79.速断暴風
術国イペファワエゼの首都【啓都】のとある路地にて。
ヒドゥニルンは、殺気以外の感情が読み取れない顔のまま、器用に短剣二本を片手それぞれで回す。
彼の前にいるのはレイザック。彼は今、ヒドゥニルンに殺されようとしていた。
「『ヒドゥニルンさん、これは一体!?』……ねぇ。
はぁ、見りゃ秒でわかるでしょ。あいつが気に食わなかったって。
オレ様は『ネロアとレイザックをここに連れてこい』って言ったのに、その半分しか出来てない、文字通りの半端だからな」
薄情極まりない仕打ちだ。と、レイザックは思った。
それを口に出して指摘したかったが、相手の機嫌からして絶対に意味はない。
レイザックは、さっきのことは一旦忘れて、別の問いを投げかける。
「何故、俺たちをここに誘き寄せようとしたんだ?」
「こんな人気の無い所に呼んだんだぞ? だいたいわかるだろ。
ま、いいや。損するもんはないし、シッカリめに答えてやるか……お前らトードイスムカの連中が紛うこと無く不愉快だから、始末する! これがオレ様の答えだ!」
レイザックは即、聞いた。
「何で、そんな極端なことをするんですか!?」
ヒドゥニルンは即答する。
「オレ様はな、二つ許せないことがある。『メンツを汚されること』と『裏切ること』……それをお前らトードイスムカは両方を犯したんだよ……!」
*
これは今から三年半前(※ゲーム内時間)の話。
啓都の郊外に、国内最大手の市場があった。
その管理人の名前はヒドゥニルン。
彼は人よりも飛び抜けたことをするのが好きな人物であり、強い魔法使いを目指すのがベターなイペファワエゼにおいて、あまり魔法に触れず商いをするのもその性格が理由である。
ヒドゥニルンは持ち前のカリスマ性と突飛な思考回路を活用し、斬新な戦略を次々打ち出し、利益を集めていた。
しかし、事件は起こった。ヒドゥニルンが信頼していた幹部が、資産のほとんどを持ち逃げしたのだ。
維持するための柱を失った市場は即崩壊。
ヒドゥニルンは仲間と居場所を、裏切りにより失った。
ここからヒドゥニルンの脳裏には常に、復讐の二字のみがあった。
彼はわずかに残された余力を使い、裏切り者を執拗に追い回し、やがて啓都の学園内にたどり着いた。
裏切り者は、そこでかつての化神官からの信頼を得て、暴風の学級長に任命されていたのである。
むやみやたらに彼を襲えば、学園からの制裁が下る。
その防備を破るべく、ヒドゥニルンは啓都に入学し、憎悪と憤怒を糧に勉学に励み続けた。
そして半年が経過した頃、かのデザートストーム事件の折に、ヒドゥニルンはこれまでの成果をすべてぶつけ、裏切り者への復讐を成し遂げた。
だがもう、仲間も、市場も、かつての財産も奪い返すことは叶わない。
彼の手元に残ったのは、今の『生徒会長』に渡された暴風の学級長としての力と地位だけだった。
もう、後には戻れない。
彼はこの運命を受け入れ、【暴風の学級長】のまま居続けることを決めた。
――真の天才とは、物事を速攻で善か悪か判断できる者。必要となれば強固に掌握し、邪悪となれば無情に排除する。
そうすれば、もう、裏切られることは無い。これを心中で悟りながら、彼はここまでやってきた。
*
ヒドゥニルンは、左右の手で持つ短剣の回転を加速させながら、
「お前らトードイスムカの連中がいなければ、暴風の学級が疑われることも、流水の学級どもから余計な喧嘩を買うこともなかった……」
「ヒドゥニルンさん、やめましょうって! 俺たちなんかに八つ当たりするよりも、もっと大切な事をするべきではありませんか!?」
「今更ゴチャゴチャ道徳語るな! お前も、ネロアも、アンティルも、オレ様を散々にまで裏切った分際で!」
ヒドゥニルンは一対の短剣を回すのを止め、双方逆手で持つ。得物を定めた猛禽のような目でレイザックを睨み、ゆっくりと腰を落とす。
「怯えるな、逃げるな、結果は瞬速だ……【シルフ・インビンシブル】ッ!」
一歩踏み込んだヒドゥニルンは、瞬く間に姿を消す。
同時に、レイザックの正面から、どこからともなく強風が吹き荒れる。
「消えた……この風は!?」
