休戦それとも?
青生 瑠璃 彩桜が月へと飛んで行ってしまったので、一旦マヌルの里に戻ろうかと話していると、異界の青龍神が現れた。
【彼らも真ブルー様の所に運ぶよ】
【このままだと消滅してしまうからね】
【アッシュムとアッシュラが居る場所ですか?】
アッシュイが進み出つつ言った。
【同じ場所です】
【お二方とも既にお元気ですので、確かに回復しますよ】
【では弟達をお願い致します】礼。
【【はい、確かに】】
アッシュオとアッシュカから受け取ると、背に乗せて離れ、礼をしたまま消えた。
【アッシュオ、アッシュカ。
報告をしに――】【ナンか近づいてるぞ!】
カケルが指差している方向には何も見えないが、強い不穏が迫っているのは確かに感じた。
【響、強制具現化を御札にして】【やってみる!】
ソラから術を伝えてもらった響が気を高めている間に防護壁が出来上がっていた。
【ソラも浄破邪を頼む!】【はい!】
空マーズになって飛んだ。
マーズ数人が横並びになって防護壁に全神力の浄破邪を込める。
完成した時には不穏は間近に迫っていた。
【いくわよ! 強制具現化札!】
不穏最強の箇所へと放った。
続いて犬用レインコートみたいな忍装束の忍犬ショウが利幸を鞭で飛ばした。
忍犬 力丸も真似てカケルを。
「生体魂縛! ぐぅおっ!!」
「「捕まえたぞ!」♪」
御札が付いている超越者の腰辺りにタックルした形でカケルが組み着いている。
顔面ラリアットからの回り込みヘッドロックな利幸が雄叫びを上げて龍化し、カケルごと尾で縛り上げた。
【苦しいだろ!】
【お兄それ以上 死なないんだから黙って!】
【響も冷たい……】
改良成功で誰も魂縛されていない。
続く放水やらの攻撃と御札とで、新たな死滅の配下も御札ボールの中――かと思いきや、背後の時流の配下達を囲んでいる防護壁に攻撃していた。
【力丸 ショウ! 御札ごと飛ばして!】
【うんっ!】【やってやる!】
鞭を上手く操って、兄弟協神力でトシとカケル入り御札ボールをブッ飛ばした。
【散開! リトライ!】
激突寸前で御札ボールが解け、楽し気な咆哮が聞こえてギュッと閉じた。
【今度こそ捕まえた!】
と誰もが思ったが、死滅の配下は上に居た。
ゆっくりと降下して、響を見下ろす位置で止まった。
「最強生体、女神なのだな」
皆の攻撃は全て寸前で弾け消えている。
「五月蝿いが……然程の問題でもないか」
ニヤリとして複数の黒点闇禍を放った。
対抗して御札を放った響の前には空マーズ。
赤マーズの堅固結界に浄破邪を更に込め
【ランマーヤ様、逃げてください!】
浄破邪の剣を成して鋭く飛んだ。
「魂縛は効かぬか。ならば蒼月煌」
腕力などは男神の方が強いという知識もあるらしく女化の術を空マーズに向けた。
何を言われようが忍頭巾が防いでくれる。
空マーズは死滅の配下の至近距離に。
袈裟懸けに剣を振るった。
「互いに何も効かぬようだな」またニヤリ。
「しかし所詮は物生体だ。
滅魂物真剣」
成した剣を突き立てた。
空マーズの方も剣を相手の腹に貫通させている。
「な……何故……」
答える必要は無いとばかりに横に薙ぎ斬った剣を今度は胸に。
「この儂がダメージを受けるなんぞ――」
「「ウッセーーーーッ!!」」
今度こそな気迫を漲らせて弾丸のように飛んで来たユーレイ状態の利幸とカケルが絡み着いて噛み付いた。
トシは超越者の口も塞いでいる。
【攻撃は全て逆具現化してください!】
もう聞き取られても行動には移せないだろうと空マーズが叫んだ。
雷撃等々が集中する。
そして今度こそな御札ボールが出来上がった。
もう間違いなく形勢逆転だと誰もが思った。
なので次は説得だと集まろうとした時、
【ゲ……】 【呼びやがったな!】
【離れて!】【浄破邪 強めて!】
すぐ上に現れた巨大な闇禍に対処しなければと声が重なった。
巨大闇禍は容赦なく無数の黒点闇禍を放出した。
対抗する千華掌の蕾と光矢が飛び交う。
しかし的確に動いてもらうには神力を注ぎ続けなければならない為に出せる数には限りがある。
皆が限界まで出しても彩桜の万華掌ほどではないので、とうとう逃れた黒点闇禍が飛び出して来た。
万事休すかと脳裏に過った その時、白輝一色になった。
誰かが鏡を開いたにしては広域で、浄化光も強かった。
『遅くなって悪かったな!
