう一眠りするか……。
………………、
………。
「xx…、xx…。」
ん? 誰か俺を呼んでいるのか?
てか、かなり長い時間寝てしまったな。あれから何日経ってんだ?
途中で少し起きたような感じもするが……、眠くて直ぐ寝てしまったな。
……とりあえず起きるか。
俺は身震いするかのように全身を揺らす。
「xxxx!」
うん、スッキリ。
葉っぱが何枚か落ちたがまた生えてくるだろ。
再生させてもいいしな。
……て、うわー。エネルギー保有量がかなり少なくなってるじゃん。寝ている間に生命維持分消費したのかな?
とりあえずは空気中から吸っとくか。
「xxxxx?」
あれ? いつもより、吸収量が多い?
というか、全体的に地上のエネルギー量が増えてないか?
あ、そうか。封印破壊したから地下にエネルギーが吸い寄せられるシステムがなくなったのか。
それで俺が寝ている間に自然に増えていったってことか。
「xxxx? xxxx?」
地下の方は……、まだ少しエネルギーが残ってるけどもう殆どないや。せっかくだし残った分は全部吸収しちゃお。
「xxxxx…、」
ていうか、さっきから誰かしゃべってんのか?
俺の上から声が聞こえるんだが…。
……ん?声?
声って…、声だよな? 人の? こんなところで?
俺は自分の幹の上に視点を切り替えた。
そこには、何故かがっくりしている少女が一人。
十六歳ぐらいかな? てか誰だよ。
枝を伸ばしてつついて見る。
すると少女はビックリしたように枝の方を見た。
「xxxx!? xxxx?」
やべぇ、何言ってんのかわからねぇ……。
自分をつついてきた枝を不審そうに見る少女。
彼女と話そうと思ったが、ここに来て言語がわからないという問題が発生した。
……というより、俺も喋れなくね?
そこで、枝で触れて念じるように話しかけてみた。
封印の中のヤツにも出来たしこいつにも出来るだろ。
……ていうか、コイツもしかして…、
少女は急に自分に触れてきた枝にびっくりしながらも嫌がることなく応じた。
『おーい、聞こえますかー?』
「xx!? xxxx?」
再びびっくりした様子の彼女。
つまり、これなら話すことが可能な訳だ。
『いやすまん。俺、お前の言葉わかんないんだけど…。なんかそれっぽく念じる感じで話してみてくれない?』
そうお願いすると、彼女は直ぐに応えてくれた。
『なるほどね。これでいい?』
おおー!! 話せた!!
というか、他人との会話なんて何気に始めてじゃない?
やべぇ、感動で涙出そうなんだけど…、
『おーい。…聞こえてる?』
『あ、すまんすまん。なんか他人とと話すことに感動しちゃって…、』
『……そ、そうなの…。よかったわね?』
『ああ! 最高の気分だ!!』
何故かひきつったように笑う彼女。
心なしか引いてるような…。
あ、忘れるとこだった。
『というか、お前誰だよ? 前までいなかったよな? もしかしなくてもヤツか?』
『え、何? もしかして知らずに話してたの? ていうかヤツって誰よ?』
『封印の中にいたヤツ』
『何よ、分かってんじゃない。そうよ、私が封印の中にいた存在よ。……一応初めましてかしら?』
おおっ! やっぱりヤツだったか!
てっきりいなくなったと思ったから、こうして会えるなんて嬉しいなー。……というか女の子だったんだ。
『おう、初めまして。俺のことは分かるか?』
『……封印の外から私に話しかけてくれた人でしょ? いや、木だから人ではないか…。まあ、とにかく分かるわよ』
『おお、よかった! これでアンタ誰?とか聞かれた日には、俺は悲しくてショック死するとこだったよ!』
『……大袈裟なヤツね。まあ、イメージ通りといえばそうね』
少し微笑んだ表情をした彼女。
いやー、やっぱり会話できるっていいねー!
前は相手の感情しかわからなかったから、なんだか感慨深いわー。
『てか、俺のイメージ? どんな?』
『騒がしいバカ』
なっ! 初対面のヤツになんてひどいイメージを持ってるんだ!
……ふふっ、そっちがその気ならこっちだって言ってやる!
『ほー、そうか。いや、俺もお前のことはうるさくて面倒くさいヤツだと思ってたけど実際はそうじゃなさそうだなー? いや、初対面だからって猫かぶりしてるだけか?』
すると彼女は感情を荒げて食って掛かってきた。
『はぁ!? アンタ私にどういうイメージ持ってたのよ!? 面倒くさいってなによ、面倒くさいって!!』
……確定。
やっぱりコイツ面倒くさいやつだわ。
『そういうところだよ。レディ?』
『なにそのムカつく呼び方! 初対面の態度じゃないわよ! あなた礼儀ってもの知らないの!?』
あー、うるせー。
うるさくて面倒くさいヤツだ。
とりあえず落ち着くまで無視しとこ。
『ねえ、ちょっと聞いてるの!? ねえってば! あ、何さりげなく枝を離そうとしてるのよ!? 離さないわよ! あなたが返事するまで離さないんだから!!』
……やべぇ。まじで面倒くさいヤツじゃん。




