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クラスごと異世界転移したモブの俺、ハズレスキル【無限収納】が覚醒したので異世界で無双します  作者: よるねこ
第一章

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第112話 週末営業を乗り切ったら新しい持ち帰り商品が一気に定着し始めた件


 土曜の朝は、金曜よりも街の目覚めが早かった。


 借家の戸を開けた瞬間、まだ薄く残った朝の冷気が頬を撫でる。けれど昨日とは違って、その空気の底にはすでに人の動く気配があった。遠くで荷車の車輪が石畳を鳴らし、どこかの店先では戸板を外す音が響く。空は高く晴れ、昇ったばかりの陽が屋根の上を白く照らしていた。


 ユウトは肩を回し、背中に残る張りを確かめるように息を吐いた。金曜の営業を終えた後の疲れはある。だが、身体は重くない。むしろ、店の中の流れがまだ手足に残っていて、今日もその続きに入れる感覚があった。


 隣でレイナが、いつものように少しだけ弾んだ声を出す。


「今日、昨日より人多そうですね」


 通りの先を見ながらの一言だった。


 マリナがその横で頷く。


「土曜だもの。昨日より増えると思っておいた方がいいわ」


「新しいのも、昨日より動くでしょうか」


 レイナがそう続けると、マリナは少しだけ考えてから答えた。


「動くかもしれないし、動かないかもしれない」


「どっちですか」


「だから見るのよ」


 その返しに、レイナが小さく笑う。


「先生、そういうとこ厳しいですよね」


「厳しいんじゃなくて、浮かれないだけよ」


 そう言いながらも、マリナの横顔はどこか穏やかだった。昨日の売れ方に手応えを感じているのは、たぶん全員同じだろう。ただ、それをそのまま土曜へ持ち込みすぎないようにしているだけだ。


 後ろから足音が揃って近づいてくる。


 ガルドとダインだった。


「昨日より客の入りは早いだろうな」


 ガルドが前を向いたまま言う。


「金曜に見たやつを、今日買いに来る奴もいるかもしれん」


 その言葉に、ユウトは少しだけ顔を上げた。昨日、確かに新しい持ち帰り用の甘味は動いた。だが、それはまだ初日だ。目新しさで選ばれた分もある。今日どうなるかで、見え方はかなり変わる。


 ダインが低く続ける。


「昨日より数が増える。だが、数だけではない」


「どういう意味ですか」


 ユウトが聞くと、ダインは短く答えた。


「慣れた客も増える」


 言葉は少ないが、それで十分だった。昨日見て、今日は迷わず手を伸ばす客がいるかもしれない。その違いは大きい。


 店へ近づくにつれ、街の空気はさらに濃くなっていく。焼きたてのパンの匂い、肉を焼く匂い、果実を並べる甘い香り。それらに混じって、魔王のケーキ屋の前にはすでに小さな列が出来始めていた。土曜らしい動きの早さだ。


 中へ入ると、金曜より少しだけ緊張した熱が店に満ちていた。


 作業台の前では、師匠がすでに腕まくりをして動いている。副官さんは会計台の横で帳面を開き、並べる商品と包みの数を確認していた。


 そして、作業台の少し奥では、山本さんが昨日より早い手つきで型を並べている。朝から来ていたらしく、前掛けもきちんと結ばれ、髪も整っていた。だが、顔はやはり少し強張っている。昨日の初日を終えても、もう大丈夫というわけではないのだろう。むしろ今日の方が客が多いとわかっている分、気持ちは張っている。


