第七十四話 かくれんぼ
恐怖のカモミールさんside
「うふふふふふ」
私は、はしたなくも自然とあふれた涎をハンカチでぬぐうと、獲物を求めて狩りを始めました。まあ、狩りと言っても、かくれんぼという遊びなのですが。けれど、このかくれんぼという遊び、私にとっては本能が揺さぶられるというか、
唯の子供の遊びなのに、どうしてこんなにも、心が揺さぶられるのでしょう?
さて、ちゃんと聞いたとおりに十秒数えました。楽しい、楽しい狩りの始まりですわ!
一番近くに感じる気配を辿ると、思い切り首筋に齧り付く。
「きゃああああああ!?」
あら、エリザベスさんでしたの、悲鳴を聞いてやっと気づきました。でも、今の私にはもう止められませんわ。だって、今はとても楽しい、狩りの時間ですもの。一応、手当をして私はその場を後にする。
次は、あちらにしましょう。私は何時になく高速で、獲物へと向かい走り出しました。
気配を感じ取った方を探し始めると、そこには獲物が二人、私は舌なめずりをすると、獲物に襲い掛かる。
「きゃああああ!?」
「うわああああ!?」
今度の獲物は、マリエルさんとブルーノさんでしたの、近場に居たマリエルさんの首筋に噛り付く、ジュルジュルと血を吸うと、マリエルさんは気を失ってしまいました。さて、とブルーノさんの方を向けば、あまりの恐怖で、体が動かないのか、床にへたり込んでいましたわ。動かない獲物に、少しだけがっかりしながらも、美味しく血を啜りました。
これで残るは三人、早く美味しい血を、心行くまで飲み干したい。そんな欲求に私は駆られていました。
一方その頃
辺りに響き渡った、マリエルの悲鳴を耳にし、ゾクリと寒気がしました。
「大丈夫?」
クリスも若干顔色が悪いですけど、私を気遣ってくれていました。
「でも、ただ隠れているだけでは、こちらの方が分が悪すぎます。」
カモミールさんは、かくれんぼという遊びを、鬼が一方的に捕まえる遊びだと思っています。それでも間違いではないですが、このままでは、私たちの命が危ういので新ルールを追加します。
「そんなわけで、殺られる前に殺れ!作戦を開始します!」
「「シッー!」」
私がちょっとだけ気合を入れて言うと、二人に取り押さえられました。




