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探偵団活動



 ユーレイ探偵団が瞬移した先は夕の陽が低くなりつつある森の中だった。

【あの山頂……煌麗山ね?】

煌麗山と竜ヶ峰は稜線の美しい よく似た山だが、煌麗山は山頂が少し欠けている。


【そうだね。でも湖側を向いてね。

 目的地は別荘だから】


【誰の別荘?】


【少し前に――あ、出てきたよ】


【政界の御大様(おんたいさま)!?】総理経験者だ。


【そう。今、御大様の派閥の人達が集まってるんだよ】


【その中に真犯人が居るのね!】


【そう考えてるんだ。

 ボク達にとっては好都合なタイミングで御大様が出かけたから、本音も出ると思うんだよね。

 今は響もユーレイだから出入り自由で盗聴器すらも要らないけど、録音したいからセットするよ】

紅火作の盗聴機を掌に出して見せた。


【受信機は?】指で四角を作る。


【もちろん持って来てるよ】また掌に出す。


【手品みたいね♪ あれ? 彩桜くん達は?】


【別の証拠集め。

 新総理はスマホが使えなかった。

 全然サッパリだって白久お兄さんが言ってたんだ。

 ただの機械音痴なのかもだけど、機種変したばかりなのかもと思ってね】


【演奏しながら彩桜くんと話してたの?】


【うん。お兄さん達とも。

 考えを纏めておかないと動けないから】


【あ! だから一緒に消えてたのね!】


【うん。響は休むべきだと思ったから。

 ゴメンね】


【今はユーレイなんだから休まなくてもいいんでしょ?】


【神世と人世は違うんだよ。

 ユーレイ初心者には行ったり来たりはキツいって彩桜に教えてもらったんだ。

 今は気づいてなくてもね】顔色悪いんだよ。



―◦―



【彩桜、オッサンの臭い覚えたぞ】エヘン。

【僕も~♪ 独特な臭いだった♪】あはっ♪


【じゃあ次ねっ♪】連れて瞬移♪



――店の前。

姿を消したままのユーレイ達は自動ドアを通り抜けて入った。

【携帯キャリア直営ショップ♪

 中古スマホ専門店なの~♪

 拾知また邪魔されてるから、この店ってトコまでなの。

 さっきのヒトの臭いするスマホ探してなのぉ】


【任せろ♪】【僕アッチ~♪】

宙を駆け跳ねて行った。


【俺その間に もっと拾知してみるね♪

 ラン、俺のサポートお願いね♪】【うん♪】



【あった~♪】【確かめてやる】【うん♪】

【マジでオッサン臭だ♪】【来て来て~♪】


彩桜と紗も行く。

【じゃあコレ買うからね♪】


【持ってけるのに?】


【それじゃドロボーさんでしょ、王子様】


【王子様ヤメてくれぇ】紗とショウ大笑い♪



―◦―



 盗聴機をセットして森に戻って暫し。

聞こえてくるのは真面目に大火事状態の国際問題に対処している声ばかりだった。


【あれ? あの女の人……】


私道に入ったばかりの所で車を止めて降りた女性が別荘に向かって歩き始めたのを目で追う。


【駐車場には入らずに?】


【エンジン音が聞こえないように、かな?】


【そっか。じゃあ共犯者クサイわね。

 ん? 玄関にも向かわない?