「おはようございます!」


 こちらに気づくと、すぐに頭を下げる。その声には昨日と同じ元気があるが、少しだけ余計な力が抜けていた。


「おはよう、山本さん」


 マリナが返す。


「今日は早いですね」


「昨日、もっと先にやれたことあったなって思って」


 山本さんは少し恥ずかしそうに笑った。


「だから今日は、最初から動いておこうかなって」


 その返事に、レイナが素直に感心したように言う。


「いいですね、それ」


 師匠がそのやり取りを横で聞きながら、くっと笑う。


「ええ心がけや。せやけど、朝から全部飛ばしたら昼まで持たへんで」


「は、はい」


「最初はちゃんと落ち着け。忙しくなるんはどうせあとや」


 そう言われて、山本さんは大きくひとつ息を吸った。自分でも少し肩に力が入っていたと気づいたのだろう。けれど、そのあとすぐ手を止めないのが山本さんらしい。


 副官さんが一度だけ全体を見回す。


「昨日と配置は同じです。新しい商品は、追加が出せるようにしておきます」


「追加、昨日より要りますかね」


 レイナがそう口にすると、副官さんは帳面を閉じた。


「そこは動きを見て判断します」


 答えは短い。だが、その言い方が逆に緊張をほどよく締める。


 開店前の最後の時間、ユウトは師匠の横で皿と包みを整えていた。手はよく動く。何をどこへ置くかが、頭で考えるより少し早く身体で決まる。火曜と水曜の討伐、木曜の準備、金曜の営業。その全部が、まだ身体から抜けていないのだろう。


「ユウト」


「はい」


「その包み、もう一列」


「はい」


 短いやり取りだけで手が動く。そこへ山本さんが少し遅れて入る。


「師匠、次の型こっちでいいですか」


「ええで。昨日より手ぇ止まっとらんな」


「今日は最初から見るところ決めてるので」


 そう答えた後で、山本さんは少しだけ目を見開いた。師匠にそう言い返したことに、自分で驚いたのかもしれない。


 師匠は笑う。


「ほう。ええやん」


 その一言で、山本さんの表情がわずかに明るくなった。


 戸が開く。


 土曜の営業が始まった。


 昨日より最初の客足が早い。しかも多い。店の中へ入ってくる顔ぶれの中に、見覚えのある客が何人もいた。昨日も来ていた者達だ。


「おはようございます」


 マリナの声は落ち着いている。


 レイナも横に立ち、笑顔を崩さず客を迎える。アップルパイへ向かう視線は相変わらず多い。けれど、昨日とは少し違う気配があった。客の目が最初から新しい持ち帰り商品へも流れていく。


「昨日のあれ、あるのね」


 近所の奥さんが言った。


 マリナが頷く。


「ええ。今日もあります」


「昨日、帰ってから食べたらよかったのよ。だから今日は最初から買うつもりだったの」


 その言葉を聞いて、レイナの目が少しだけ明るくなる。


「ありがとうございます。今日もありますよ」


「じゃあ、アップルパイと一緒に二つちょうだい」


 昨日は見て選んだ客が、今日は最初からそれを目当てにしている。たったそれだけの違いなのに、店の空気への効き方はまるで違った。


 その少し後、昨日見かけた革鎧の男もやってきた。


「昨日のやつ、まだあるか」


 レイナが即座に答える。


「あります。昨日と同じです」


「なら一つもらう。あれ、戻ってからちびちび食うのにちょうどよかった」


 その言い方に、後ろで並んでいた別の客が耳を向ける。


「そんなにいいのか?」


「甘いのに重すぎねえし、持って帰りやすい」


 冒険者同士の気軽な会話だった。だが、それがそのまま宣伝になる。後ろの男も興味を持ったらしく、新しい商品へ視線を送った。


 金曜は「ついでに買う」空気があった。だが土曜は違う。最初から狙って手を伸ばす客が、確実に増えている。


 レイナが客へ説明する声にも、昨日より迷いがなかった。


「こちらは持ち帰り向きです」

「少しずつでも食べやすいですよ」

「アップルパイとはまた違う感じで楽しめます」


 マリナはその横で客の様子を見て、勧める順番を変えていた。手土産ならアップルパイ、自宅用や翌日分なら新しい方。客が自分で理由を見つけられるように言葉を足す。押しつけがましさがないのは、先生の流れの作り方だ。


