第六章 — 運命のオーブとシステムの覚醒
冒険者ギルドの内部は、鎧や暗い色の外套、そして荒々しい声が入り混じる波立つ海のようだった。メインカウンターにたどり着くため、カイは志願者や戦士たちで構成された長蛇の列の最後尾に並ばなければならなかった。古い革とぬるいエール、そして汗の混ざった匂いが空気に染み込み、硬貨が触れ合う音や高笑いが素朴な木造の壁に反響していた。
順番を待つ間、カイは周囲の細部を注意深く観察していた。彼の視線は、年配の冒険者たちが背負う派手な武器や、若者たちの不安げな顔に向けられていた。指を何度も握っては開きながら、胸の奥で煮えたぎるような緊張と興奮の入り混じった感情を噛み締めていた。
三十分近く待った後、列はついに進み、カイは磨き上げられたマホガニーの広いカウンターの前に立った。向こう側では、髪を上品なシニヨンにまとめた、柔和な表情の受付嬢が羊皮紙の整理をしていた。
「次の方!」彼女は顔を上げて呼んだ。
カイは一歩前に出て、カウンターに体を寄せながら礼儀正しく言った。
「おはようございます。新人冒険者として登録したいのですが」
受付嬢は背後の騒々しさとは対照的な、とても温かい笑顔を浮かべた。
「おはようございます! ギルドに新しい才能を迎えられるのはいつでも嬉しいことですわ」彼女は優しく、そしてプロフェッショナルな声で答えた。「こちらへどうぞ。まずは初期の適性評価を行う必要がありますので」
彼女はカウンターの横の仕切り板を持ち上げ、カイに付いてくるように手で合図した。二人は、メインホールの耳をつんざくような騒音から離れるように、細い廊下を歩いていった。話し声は次第にくぐもっていき、やがて重厚な黒木の観音開きの扉の前に到着した。
中に入ると、カイの目の前には、薄暗く落ち着いた光に包まれた円形の小部屋が広がっていた。空間にはかすかに甘いお香の香りが漂っている。部屋の中央には、古代の紋章が刻まれた石の台座があり、その上には完璧に磨き上げられた透明な球体――魔法のオーブが鎮座していた。
「ここは評価室です」受付嬢は台座の隣に立ち、説明を始めた。「このオーブはギルドに伝わる古代のアーティファクトです。この上に両手を置いてみてください。あなたの魔力の流れを読み取り、オーブが自動的にあなたの職業と初期ステータスを判定してくれます」
カイは頷き、心臓の鼓動が早まるのを感じた。真実の瞬間だ。彼は台座に近づき、少し震える両手を上げ、水晶ガラスの冷たく滑らかな表面に触れた。
肌がオーブに触れた瞬間、その内側で青白い光が心臓の鼓動のように脈打ち始めた。光は渦を巻き、数秒間激しく輝いた後、突然……消えた。球体は再びただの冷たいガラスの塊に戻ってしまった。
部屋は静寂に包まれた。カイは困惑して瞬きをした。
「おかしいですね……」受付嬢は小首を傾げ、整った眉をひそめてつぶやいた。「本来ならすぐに結果が表示されるはずなのですが。最初の試行では魔力の流れが不安定になることもあります。カイさん、もう一度試していただけますか?」
「分かりました。もう一度やってみます」カイはそう答え、ズボンで手のひらを拭ってから、今度はもう少し意識を集中させて再びオーブに触れた。
今度は、オーブに触れた瞬間に全く違う反応が即座に起こった。水晶が輝くだけでなく、カイの顔の前の何もない空間に向けて直接光の束を放ったのだ。光は広がり、空中に浮かぶ半透明の長方形のパネルを形成した。
カイは突然の出現に驚き、思わず後ろに飛びのいた。
「なっ……なんだこれ!?」彼は目を丸くして叫んだ。
受付嬢は彼を安心させるように微笑んだ。
「驚かないでください。そういう仕組みなんですよ。オーブがあなたの魔力に反応して、その魔法の画面を投影し、ご自身のステータスをはっきりと確認できるようにしているんです」
カイは空中に浮かぶ光る長方形をじっと見つめた。最初の驚きは、すぐに奇妙なほどの既視感へと変わっていった。彼の頭の中で思考が猛スピードで駆け巡る。(反射的に驚いちゃったけど……これ、地球で遊んでたビデオゲームのインターフェースと全く同じじゃないか! まさか現実世界でRPGのステータスウィンドウが投影されるなんて!)