 共犯者確定ね♪】

何かのメーターの検針をする人には到底 見えないピシッとスーツなので。


【裏口に向かってるね。

 モグ、聞いててもらえる?】【うん♪】

【響、行こう。僕は反対側から回るね】


【ん。私は尾行ね♪】



―◦―



 彩桜達は新総理の旧スマホから拾知して、その後も中古ショップを巡って買った合計3台のスマホを紅火に頼んでデータ復旧してもらっていた。


【む】完了だ。


【ありがと紅火兄♪ 音楽祭りの方は?】


【順調だ。心配するな】フ。

紅火の分身は笑みを浮かべて消えた。


【ん♪ 兄貴達、師匠達ありがと♪】

「怪しモノ探しする~んるん♪」


「俺達は?」「ほらよ、プリン食ってろ♪」

一瞬だけ現れた黒瑯の分身が置いて去った。


「大きなプリンだね~♪」「彩桜のもあるぞ♪」


「ん♪♪♪」あもっ♪


「イキナリ完食かよっ!」「顔おっき~♪」

「サクラってリスかハムスターみたいね♪」


【美味し~よ♪】もむもむもむごっくん♪

「俺リスさ~ん♪」

【黒瑯兄おかわり~♪】【解決してからだっ!】

「じゃ頑張~る~♪」るんるんるんっ♪



―◦―



【出てきた男性は副から国土大臣になった次野(つぎや)氏だね。

 今のところ大臣が変わったのは国土だけ。

 国土大臣が総理になったから繰り上げね。

 この別荘に集まってるのは御大様の派閥の人ばかりで、大臣は国土だけなんだよね。他は前総理の派閥だから。

 新総理と次野氏は同派閥で、上司と部下的な存在だからこそ大臣と副大臣だったんだけど、実は対立してるって噂されてるよね】


【女の人も大臣よね?】


【うん。外務大臣だね。

 万手内(まてない)さんだっけ?】


【あ~そんな名前だったと思う~】


【響って興味ないと全然だよね】くすっ♪


【政治家なんて記憶に残すのも嫌なんだもん。

 うわ……ラブラブだぁ】


【どっちも家庭持ちだと思うんだけど……】


【ダブル不倫ねっ!

 外務大臣なら助っ人しに来たのかもって ちょっとでも思ったのが悔しい!】


【確かにね。この大騒ぎなのに派閥が違うからって非協力的なのは気になるね】


【外務省は? 何もしてないの?】


【それも調べないとね】

【外務省、エスパーニアに引っ越してるって♪

 車の尾行してた神マーズ様から聞いたよ~♪】


【尾行してたの!?】【モグ、詳しくお願い】


【外務省の皆さん引っ越し賛成だったから副大臣さんにお任せして、外務大臣だけ邦和に残ったんだって。

『留守にはできません!』とか言ったみたい。

 なんだか怪しいから見張ってたら、何もせずに家で様子見かな? のんびり休暇みたく過ごしてたみたい。

 反マーズ派に家 囲まれたから家族は外国に避難。

 大臣はホテルに避難してたって。

 不倫相手からの電話で此処♪

 外務副大臣さん、真面目に働いててエスパーニア王様にも会ったりしてるって。

 それなのに~だよね~】


【攻撃されたら どうするつもりだったのかな?】

【自分だけは反マーズ派じゃないとか言うつもりだったんじゃない?】


【その通り~♪

 最後の1人で邦和を救ったヒロイン?