 作業台の方では、山本さんが昨日より明らかに動けていた。


「次、入れます!」


 型を受け取り、炉へ入れる。火魔法で熱を整える手つきにはまだ緊張があるが、昨日より迷いが少ない。火の強さを見る目も、少しだけ落ち着いている。


「山本さん、そのままでええ」


 師匠が言う。


「はい!」


「返事でかい」


「すみません!」


 そのやり取りに、ユウトは思わず口元を緩めた。新人らしい硬さはまだある。けれど、それが今は悪くない方向へ働いている。緊張しているからこそ、手を抜かず、目を切らさない。


 ユウト自身の手も、よく動いた。皿を出し、包みを引き、必要なものを前へ送る。何をどの順番でやれば流れが止まらないかが、店の音の中で自然に読める。金曜の営業で一度掴んだものが、土曜にはもっと身体へ落ちていた。


 店の外ではガルドが列を見ながら自然に流れを作り、ダインが足元と棚の位置を見て店内の詰まりを防いでいた。副官さんは会計台の横で、勘定と商品の減り方を同時に追っている。


 そして、土曜の中盤でその変化ははっきり形になった。


「先生」


 レイナが声を潜める。


「昨日より速いです」


 マリナが視線だけで棚を見る。新しい持ち帰り商品が、昨日より明らかに速い速度で減っている。アップルパイほどの勢いではない。けれど、それでも十分に「昨日の倍」と言える動きだった。