レイザックはこのおぞましい現象にあたふたする。と、間もなく、ヒドゥニルンがレイザックのすぐ側を横切り、彼の短剣がレイザックの首筋を斬る。
「ガッ……!?」
レイザックはHPを、四割持っていかれた。
「ちっ、悪運の強い弱虫が……無駄にオロオロしやがらなければ、もっと深く斬れたのに……」
ヒドゥニルンが暴風の学級長として究めた風属性魔法【シルフ・インビンシブル】は、『正面に強風を起こした後、自分は風と一体化する』もの。
風という、速度があり、視認がほぼ不可能な存在と一体化することで、相手の懐に確実に迫る――ヒドゥニルンの冷酷さと、確実性を尊ぶ性格が滲み出る奥義であった。
「【シルフ・インビンシブル】」
応急処置をさせる暇もなく、ヒドゥニルンは再度透明化。レイザックは今度は背後から強風を浴びせられる。
(また風が吹いて、消えた……そしてこの後、絶対またヒドゥニルンさんは急所を狙いに来るはずだ……一体これはどういう攻撃なんだ? 考えろレイザック……今ある情報で、ヒドゥニルンさんの攻略の糸口を……はっ!?)
ここでレイザックは思い出す。以前、ヒドゥニルンから、トパライザ禁書とその展示台の説明を受けていた際、ヒドゥニルンが自分の学生手帳を見せていたこと。
そしてその中に『ジョブ:【暗殺者】』とあったことを。
「【闇の一振り】!」
レイザックは風吹く方向に、闇を纏わせた剣を大きく振るう。
「ぐあっ!?」
この攻撃は見事ヒドゥニルンに命中、姿を現しかつ、HPを一・五割削られている状態で地面を転がる。
ジョブ【暗殺者】は奇襲を仕掛ける事を重点する。
奇襲を確実に成功させるには、隠れるのが一番効率的。
暴風の学級長であるヒドゥニルンが、自分を隠すのに使いそうな物はやはり『風』だろう。
――と、レイザックは推理し、それを見事的中させたのだ。
「お前、本当悪運だけは強いな……あー、久々に思い出した、あれ使ってる間は防御力が落ちるってこと」
「これは悪運じゃありません、俺の知識のおかげです……もう怯えたりしませんからね、ヒドゥニルンさん」
「あっそ。もうオレ様の【シルフ・インビンシブル】の能力は大体お見通しって感じか……じゃあ、チョイ足ししちゃおうか……【ウィンド・バレット】!」
ヒドゥニルンは何故か斜め上に風の弾丸を数発放ち、
「【シルフ・インビンシブル】!」
例の如く姿を消す。レイザックに正面から強風を浴びせる。
(あの明後日の方向に飛ばした弾丸は何だ、引掛けか?
とにかく、ヒドゥニルンさんが風と一緒に接近してくるのはわかった。
だからこの風の速さを読んで、いつヒドゥニルンさんがこちらの間合いに来るかを……)
レイザックは強風がする方に向かって、どっしりと構えを取る。
最中、レイザックは、ただならぬ気配を感じてふと上を見る。
「!?」
この時、ヒドゥニルンはレイザックの真上から落下し、彼の脳天に剣を突き立てようとしていた。
レイザックは盾を頭上に向け、ギリギリの所でヒドゥニルンの剣を受け止める。
「【ダークマター・バッシュ】!」
盾に闇属性付加させ、レイザックはヒドゥニルンを弾き飛ばす。
ヒドゥニルンは華麗な身のこなしで、レイザックから五メートルほど離れた場所に着地する。
(よく考えろよ、俺。【シルフ・インビンシブル】は風と一緒になる技。風なら何でも伝うことが出来るはず。だからさっきヒドゥニルンさんは風の銃弾を斜め上に撃ったんだ……俺の上から奇襲できるように)
「オレ様としたことが迂闊だった。もっと早く終わらせるんだったら、こんな小技よりも、より期待性のある大技を使うべきだろうに……【スロウ・ファールウィンド】」
ヒドゥニルンは両手それぞれから、円盤状の旋風をレイザックに投げつける。
二つの旋風はぐねぐねと曲がった軌道で、レイザックに迫る。
言うまでもなく、ヒドゥニルンは【シルフ・インビンシブル】を発動し、レイザックに強風を浴びせると共に、いずれかの風と一体化する。
(まずい……旋風はどうにか俺の闇魔法で相殺できるが、肝心のヒドゥニルンがどこから来るか読めない。
きっと俺が魔法を相殺する間に、ヒドゥニルンは攻撃を仕掛けてくる。なら!)
