第四章 — 書類と旅立ちの始まり
鉄の帯で補強された冒険者ギルドの重厚な木の扉が押し開かれ、巨大な建物の内部へと続く道が開かれた。カイがメインホールに足を踏み入れた瞬間、凄まじい音響の波が衝撃波のように彼を襲った。館内は完全な超満員だった。
男たちや女たちの声が混ざり合い、活気に満ちた雑音となっていた。テーブルに広げられた地図を囲んで戦略を議論するベテラン冒険者たち、大麦酒のジョッキを手に高らかに笑う傭兵たち、素材の価格を交渉する商人たち、そして緊張した面持ちで情報を探す駆け出し者たち。革と金属、埃と酒の匂いが、メインホールの蒸し暑い空気を満たしていた。
(ここにある人の数はすごいな……)カイは素朴な建築様式や、木造の天井から吊り下げられた大きな鉄のシャンデリア、依頼書で埋め尽くされた掲示板を見渡しながら心の中で思った。(まさに王道のRPGギルドのロビーそのものだ)
慎重な足取りで、カイは人ごみの中を進み始めた。武装した背の高い戦士たちにぶつからないよう気をつけながら歩いていた。しかし、壁に掲げられた周辺地域の大きな地図に見とれて首を横に向けた瞬間、体の側面に突然の衝撃を感じた。
「きゃっ!」と、若く柔らかい女子の声が響いた。
カイは体勢を立て直すために半歩下がり、すぐに視線を落とした。通路の中央で、若い少女が尻餅をついていた。彼女の周りには、驚くべき量の書類や依頼書、公式報告書が板張りの床一面に散らばっていた。
「ごめんなさい! 本当にごめんなさい!」少女は慌てふためき、震える手で散らばった紙を集めようとした。「私、本当にドジで……ああ、恥ずかしい!」
カイは一瞬だけ少女を観察した。自分とそれほど変わらない年齢に見え、綺麗にアイロンがけされた白いシャツの上に濃い色のベストという、ギルド職員の完璧な制服を着用していた。彼女の顔には、人に迷惑をかけてしまったことに対する本物の恐縮の色が浮かんでいた。
「気にしないで、大丈夫だよ」カイは落ち着いた温かい声で言い、すぐに彼女の脇で床に膝をついた。「手伝うよ」
二人は一緒に散らばった用紙を拾い集め始めた。カイは端が折れないよう注意深く紙を揃え、整理した束にして少女に手渡した。彼女は書類が戻ってくるたびに安堵の溜息をついた。
最後の用紙を拾い上げると、少女はカイの手を借りて立ち上がり、制服のスカートを整えながら、書類の束を胸にしっかりと抱きかかえた。
「改めて、ぶつかってしまって本当にごめんなさい」彼女は深く頭を下げた。「今日はここが本当にてんてこ舞いで! 私、少し前にここで働き始めたばかりだから、こんな風にギルドが混雑するとパニックになっちゃって……」
少女は一呼吸置き、顔にかかった髪の毛を整えると、カイを頭からつま先までじっくりと見つめた。彼の質素な農民の服、背中の小さなリュックサック、そして腰にしっかりと固定された黒い小剣に目を留めた。
「ところで……君は誰なのかな?」彼女は目を輝かせながら好奇心いっぱいに尋ねた。
「僕はカイ」彼は穏やかに答えた。「新しい冒険者として登録をしに来たんだ」
少女の表情が一変した。彼女の目は驚きと興奮が混ざり合ったように見開かれ、パッと華やかな笑顔がこぼれた。
「本当!? 新人冒険者さんなんだ! すごい!」彼女は書類のストレスを一瞬で忘れ、歓声をあげた。「あ、私としたことが自己紹介がまだだったね! 私の名前はメアリー! 私も少し前に働き始めたばかりの新人受付嬢なの」
「よろしくね、メアリー」カイは小さく微笑んだ。「冒険者の登録をするにはどこに行けばいいか教えてくれる?」
メアリーは書類の束を片腕で抱え直し、空いた手で巨大なホールの奥を指さした。そこには濃い色の木製カウンターの前に整理された列ができていた。
「左側のあそこにあるメインカウンターだよ」メアリーは分かりやすく説明した。「あそこで受付の人が新規メンバーの登録を行って、最初の身分証を発行してくれるの」
「助かったよ、メアリー。ありがとう」カイは軽く会釈をし、指示された場所に向かって歩みを進めようとした。
彼が人ごみの中に完全に消えてしまう前に、メアリーは一歩前に踏み出し、どこか愛情のこもった真剣な眼差しで彼の注意を引き直した。
「最初のステップ、頑張ってね、カイ! 絶対に幸運が必要になるから……またここで会えることと、君が諦めないことを心から祈ってるよ!」
カイは道の途中で足を止め、振り向いて不思議そうに首をかしげた。
「諦めない……?」カイは首を傾げた。「どうして僕が諦めるの?」