 副官さんが帳面を見たまま言う。


「昨日の倍に近いですね」


 数字で言われると、実感が一気に強くなる。


 師匠が口の端を上げた。


「おいおい、ほんまに広がっとるやないか」


 ユウトは棚を見た。減り方が昨日と違う。ただ目新しいからではない。狙って買いに来る客がいて、その流れを見て別の客も手を伸ばしている。


 その時、山本さんも気づいたらしい。焼き上がった分を棚へ出しながら、小さく息を飲む。


「……すご」


 一瞬だけ声が漏れたが、すぐに唇を閉じる。そしてそのまま、何も言わず次の型へ手を伸ばした。


 師匠が横目で見る。


「昨日よりええやん」


「えっ」


 山本さんが顔を上げる。


「動きや。客増えたのに、よう崩れとらん」


 その言葉に、山本さんの顔がぱっと明るくなる。だが、嬉しさを噛み締める暇もなく、すぐにまた炉へ向き直った。


「はい!」


 土曜の終わりが近づく頃には、選ばれ方そのものが変わっていた。


 昨日は、アップルパイのついでに、あるいは話を聞いて試しに手に取る客が多かった。今日は違う。アップルパイと並べて見て、自分の使い方に合わせて選ぶ客が増えている。


「こっちは今日食べる分」

「じゃあ、こっちは明日の朝にしようか」

「持って帰るなら両方欲しいな」


 そういう会話が自然に聞こえる。


 ガルドが店の外から戻り、短く言った。


「選ばれ方が変わったな」


 その一言が、土曜をきれいに言い表していた。


 戸を閉め、片付けが始まる頃には、疲れはたしかにあった。だが、金曜よりも手応えのある疲れだった。


 帰り道、夕方の風は昼の熱を少し残していて、石畳の上に長く伸びた影が揺れる。レイナは明らかに機嫌がよかった。


「昨日より、ちゃんと売れてる感じしましたね」


「ええ」


 マリナが頷く。


「もう試しじゃなくて、買うつもりで手を伸ばしてる人がいたもの」


「これなら明日が本番ですね」


 レイナがそう言うと、ガルドが静かに返す。


「日曜はもっと増えるだろうな」


 ダインも短く続ける。


「並びが早くなる」


 その少し後ろで、山本さんが小さく言った。


「……今日、昨日より怖くなかったです」


 ユウトが振り向くと、山本さんは少し照れたように笑っていた。


「客が増えたら絶対もっと焦ると思ってたんですけど、途中からちゃんと見えるようになってきて」


「それ、かなり大きいですよ」


 レイナが素直に言う。


「昨日より動けてましたし」


 山本さんはその言葉を聞いて、ほっとしたように息を吐いた。


 日曜の朝は、土曜よりさらに早かった。


 借家を出た時点で、通りにはもう人の気配が多い。休みの日特有の浮いた空気と、朝の市場へ向かう人の足音が混じっている。


「今日は本当に早そうね」


 マリナがそう言うと、ガルドがすぐ答えた。


「昨日の分もある」


 つまり、昨日買った客が今日も来るかもしれないということだ。


 魔王のケーキ屋へ着くと、その予感はすぐに形になった。店の前には、昨日よりはっきりした列が出来ている。


 中へ入ると、山本さんがすでに炉の前へ立っていた。今日も早く来ていたらしい。昨日よりさらに表情が引き締まっている。


「おはようございます!」


 その声は昨日より少し低く、落ち着いていた。


「早いな、山本さん」


 ユウトが言うと、少し照れたように笑う。


「昨日より多いと思ったので」


「ええ判断や」


 師匠が言う。


「今日は朝から詰まるかもしれへん」


 副官さんが帳面を閉じる。


「昨日より早く動く可能性があります。最初から気を抜かないように」


 戸が開く。


 日曜の営業が始まる。


 最初の客の声で、もう違いははっきりした。


「昨日のやつ、ある?」


 入ってきた女の人が、アップルパイではなく新しい持ち帰り商品へ真っ先に目を向けた。


 レイナが目を瞬く。


「あります」


「よかった。昨日買って帰ったら、家の子が気に入っちゃって」


 その言葉に、後ろに並んでいた客まで視線を向ける。


「そんなに良かったのかい」


「甘すぎなくて、でもちゃんと甘いのよ」


 客同士の会話が、そのまま店の中へ流れる。


 次の男は、最初からアップルパイと新しい商品を一緒に指差した。


「今日は両方もらう」


 迷いがない。


 土曜は「定着し始めた」だった。日曜はもう一歩先へ行っていた。目当ての一つとして、最初から数に入れられている。


 レイナがその流れへすぐ乗る。


「こちらは昨日も人気でした」

「持ち帰りやすいので、後で食べる分にも向いてます」


 マリナも客の顔を見ながら頷く。


「家族分でまとめて買う方もいらっしゃいます」


 その一言で、実際に二つ三つと手が伸びる。目的買いに、複数買いが重なり始める。


 作業台では、朝から忙しさが違った。


 ユウトは師匠の横で手を止めずに動く。皿、包み、追加の補充。昨日よりさらに流れが見える。師匠もそれをわかっているから、短い言葉だけで済ませる。


「ユウト、それ」


「はい」


「次、こっち」


「はい」


 その横で山本さんも、昨日以上に手を止めなかった。


「次、出します!」


 焼き上がりを見て取り出し、次を入れる。焦りはあるはずだ。だがそれを表へ出さず、作業へ変えていた。新人らしい必死さはそのままだが、もう昨日のような危うさではない。


 師匠がふと呟く。


「だいぶ馴染んできたな」


 山本さんは聞こえたのか聞こえないふりをしたのか、返事はしなかった。だが、耳だけが少し赤くなっていた。


 中盤に入る頃には、新しい持ち帰り商品はもう完全に定着していた。


 副官さんが帳面を見ながら淡々と言う。


「定着しましたね」


 その言葉に、師匠が笑う。


「これで一つ柱が増えたな」


 アップルパイに続く持ち帰り商品。昨日と今日を通して、それがもうはっきり形になった。


 土曜よりさらに速く減っていく棚を見て、ユウトは胸の奥に静かな熱が溜まるのを感じていた。思いつきでは終わらなかった。木曜の試作が、土曜で広がり、日曜で定着した。その流れが目の前にある。