「【邪の一閃】!」
レイザックは闇を纏わせた剣で、脇の壁を突き壊す。今出来た穴をくぐり、風が吹いていない建物の中に入る。
スキル【シルフ・インビンシブル】発動中は、他のスキルを使えない――さらなる風魔法を発動し、ルートを伸ばす事が出来ない。
故にヒドゥニルンは風との一体化を解除して姿を現す。
苦虫を噛み潰したような顔で、彼はレイザックのいる建物の中を覗いた。
「どうやらお前への褒め言葉を、新しくしないといけなくなったな……『悪運は強い』を『逃げ方はうまい』によ」
「つまるところ、『逃げるな』っていうことですね。わかりました」
レイザックは剣先をヒドゥニルンに見せて、
「ならばどうぞ、攻めて来てください。今回は俺は逃げません。この言葉、信頼してください」
「信頼してください……クソみたいな言葉つかうなお前」
ヒドゥニルンは再び【スロウ・ファールウィンド】により、旋風二つを投擲。間髪を入れず【シルフ・インビンシブル】で、レイザックに正面から強風を浴びせつつ、風と一体化する。
(今回、俺は建物内にいる。屋根がある。だから今、ヒドゥニルンさんが攻めてくる方向は、大きく絞れる……好機だ、好機以外の何物でもない。これを有効活用して、ヒドゥニルンさんを落ち着かせるんだ……!)
「【モンスターコール:レイス3】ッ!」
レイザックは、自分の斜め横に、左右それぞれ二体ずつ、神秘的な風体のレイス【ミスティックレイス】を召喚。十字砲火の如く、己の正面で交わるように、レイスに火弾を発射させる。
しかし、火弾は何にも命中せず、レイスたちは旋風により斬り倒される。
これにてレイザックは気づいた。正面――【シルフ・インビンシブル】で起こした強風の中で十字砲火した火弾は何にも当たらなかった。つまり、ヒドゥニルンがいるのは……
「【ダークマター・ソーサー】、二連!」
……二つの旋風のどちらかに違いない。そう読んだレイザックは二つの旋風へ、闇属性の丸ノコギリ二つを発射し、それらを相殺する。
「ぐっ……」
結果、片方の旋風と一体化していたヒドゥニルンは、ダメージを受ける共に姿を現す。
「今だ、畳み掛ける……! 【邪の一閃】!」
レイザックは即座に、ヒドゥニルンを闇を帯びた剣で突きに迫る。
「確かに、お前は宣言通り逃げなかった。が、この程度でイキるなっつーの……レイザック! 『信頼してよかっただろ』ってでも言いたいつもりか!? このボケナスがぁッ! 【ウィンド・エッジ】ッ!」
ヒドゥニルンは、一対の短剣に風の刃を纏わせ、片方でレイザックの刺突を弾き、片方でレイザックの腹部を強烈に斬りつける。
追撃でキックを食らわせ、彼を怯ませる。
「もう良いわお前、マジで見たくない。本当こんな連中信じたオレ様が情けなくなるわ……だから尚更お前ら殺すッ! 【ハリケーン・キリングフィールド】ッ!」
と、ヒドゥニルンが詠唱するや否、建物を粉砕するほどの勢力を誇る竜巻が、彼とレイザックを囲むように発生する。
「一体お前は何が欲しくてここまで来たのかわからないが……少なくとも、お前は百パー馬鹿だ。 しょうもない理由で捕まるような仲間を助けるために、しょうもない事件をテキパキ解決できない仲間と一緒にこの国に来て、挙げ句の果てに俺の『狩り場』に来ちまったんだからなぁ……! とりま、遊ばれろ。【シルフ・インビンシブル】!」
ヒドゥニルンは強風を起こし、風と一体化する。
今回溶け込んだのは、言うまでもなくレイザックを包囲して轟々と回る竜巻だ。
ヒドゥニルンは四方八方から飛び出し、レイザックを攻撃した。
