第七十五話 殺られる前に殺れ
作戦?
そんなものは無いです。何故なら……
「やっと見つけましたわ。私のごちそう。」
作戦を立てる前に鬼に見つかってしまいましたから。
カモミールさんは、明らかに私に対して、熱い視線を送ってきています。そんなに私の血を飲みたいんですか!?あの時の痛みを思い出すと、私は顔を顰めます。
「リーズ!如何するの!?」
「ピンチ!」
「戦います!」
「ええ!?」
「……!?」
驚いている二人には悪いですけど、短時間で今のカモミールさんを運よく捕えるのは難しいです。なので、正攻法で戦って捕まえます。本来なら私一人でも倒せるんでしょうが、今の状態のカモミールさんに近づきたくないです。
私たちは、カモミールさんから距離をとって後方に散らばる様に跳びました。私は後方から、魔法を放つ
「風よ敵を捕えろ!風鎖」
「氷よ敵を封じろ!氷結」
「光の矢よ敵に降り注げ光矢」
私とクリスでカモミールさんを封じこみ、魔法に長けたイグナーツが、攻撃系魔法を放つという私が即席で考えたにしては、中々いい感じに当たったんじゃないかなと思いました。
「ごちそう……。」
カモミールさんはそれだけ言うと、その場に倒れました。最後の言葉がごちそうって、どれだけ私の血が欲しかったんですか。正直、私の血に対する執念にかなり引きました。
その後、血を吸われたであろう人たちの手当てをして、カモミールさんが目を覚ますと、血を吸われた人たちは、散々文句を言った後に、本人たちが欲しい物を色々要求して、落ち着いたみたいです。休みのはずなのに休めてませんね。
「それにしても、何で血なんて吸ったのよ。」
呆れた様にマリエルが言う。
「吸いたかったからですわ。」
「だってあんた、吸血鬼なのに何時もは血なんて吸わないじゃない。それに、私はあんたが血を吸うとこなんて見たことないわよ。」
「あら、でもリーズさんとクリスさんは、私が血を吸うところを見たことありますわよ。」
カモミールさんのその言葉に私は途端に自分の顔が無表情になるのが分かりました。話を聞こうとして私の顔を見たマリエルが固まっていましたから。
「ねえ、カモミール。」
「何ですか?」
クリスは何時になく不機嫌な様子で、カモミールさんをじっと見つめています。
「次にあんなことしたら、殺す。」
とクリスが怒っている様子を見て、私はまたDVモードに戻ったんじゃないかと、思わずクリスを凝視してしまいました。
それに対してカモミールさんはいつもの様に優雅な笑みを浮かべる。
「肝に銘じておきますわ。」
カモミールさんは何故か嬉しそうに言った。




