暇な時間
侯爵家の屋敷に来て、1日が経った。
ルーエさんは朝からお城に行っているらしく、私は自分の部屋でまったり外を見ていた。
「暇だなぁ...」
スマホは充電切れ。話を聞く限り、魔力は電力の代わりにもなっているようで、電源なんてものはないらしい。そもそも電波がないから意味ないけれど。
「レネ様はご趣味などありますか?」
朝食を取ってからずっと椅子に座って外を眺めている私に見かねたのか、ミアが助け舟を出してくれた。
「趣味...」
そういえば元の世界で暇な時って何をしていたっけ。
...ずっとスマホを触っていた気がする。いつの間にか依存していたらしい。
「思い浮かばない...」
「そういう時もありますよ」
スマホがなかった子どもの頃は家庭用ゲーム機で遊んでいたけれど、この世界にそんなものはなさそうだ。
「ミアはお休みの日は何をしているの?」
「そうですね...裁縫の練習や礼儀作法の本を読んでいます」
勤勉だった。商家出身で侯爵家の侍女になったくらいだし、相当努力家なのだろう。
「この世界の娯楽って何があるの?」
「他の国は私にも分かりかねますが、この国の貴族の娯楽は、カードゲームやボードゲームだと思います。ただ、そういったゲームは主に男性の方が遊ばれていますね。女性だとお茶会やお買い物でしょうか」
「お茶会...お買い物...」
わお、全く気分ではない。社交的な性格ではないから、元の世界でも全然やったことが無かった。
「散歩でもしようかな...」
のんびり外を見ていて思ったのだけれど、この屋敷は庭がとても広い。庭園と呼ばれる類いだろう。ちょっと冒険してみたい気持ちがある。
ただ、どれくらい魔力を使うのか分からない。一応、昨日の夜に魔力補充してくれているから、多少動いたところで大丈夫だと思うけれど。
でもまぁ、ウォーキングじゃなくて散歩だし、ずっと寝ていたのもあって体を少し動かしてリフレッシュしたいし、ちょっとだけ歩こうかな。
「ねぇミア、お庭を少し歩こうと思う」
「かしこまりました。準備いたします」
ミアは返事をすると、衣装部屋から帽子や日傘を取り出した。