レイザックは今自分にある限りの技術を全て使い、ヒドゥニルンの攻撃全てを防御・回避しようと試みる。
が、生憎相手の手数が多すぎる故、レイザックは急所を守るのに必死で、ジワジワとHPを減らされていく。
「往生際が悪いなぁ、レイザック。無駄に重たい忠誠心をしてるじゃないか。
……そんなもんさっさと捨てちまえ! こんなに斬り刻まれて、お前も薄々気づいてるだろ、『役に立たない人を信じても、何にもならない。ただ自分が嫌な思いをするだけ』って!」
「そんなことは……無い……!」
「は、どういう訳で!?」
レイザックは、ヒドゥニルンの連撃を辛うじて防御しながら答える。
「俺は、信じて貰ってるんですよ……昔はエスカレーターみたいに惰性で出世してきた中身スカスカな俺を一生懸命鍛えてくれている恩人と、俺たちに助けて貰うことを夢見てる友人に……その恩人と友人と俺で、他二人を信じ合ってるんですよ……! それが今、俺がこうして堂々と胸を張って戦える理由になってるんです!
ヒドゥニルンさん、あなたは【暴風の学級長】として、色々経験して、あれこれ知っている……けれども、あなたは誰かから信頼されていることを知らない……!
だから、そうやって『信用』を損得で分別できるんでしょう……! だから、あなたは他の学級長と違って、誰も側に居ないんでしょう……!」
「……それがどうしたって話なんだよ。実際、お前が言う通り、オレ様は『信用』を利益のため、プライドのため、損得で分別してきた。
だから何なんだよ! 実戦では負けてるが道徳的には勝った。とかでも言いたいのかぁ!?」
「違います。俺が思ってるのは、これだけです……『信用してくれる人のため、負けられない』のですよ!」
「それだけ……で、おしまいだな? なら勝ってみなよ、その満身創痍の体で、逆転勝利してみろよ!」
「ああ、しますとも、『信用』して!」
レイザックは【モンスターコール:レイス3】を使い、自分の周囲に【ミスティックレイス】五体を召喚。これらに竜巻めがけ火弾を発射させる。
(アイツ、竜巻の中にいるオレ様を狙っているのか、もしくは竜巻に火を付けてオレ様をあぶり出そうとしているのか?
はー、マジ無謀だな。この竜巻の勢いの強さじゃ、オレ様にドンピシャで当てるのは無理だし、竜巻はせいぜい煙が上がるだけ。つまり……)
「しょうもない賑やかしするんじゃねーッ!」
ヒドゥニルンは、竜巻から強烈な勢いで飛び出し、邪魔なレイスを一瞬で斬殺し、レイザックに一太刀振るう。
レイザックは盾を突き出し、間一髪の所でガード……するも、この一撃の重さから、盾をふっ飛ばされてしまう。
再度竜巻に入ったヒドゥニルンは、レイザックに堂々言う。
「よくもここまで遅延してくれたな、レイザック……だが、いーよーいーよー、おしまいだァァァァッ!」
そしてヒドゥニルンは、竜巻からすさまじい勢いで飛び出し、レイザックのHPを奪いに行く。
「【マリンブルー・ビーム】!」
直後、ヒドゥニルンは水属性のビームを受け、撃墜される。
さらに竜巻も、突如氷結し、破砕し、消え失せた。
氷片舞い散る中、ヒドゥニルンは、辺りを見渡し、そして目を丸くする。
「この僕が、あれだけストレンジでダイナミックな煙と竜巻を放って置くと思いましたか? ヒドゥニルン様」
今この場に、カイナフィたち流水の学級が参戦してきたのだ。
満身創痍のレイザックは、少し口角を上げる。
(あの竜巻に煙を加えて目立たせて、ブッチギリーストさんが助けに来るようにする――来たのは違うけど、これで……俺は休める、な……)
*
術国イペファワエゼの首都【啓都】にある校舎内にて。ネロアと、オサラウド達【大地の学級】は相対している。
