カレン
勢いに流されただけで、落ち着いて考えたらやっぱり私と行くのなんて嫌だと思うんじゃないかな。
このままカレンが帰って来ないんじゃないか。
そんな不安がユーリの中で堂々巡りしていた。そんな風に考えるのは嫌なのだが、滴が落ちる音のように、気になりだすと止むことはなかった。
起こしておいたたき火に枝を足し入れて、身体と髪を乾かし、用意してあった服に着替える。
髪を乾かすのに時間がかかってしまった。仕事の邪魔になるので、ショートにしてしまいたいのだが、ユーリがどうしてもダメだと言うから整えるだけで切れずにいた。
慌てて地下の借り屋へと帰る。その足取りは軽やかだった。
「イオリ?」
部屋の中は真っ暗だった。夕方過ぎに出たから待たずに眠ってしまっていたとしてもおかしくはなかった。
だが、カレンの、いや、キルレアとしての経験がうっすらと“死“の気配を感じとる。
カレンは慌てて駆け出す。いつもなら行儀良く靴を整えるが、そんな余裕はない。
「イオリ!」
ベッドにユーリは居た。膝を抱えながら、身体は小刻みに震えていて、歯がガチガチとなっている。
怪我をしているとか、そんな様子はない。
ただ身体が異常に冷たかった。
カレンは躊躇なくユーリを抱きしめながら二人を包むように毛布を纏った。
カレンの体温が急速に奪われていく。
多くの命を奪ってきたけど、自分の熱でイオリが助かって、とユーリの小さな身体を抱く手の力を強めた。