彼は目を細め、魔法の画面に光り輝く文字を読み上げた。
名前: カイ
種族: 人間
レベル: 1
職業: なし
筋力: 4
敏捷: 5
魔力: 3
生命力: 4
スキル: なし
カイは重い溜息をつき、自分の数値の現実を突きつけられて少し肩を落とした。
「僕……職業が何もないみたいです」彼は画面の特定の行を指さしながら言った。「それに、ステータスもかなり低いし」
受付嬢は近づき、投影された画面を読み取った。彼女の表情には、困惑とプロ意識が入り混じっていた。
「これは確かに、非常に珍しいケースですね」彼女は顎に手を当てて言った。「この画面を覚醒させる者のほとんどは、最初から戦士、魔法使い、弓使い、あるいは治癒師としての先天的な適性を持っているものです。おそらく、あのオーブがあなたの潜在的な適性を読み取る際に、何か小さな不具合を起こしたのでしょう」
「それなら、僕の職業はどうなるんですか?」カイは、登録できないのではないかと心配しながら彼女を見上げた。
受付嬢は彼を安心させるように微笑んだ。
「心配いりませんよ、登録には全く問題ありません。このような例外的なケースでは、あなたの職業はギルドの記録上、ひとまず『冒険者』として登録されます。これは中立的な分類です。今後、あなたがレベルを上げた際に再評価を行い、適性が覚醒したか、職業に変化があったかを確認することになります」
問題が解決すると、光る画面は空中で小さな光の粒子となって分解され、消え去った。受付嬢は部屋の隅にある小さな机に向かい、公式のスタンプのような形をした、先端がカットされたクリスタルでできた木製の円筒状の物体を手に取った。
「左手を出していただけますか」と彼女は言った。
カイが手を差し出すと、受付嬢はクリスタルのスタンプを少年の手の甲に押し当てた。
カイは肌にチクチクとした微かな熱を感じた。彼女がスタンプを離すと、青く輝く古代のルーン文字が肌に刻まれ、一瞬強く光を放った後、肉の奥へと沈み込み、物理的な痕跡を一切残さずに完全に消え去った。
「すごいな……」カイは手を裏返し、ルーンが消えた場所を観察しながら囁いた。「今のは何ですか?」
「今のは、ギルドの魔導書から抽出された小さな魔法を行使したのです」受付嬢はスタンプをしまいながら説明した。「その刻印により、あなたは『ステータス視認』の初級魔法を習得しました。これからは、このオーブがなくても、どこにいても自分のステータス画面を見ることができるようになります」
「本当ですか? ちょっと試してみても……」カイは一瞬目を閉じた。ただ頭の中で「ステータス」という言葉を思い浮かべ、画面を見たいと念じた。
微かなブーンという音とともに、先ほどと同じ半透明の長方形の画面が目の前の空中に実体化した。それは彼にしか見えないものだった。
「すごい!」カイの目は興奮で輝いた。「すごく簡単に使える! 考えただけで画面が出てくるんだ!」
「その通りです」少年の早い適応に満足し、受付嬢は頷いた。「さて、これで評価は完了し、あなたのステータス魔法も有効になりました。では、メインカウンターの方へ戻りましょう」
二人は薄暗い部屋を出て、来た廊下を引き返した。ホールの騒がしい音が再びカイの耳に大きくなって響き始めた。
「これであなたは正式に登録されたわけですが、カイさんにはとても重要なことをお話ししなければなりません」歩きながら、受付嬢は少し真剣なトーンで切り出した。「それは、冒険者の初期講習についてです。これがあなたの次なる、そして最も決定的なステップとなります」