ヒアディス、捕まっちまった気分は?』
『悔しいに決まってるけどなっ♪』
皆が銀マーズの気を探した。そんな声だった。
眩しさが去ると5色の鳥翼龍神達が見えた。
「コッチの箱に入れたいんだ」
「ソイツを解いてくれるか?」
白銀の2龍神が笑顔で御札ボールに寄った。
「あっ、はいっ!」
呆然と眺めていた響だったが、力丸とショウにツンツンされてハッとして御札を消した。
トシとカケルが絡まるのをやめて掴むだけにした。
「「ありがとなっ♪」開扉、櫚堅牢」
「真化封乱悪牢」
白銀龍神の片方が金庫みたいな頑丈そうな箱の扉を開いて構え、もう片方が光矢を放った。
外すなんて有り得ない至近距離なので、すんなり光矢が死滅の配下を導いて箱へ。
空かさず扉を閉め――
『また失敗しおったな!』
――たのだが、ヒアディスは吊り下げられているらしく上で足掻いていた。
声は聞こえないのだが、表情と口の動きで必死の訴えを叫んでいるのは明らかだった。
『三界の身神共に尾行されおって……危険因子共を会わせて何とする!』
ヒアディスの動きが固まり、弾けて消えた。
憎しみが一番な強い負の感情しかない視線を感じている間、誰も動けなかった。
近付いていた視線の主は、しかし離れて行った。
安堵の息を吐いて、ようやく呼吸すらも止まっていたと知る。
「どうやら、あの結界が抜けられなかったみたいだな」
「らしいな。
引き込まれそうになったんじゃねぇか?」
「「強化する」」
赤マーズを連れた深紅龍神達が上昇し、途中で瞬間移動した。
「「白久、随分と久し振りだなっ♪」」
神眼拒絶の覆面忍者ばかりなのに真っ直ぐ銀マーズに寄った。
「やっぱハク達かぁ。ありがとなっ♪」
「白久達も忍者してたのか♪」
「お前らのはドラマの役じゃねぇかよ♪
白久達のはマジっぽいな♪」
「マジ忍者だ♪ 戦うし音楽もマジだ♪
にしてもデカくなったな♪ 身体も羽も♪」
「ま~な♪ 地星を押し戻して随分と経ったからなぁ」
「万年単位だと思ってくれ。
天竜王して、隠居して、修行しての此処なんだからな♪」
「押し戻してもらって1ヶ月も経ってないんだけどなぁ」
「「ま、異界だからなっ♪」」「だよなっ♪」
懐かしそうに話す異界の龍神達と輝竜兄弟との近くにマーズが数人ずつという塊が4つ出来上がっていた。
深紅龍神と赤マーズが戻り、紫マーズが寄る。
全部聞きたいと動いていた子供マーズ3人も興味津々で紫マーズを追った。
【ソラってば すっかり子供しちゃって~】
【団長は行かないのか?
俺、金錦の兄貴トコに行くぞ】【僕も~♪】
神王子達は地に残る地星の歴史を集めに行こうと話している集まりへと飛んだ。
【響お姉ちゃん?】
【紗ちゃんは何が聞きたい?】
【お薬とお料理の間に行きましょ♪】
【それ、いいわね♪】
さっきまで戦っていた空で話に花を咲かせているのは、続いて何かが現れたなら逸早く察知する為で、誰一人として気を緩めてはいなかった。
時流の超越者達も話し合っていた。
纏まったと地星人達の方を向く。
「この防壁を解いてもらえるか?
これだけ待てば十分。
策を練る為に離れたか、我々が去るのを待っているのだろう」
「十中八九、考える為に離れたのだろう。
故に報告を急ぎたい」
赤マーズが頷くと防護結界が消えた。
「ありがとう。では私のみ残る」
他は頷くと瞬間移動した。
「考える為に、とは?
俺達が来ちまったからか?」
「ヒアディスを追ったら此処だったんだが?」
白銀龍神達が訝し気に首を傾げる。
「その視線は至極当然だが、私は身神を宇宙を守る仲間と考えるようになった。
許されるのならば信用してもらいたい」
「ん。俺達が知る主達と同じ気の色になったから信用するぞ」
「だな。仲間の気だ♪」
「ありがとう。
私はアッシュイ。時流の主様に仕える者だ。
滅の主が考えている間が備える猶予。
先ずは、操られた弟達が運んだ闇禍を捜したい。
協力してもらえようか?」
マーズが揃って頷いた。
「けど大勢で動いたら奴を刺激しちまう」
「俺達に乗って行く数人だけにしてくれ」
「兄貴達の歴史探訪は「別だからな♪」」
「それなら~♪ 捜し物は探偵団の仕事よね♪
闇禍捜索はユーレイ探偵団が引き受けます♪」
「ユーレイ?」「物生体だよな?」
「説明は飛びながらで♪ 行きましょ♪」
【おお~い、何してるだぁよ?】
「あれ? サイオンジよね?」
「カソーディア上空だからね」
「復興作業しに来たのかな?」
「だと思うよ」【戦い終わったところです】
【戦ってたってぇ――おんやぁ?
こりゃあよぉ?】現れてビックリだ。
【龍神様って、やっぱり綺麗ねぇ、あなた♪】
【おやおや、また身神様方が。
何度も何度も すみませんねぇ】
【遠いところ、ありがとうございます】
アミュラとカミュラも。
「普通に話した方が察知されなさそうですよ。
これから闇禍捜索に行くんです。
サイオンジとトクさんも一緒に行きましょ♪」
「そんならまぁ、行くとすっかぁよぉ」「ええ♪」
「だったらアタシらも行くよ」「そうしましょう」
「そんなら、そこまでな。
白久、青生と彩桜は?」
「アオとサクラも邪魔してる筈だが?」
「別行動になっててなぁ」
「なら白久は待っててやってくれ」
「だな。特に彩桜が心配だからな」
「おう、ありがとな」心が、だよなぁ。
「私達はマヌルの里に戻る。白久も共に」
「飛び回るから先に挨拶かぁ?」
「そうだ。カウベルル様に話すべきと考えた」
「おう。戻ろうぜ♪」
各々の行き先が決まった。
死滅の主様なのか上位の配下なのかは不明ですが、とりあえず退いてくれましたのでアッシュイ様達は次への猶予が得られたと判断したようです。
時流様側からの攻撃やらは もうありません。
死滅側も策を練るのなら暫くは平穏でしょう。
というところで、この章は終わりです。
スッキリしませんけどね。