 最後の一つが出る頃には、日曜の店はいつものように昼前後で売り切れへ達していた。


 戸を閉めた後の静けさは、二日分の熱を含んでいる。甘い匂い、荒れた呼吸、片付けの音。その全部が、濃い達成感へつながっていた。


 副官さんが帳面を閉じる。


「十分以上です」


 短く、それだけ言う。


「新しい商品は、完全に入りました」


 レイナが大きく息を吐いた。


「完全に、って言われるとすごいですね」


 マリナも穏やかに頷く。


「ええ。もう試しじゃないわ」


 師匠が腕を組み、ユウトを見る。


「ようやったな」


 その声は、金曜や土曜の時よりも少しだけ重かった。


「今回のは、ちゃんと考えて形にしとる」


 ユウトは返事の代わりに小さく頭を下げた。胸の奥が熱い。嬉しいというだけではない。ここまで繋がった実感が、そのまま重みになっている。


 少しの間を置いて、師匠が続ける。


「……そろそろ次行けるな」


 ユウトが顔を上げる。


「次、ですか」


 師匠の口元が少しだけ上がる。


「今のままでも戦えるし、店でも使える。せやけど、それだけやと頭打ちや」


 その言葉に、火曜と水曜の討伐、木曜の準備、金土日の営業、その全部が一度に胸の中で繋がる。


「新しい使い方、教えたるわ」


 副官さんが横から淡々と付け足した。


「月曜ですね」


 レイナがすぐ反応する。


「えっ、また何か増えるんですか」


 マリナは一瞬だけ目を細め、それからユウトの方を見た。


「黒崎くん、よかったわね」


 その声には、喜びと少しの心配が混じっていた。新しい使い方を教わるということは、またしごかれるということでもあるのだから当然だ。


 ガルドが静かに笑う。


「また大変になるな」


 ダインも短く言う。


「月曜が楽しみだ」


 その少し後ろで、山本さんが目を丸くしていた。


「え、まだ増えるんですか……」


 それがあまりにも素直で、レイナが吹き出した。


「増えるんですよ、この人」


「すごいなあ……」


 山本さんは本気で感心している顔だった。


 店を出る頃には、陽は少し傾き始めていた。土日をまとめて駆け抜けた後の身体はさすがに重い。だが、心地よい疲れだった。


 帰り道、レイナが上機嫌のまま言う。


「土日まとめて終わると、なんか一週間やりきった感じありますね」


「まだ月曜があるけどな」


 ガルドが返す。


「月曜は休み寄りです」


 レイナが言うと、ダインが低く唸る。


「ユウトは違う」


 その一言に、みんなが少し笑った。


 山本さんは店とは別の方角へ帰るため、途中の角で立ち止まった。


「今日はありがとうございました」


 少しだけ深く頭を下げる。


「土日、すごく勉強になりました」


「山本さん、かなり良かったですよ」


 レイナが言う。


「昨日より今日、今日より日曜の方がちゃんと回れてましたし」


 山本さんは照れたように笑う。


「必死だっただけなんですけど」


「必死でもついて来られるなら十分よ」


 マリナがやわらかく言う。


「来週はもっと楽になると思うわ」


 その言葉に、山本さんは少しだけ目を丸くし、それから嬉しそうに頷いた。


「はい。頑張ります」


 そう言って手を振り、自分の帰り道へ入っていく。その背中を見送りながら、ユウトは今日までの流れを頭の中でなぞった。


 討伐。準備。営業。新しい商品。山本さんの成長。店の広がり。そして、次のスキルの使い方。


 全部がちゃんと繋がっている。


 借家の灯りが見え始める。隣にはガルドの家の明かりもある。日曜の終わりらしい静けさの中で、ユウトは小さく息を吐いた。


 月曜には、また新しい事が始まる。


 その予感を胸の奥へ静かに置いたまま、夕暮れの石畳を歩いていった。

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