 そんな感じで総理への階段を昇るつもり~♪

 先に逃げた家族とは縁切りして再婚もするつもり~♪】


【だから政治家なんて大っ嫌いなのよ!】

【真面目な人も居るんだから一括(ひとくく)りにしないであげてよ】


【次野さん、トイレ長いとか言われてるよ♪

 皆さんイライラだから落ち着かせとくね♪】


【【お願い】! あ!】【動いたね】

【逃亡する気よ!】【車に向かってるね】


【だったら捕まえよ~♪】【【彩桜♪】くん♪】

【証拠も見つかったから~♪

 まずはユーレイらしく おどかしちゃお~♪】


【彩桜ってば♪】あははっ♪

【いいわねソレ♪

 ユーレイ探偵団、行くわよ♪】【おー!♪】一斉♪



 姿を消したまま車を包囲し、乗り込むのを待つ。

乗り込むと持ち上げて煌麗山湖の上に瞬移した。


【けっこう高いわね♪

 夕焼け色の空も湖面も綺麗ね~♪】


【な~んにも気づいてにゃいけどね~♪】


次第に暗くなる中だから――ではなく、彩桜が沢山の掌握を半具現化してガラスというガラスをペタペタしているからだ。

もちろんエンジンも掛からなくしている。


暫くは何も聞き出せそうにないので、待つ間に中古スマホからの情報を共有した。


【ギャーギャーう~るさ~いのぉ】

【オバサンだけな。オッサン気絶してるぞ】

【じゃあ冷や水♪】ザバッ。【滅♪】

【どこから水? 水どこ行った?】

【ぜ~んぶ術♪ お目覚めなの~♪】

彩桜と力丸が話している間、ショウとモグと響と紗は笑いっぱなし。

車を掌握で支えているソラは頑張って笑いを堪えている。


【声、嗄れちゃったみたいだね~♪】

【オッサンは固まってるだけだけどな】

【じゃあ そろそろ聞こえるかにゃ~ん♪】

「マーズの耐震装置、配ってるの邪魔したのオジサンとオバサンでしょ~」

「埋めてもらえなかったからボク達、死んじゃったんだよ~」

「もっと生きてたかったのに~」

彩桜とソラと紗がフロントに うっすらと顔を見せた。


「う、嘘よ! 死亡者0の筈よ!」


【オバサン元気だなっ♪】【だね~♪】

「見つかってないだけ~」

「邪魔されなかったらマーズ来て機械 埋めてくれたのに~」

「ボク達も助かったのに~。

 だから「「一緒に行こ~」」」


『一緒に行こ~』がエコー付きで何度も木霊(こだま)する。


「いっ嫌よ! 私じゃない!

 やったのは この人よ! この人と新総理よ!」


「嘘はダメだよ~」

「証拠あるんだからね~」

「コレ、オジサンのでしょ~」

「コレはオバサンのだよね~」

「コレ誰のか知ってる?「「新総理のだよ~」」」

フロントガラスに3台のスマホを並べた。


誰も触れていないのに画面が変わっていき、2台が同じ文章を表示した。

『蹴落とせ』『政界から葬り去れ』

『本当に葬り去るのも良し』の文字が2台とも赤く変わった。


もう1台は文章は違うが『マーズを妨害しろ』の文字が赤くクローズアップされた。


「ね~。オジサンとオバサンでしょ~」

「新総理に前総理を監禁させたよね~」

「スマホ、警察に持って行こ~かな~」

「でもボク達が手を離したら~」

「湖に落っこちちゃうね~」

「だから「「スマホも車も持って行こ~」」」


万手内(まてない)外務大臣は再び大騒ぎ。

窓から下を確かめた次野(つぎや)国土大臣は再び気絶した。



 暫く待っても状況が変わらないので

【反省しないのね。

 それなら連れて行きましょ♪】

団長(ヒビキ)がGOを出した。


【何処へ? 響にはアテがあるの?】


【それは~~~】【東邦テレビ♪】【へ?】

【御大様が行ったから♪】【そうなの!?】

【新総理は死神師匠が運んでくれるの~♪】


【じゃあ役者が揃うんだね?】


【揃うの~♪ 成敗なの~♪

 正義は勝たなきゃなの~♪】


【そうよね! それじゃ行きましょ♪

 あ、別荘の人達は? 外国との交渉は?】


【外国のは仕込みなの~♪ 無問題なの~♪】

【別荘の人達は眠らせたよ♪】


【へ? 仕込みって!?】

【モグの落ち着かせるは安眠(おやすみなさい)だったんだね♪】


【うんっ♪】


【響、そもそもマーズが世界中を回っていたからマーズタウンが出来たんだよ。

 当然きちんと話してるよ。

 邦和は攻撃なんてされないから安心してね】


【そうなのね~。もうっ、ちゃんと話してよね!】


【うん、ゴメンね】【早く行こ~♪】【ね~♪】

【団長、落ち着け】【【ケンカしちゃダメ~】】


【そうね♪ 楽しかったからいいわ♪

 運びましょ♪】







ソラと彩桜が動いていたのを確認する程度でしたが、団長が満足したようなので、探偵団活動は最終段階へ。です。



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