「ただいま啓都は、流水の学級のせいで、混乱していることはご存知ですか。ネロアさん」
「如何にも。今宵僕が、此処に居る所以が、それだ」
「このような状況下で校舎に……どの要件で来たのですか、ネロア殿?」
ネロアは一切曇りのない目をして、
「『生徒会長』殿に逢いに来た。この術国に、真の安寧を齎す為に……」
一人の大地の学級生が、オサラウドに進言する。
「オサラウドさん、真面目に付き合うだけ時間の無駄です。あんなホラ吹きなんかに……」
オサラウドはその学級生を黙らせ、ネロアに尋ねる。
「尋常ではない自信をお持ちの様子ですね。続きをどうかお願いします」
「僕は掌握したのだ。禁書簒奪より始まる今宵の術国の騒乱の黒幕の黒衣の裾を」
「ほほう、つまるところ、トパライザ禁書を盗んだ犯人がわかったということですね。
では、早速私に、手短に教えていただけますでしょう」
「……すまないが、今宵はそれに適さぬ。
あの黒衣を剥ぐ為には、ただ貴方に伝えるだけでは足りぬ。
どうしても『生徒会長』殿の権能を要するのだ。故に、僕は『生徒会長』殿に逢いに来た」
オサラウドはネロアの言葉に唸った後、背後に並ぶ大地の学級の精鋭を指さして、
「なるほど。ですが、本当に、私に伝える形では駄目ですか?
ご覧の通り、私はこの騒動下でも犯人逮捕が可能な軍力を用意してありますが」
「真にすまない。これは決して貴方の才気が不足していると見下しているのではない。
僕は、この騒動を終息させるだけでも、呪われた禁書を奪還するためだけでは満足できない。
僕は、術国の民を、真理の元に救済したいのだ」
捕まっているアンティルのなめ、許可状を貰う為――オサラウドは予想を大きく裏切られ、驚愕とした。だが、この答えに、オサラウドは一切負の面を感じなかった。
オサラウドはわかっていた。短い間、ネロアが一切邪念を持たず、友のため国のため、真実を求めて頑張り続けると共に、始めはあれだけ冷たく扱ったイペファワエゼの人々にも、優しさを見せた彼女の『誠実さ』を。
だから彼は……得物の槍を構えて、ネロアへ言った。
「貴方の気持ちはわかりました……だが、そう簡単に『生徒会長』に会わせる訳にはいかないッ!」
「……そう来ましたか!」
今、街で起こっている騒動の鎮圧よりも、主君の護衛を優先するオサラウドの忠誠心に、ネロアは思わず普段の口調で驚いた。
そんなことを気にする間もなく、オサラウドは自軍へ叫んだ。
「これより我々、大地の学級はネロア・ルォーナピアナ殿のための試練の監督者となる!
ゆめゆめ油断するな! これまでの修練の極意を見せつけろ!」
「「「おーーっ!」」」
続けて、大地の学級の精鋭たちも各々の、武器を構え、
「では、これより試験を開始する! はぁぁぁあッ!」
まずオサラウドが学級長として、先陣を切って単身でネロアへ突撃する。
【完】
ロジスティクス・サーガ・データベース
■キャラクター紹介
【ヒドゥニルン・シルフ】
分類:プレイヤー
所属:術国イペファワエゼ
レベル:77
ジョブ:【暗殺者】
風魔法を極めた【暴風の学級長】のプレイヤー。
表面上はノリが軽く、気さくな性格だが、内心は過剰に迅速さを求める点を持つ、猜疑心の強い人物。
イペファワエゼの【暗殺者】は短剣などの素早いモーションで振れる武器と、出の早い魔法を駆使して忍者のように戦う。
彼固有の風魔法【シルフ・インビンシブル】は、初動として正面に風を起こした後、自分はいずれかの風魔法に溶け込むというスキル。
彼は初動の風のほか、様々な風属性を駆使して、幅広い奇襲方法を披露する。




